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本文へジャンプ 富山県小矢部市議会議員
日本共産党 砂田喜昭

2014年度予算他17議案に反対討論

                         2014年3月24日

 2014年度小矢部市予算には、
教育の分野で少人数学級へ前進させることをめざし、小学1年生に加え2年生の30人を超えるクラスにももう一人、補助の先生を、市独自で配置することや、水道料金を1立方メートル5円引き下げることなど、市民の願いにこたえた内容がいくつも含まれていることについては、私も高く評価しています。しかし、次の6つの問題点があり、今後の市政運営に重大な負担を持ち込む恐れがあるため、賛成できません。なお、この予算を執行するための関連する条例改定案にも、反対します。

 第一は消費税を8%に引き上げることを前提としていることです。消費税増税で8兆円の負担増です。そのうえ社会保障削減で庶民には10兆円の負担増となります。これでは国民の暮らしも、日本経済も、深刻な事態に陥り、国や自治体の財政危機をいっそうひどくします。かつて橋本内閣の下で消費税を5%に引き上げて日本経済を不況に落とし込み、税収も減らしてしまった道を再び歩み始めてはなりません。これに関連する議案は、第1号、14号、16号、19号、20号、22号、23号です。

 
自治体は条例を書き換えるだけで使用料に消費税を、簡単に上乗せできます。しかし、農家は米代金に消費税を8%上乗せして販売できるでしょうか。それどころか、毎年米価が値下がりしており、2014年産米の値段に消費税を上乗せできる見通しはまったくありません。これは中小企業や小売商店の多くでも同じではないでしょうか。しかし、価格に転嫁できなくても、税務署から消費税の納税を迫られてきたのが現実です。ところが市が一般会計で扱う使用料、手数料にかける消費税は、税務署に納めなくてもよいのです。それなのになぜ条例を変えてまで、使用料の値上げをするのでしょうか。

 
上下水道については、企業経営並みに扱われ、消費税を税務署に納めねばなりません。これについては消費税増税分を使用料に転嫁するのはやむを得ないと考えています。ただ、せっかく水道料金を1トンあたり5円下げたのに、安倍自公政権の消費税値上げによって、基本料金10トン当たり本来は月額50円安くなるところを、わずか4円しか下がらなくなりました。富山県企業局や小矢部市は市民負担を減らすべく努力したのですが、安倍自公政権がこの努力を踏みにじったのであります。
 
自民党と公明党、民主党は「税と社会保障の一体改革」などといい、消費税増税分は社会保障に回すなどと宣伝していましたが、全くのウソでした。消費税増税分の多くを、大企業中心の法人税減税や軍事費や大型公共事業につぎ込んでいます。その結果、社会保障、医療、介護、年金、生活保護がどんどん改悪されようとしています。

 第二に、議案第3号国民健康保険事業特別会計予算です。小矢部市としても、かねてから国民健康保険税が高すぎるということで、値下げをとの声が出されていました。日本共産党が昨年暮に行ったアンケートでも36.4%の人が「高すぎる、何とかして欲しい」と要望されていました。これに答えるには、国に対して、「社会保障を充実するというのなら、国保を支えるために財源の手当てをせよ」と求めるとともに、小矢部市としても県内の先進自治体が行っているように、一般会計からの繰入をふやして国保税の引き下げを図る努力を求めたいと思います。これを「市民の理解を得るのは困難であろう」と、傍観者のような態度で、拒否する姿勢が問題であると考え、この予算に反対するものです。

 第三は、議案第4号、後期高齢者医療制度は、かねてから問題にしていますように、年齢で差別し、長生きしてもらっては困るといわないばかりのひどい制度であり、廃止を求めます。

 第四に、新年度予算でもう一つ大きな問題は、三井アウトレットパークへの過大なサービスをすることであります。 これに関連する議案は7号、9号、12号、13号、17号、30号です。企業誘致に、小矢部市が用地買収、用地造成、周辺整備の公共事業などで40億円もかけ、これからの金利負担も含めると44~45億円も負担することになります。こんな企業誘致は、小矢部市始まって以来の、きわめて異例のことです。三井不動産は、その用地を賃借するだけで、基本合意通り30年間営業してくれてようやく22億円を回収できるだけです。三井不動産との基本合意にあるように10年、20年で撤退ということになったら、小矢部市民の負担はさらに大きくなります。巨大企業は自らの力で営業し、利益を上げる力を持っているはずです。市民の税金、市民の借金を当てにするという情けないことは、本来ないはずです。これまでのやり方で企業誘致に補助金を出すというのであれば、県もこのたび、撤退の際に補助金の返還を求めることにしました。しかし、小矢部のアウトレットの場合は、すべて市の負担でやっていることであり、何一つ取り返せないことになります。

 造成予定地に
隣接していた工場の移転も、当初は予定外でしたが、三井不動産側からの要求で、市が用地買収し、移転補償金8億円あまりも市が立て替えて負担し、30年の賃借料で回収することになります。
 畠中雨水排水路の工事も、アウトレットが進出しなければ、今すぐやらなくてもよい事業であり、しかも敷地内の370メートルだけしか整備しません。

 小矢部市が造成工事を始めてしまった以上、三井からの賃料の受け入れ、土地開発公社の借金返済の動きをしっかり監視するために東部産業団地特別会計を設けることは重要ですが、三井の要求にただ従うだけの姿勢ではダメです。今後、県道とアウトレットパークに挟まれた民家、民有地も市が購入、移転補償し、アウトレットパークに貸し出す予定です。三井不動産に、地域経済との共存共栄を果たさせるために、応分の社会的責任を求めていかねばなりません。市の財政を破たんさせたり、社会福祉や教育など住民福祉の後退を絶対に引き起こさせたりしないために努力しなければなりません。

 第5に、議案第5号下水道事業特別会計予算です。散居村も公共下水道方式で整備を進める計画のままです。これですと、市内全域下水道化が30数年先に先送りされ、市が莫大な借金を抱えこみ、将来的には下水道使用料の大幅引き上げが懸念されることです。散居村地域では市が維持管理にも責任を持つ浄化槽方式に改めるべきであります。

 最後に、議案第18号、市税条例の改定についてです。株式の取引や配当にかかる税率をこれまでの10%から、法律通りに20%に引き上げたことは当然のことですが、ひきつづき分離課税のままですので、大金持ち優遇の仕組みが変わっていません。他の所得と合わせて総合課税とすれば、累進税率が適用されますが、分離課税では20%で頭打ちです。所得が1億円を超えると税金の負担が逆にどんどん軽くなるこの仕組みは残されたままです。
 そのうえ今度は株の売買で出た
損益を3年間通算できる仕組みを、上場株式だけでなく国債や社債など公社債にも適用し、庶民のお金を預貯金から金融商品に投資させることを狙っています。実体経済の数倍にも上る金融投機マネーが世界中を駆け回り、穀物価格や原油価格の暴騰、通貨の下落など深刻な影響を振りまいています。そういうところへもっと庶民のお金を引きずり込もうという政策の一環だといわねばなりません。

 以上6点の理由から、この3月議会に提案された
34議案のうち、17議案に反対するものです。

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