2015年12月18日 |
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マイナンバー利用拡大に反対討論 12月議会最終日の18日、私の反対討論原稿です。 私はマイナンバーの利用範囲を拡大する議案第53号に反対します。 これによって市民に何らかのメリットがあるというものではありません。国や他自治体、小矢部市役所が利用できる範囲を広げるための条例です。国民健康保険では、個人の所得にもとづいて、高額医療費の限度額、つまり1ヵ月に支払う自己負担の上限額が決められています。この条例をつくることによって国民健康保険の担当課ではマイナンバーを使って税務課が持っている所得情報を利用できるようにしようとするものです。しかし、現在でも別にマイナンバーで検索しなくても住所氏名や生年月日で照合しており、何一つ不具合はありません。 プライバシーの侵害 マイナンバーは12ケタの番号が、生まれたばかりの赤ちゃんからお年寄りまで、すべての個人に割り振られます。これで検索できる個人情報が増やされると、個人のプライバシーが国や行政に筒抜けになります。 国はこの利用範囲を次第に拡大しようと狙っています。 個々人の預貯金をマイナンバーで検索できるようにすることも狙われています。 個人の収入や資産、税金、国民健康保険税や介護保険料などと、園個人が利用した医療費や介護保険など社会保障のサービス利用状況を比較できるようにして、納めた税金以上に福祉サービスを利用しているから抑制しろと、福祉抑制に使うことを狙っています。 健康管理のためと言うことで、病歴、つまりいつどこの病院・医院でどんな治療を受けたかや、どんな薬を飲んでいるか、健康診断のデータなどもマイナンバーで検索できるようにしようと狙っています。 情報漏洩の危険 この情報が一旦漏れると、取り返しが付きません。年金個人情報漏洩事件が発生し、125万件も流出しましたが、日本年金機構がどれだけ反省、謝罪を繰り返しても、いったん漏れた情報をすべて回収できるわけではありません。 会社や個人企業も人を雇っていれば、源泉徴収票にマイナンバーを記入することとなります。マイナンバーを扱うことは企業にとっても負担になります。普段使うパソコンとは別に管理しなければなりません。情報漏洩の危険もあります。ベネッセコーポレーションでは2070万件の顧客情報が流出しましたが、これは業務委託先の社員が持ち出して流出したとして裁判になっています。中小零細企業を含む無数の企業がマイナンバーを扱うことになり、情報漏洩の危険は格段に広がります。 諸外国ではマイナンバーやめる動き 諸外国ではこのようなマイナンバーをやめる動きが広がっています。アメリカでは社会保障番号制度がありますが、その番号を使ったなりすましが深刻な被害を拡大しています。2006年〜2008年の3年間に、成りすましによる犯罪犠牲者が1億170万件、成りすまし犯罪による被害総額は年平均500億ドル(連邦取引委員会)と言われています。 患者が医療機関で提示した社会保障番号を、職員が盗んでなりすまし犯に悪用された例。 ローン地獄に陥っている親が、わが子の社会保障番号で信用口座を開設し焦げ付かせ、その子が青年に達して銀行口座を開設しようとしたときにはじめて自分の社会保障番号が信用情報機関のブラックリストに登録されていることを知ったという事例、等々数限りなくあります。 このため、アメリカでは国防総省はこの社会保障番号を使うことを中止したそうです。 先日テレビの特集番組で紹介していましたが、アメリカではこの社会保障番号で身分証明することをやめるようにしているとのことです。日本でも印鑑証明や住民票が個人番号カードで簡単にもらえるようになるなどと政府は宣伝しています。個人番号カードには顔写真やICタグも付けてパスポートや身分証明にも使えるなどと言われていますが、たいへん危ないことです。なりすまし犯罪が日本でも多発する恐れがあります。 世界中でこのようなマイナンバーを使う制度をやめてきています。イギリスでは廃止法が成立しました。日本だけが突出してこれからマイナンバーの利用を拡大しようとしている、たいへん異常な事態です。 利用範囲拡大の条例に反対 今度の条例改定で、マイナンバーの利用範囲拡大の第1歩としようとすることを認めるわけにはいきません。 この条例を審議した総務常任委員会では可否同数となり、辛うじて委員長の決裁で採択となったものであることも申し上げて、私の反対討論とします。 |
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