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本文へジャンプ 富山県小矢部市議会議員
日本共産党 砂田喜昭

2011年度決算に反対討論

 2012年12月7日、本会議で決算認定に反対討論をしました。
 後期高齢者医療事業は「高齢者に早く死ねということか」との怒りの声を紹介しました。私以外にもう一人保守系の議員も同調し反対しました。
 下水道事業について、市内全域下水道化を39年後まで先送りする問題、市財政への莫大な負担の問題、下水道使用料引き上げの懸念を上げて、散居村では市設置型合併処理浄化槽方式を取り入れるべきだと主張しました。これにも、私以外でもう一人別の保守系議員も同調して反対しました。私の討論がよかったといって、後で原稿を欲しいと言ってきました。


その原稿を掲載します。

 私は決算認定案件のうち、第1号一般会計と第3号国民健康保険事業特別会計、第4号後期高齢者医療事業特別会計、第5号下水道事業特別会計の決算認定に同意できません。

 まず最初に述べておきたいことは、小矢部市が2011年度に実施した事業で、県内でも優れたものもかなり見られるということです。
 病気になっても
中学生まで医療費の心配をしなくてもよい市になりました。これは近隣自治体に比べてもたいへん優れた施策です。
 市長が返上した退職金をつかって
中学校のすべての教室にエアコンを設置しましたし、平和行政にとりくみ中学生を広島の平和祈念式典に参加させたことも、市長の政治姿勢を示すものとして好感を持って受け止めております。
 
水道料金値下げの実行、地下水を飲料水としている地域で水質検査をすべての自治会ごとに実施したことも、市民の飲み水の安全を確保する大事な施策の前進です。
 東日本大震災に遭遇して防災の重要性はますます明らかになりましたが、
石動小学校の耐震改築も着実に実行しています。現在地での建て替えで、しかも「東部小学校との合併を」との小中学校統廃合審議会の答申にもかかわらず、単独校として建て替えたことも評価できます。ひきつづき大谷小学校、東部小学校の耐震改修に取り組む必要があります。

 これらのことについては評価できますが、当初予算審議のなかで私が指摘した将来に禍根を残す問題について、いっそうその深刻な問題が明らかとなりました。これが決算認定に同意できない理由です。
 まず第一は、
公共事業の見直しの問題です。笹子トンネルの不幸な天井崩落事故で9名の方がなくなりました。笹子トンネルと同じ構造の小仏トンネルでは、旧道路公団は2001年と2003年に、この構造が危険だと判断して天井板を撤去していました。次は笹子の改修だという声もありましたが、結局実施されませんでした。国は維持改修に回すお金を減額する一方で、新たな高速道路を作り続けようとしていますが、このような姿勢は許されません。これからは公共施設の維持管理の時代となります。決算審査でも明らかになりましたが、小矢部市の橋の点検カ所62カ所もあるそうです。
 さて、公共事業の見直しに関して小矢部市で重要な課題の一つに
下水道事業があります。市の下水道計画の見直しが、県の強い干渉を受けてきわめて不徹底となりました。その結果、一つには市内全域の水洗化の完成が40年先となり、とても下水道整備計画とはいえないもので、結局成り行き任せにされてしまいました。浄化槽方式では9年間、43億円で市内全域水洗化ができるのに、公共下水道方式にこだわったために、193億円かけて39年間もかかることになります。個人が合併処理浄化槽を設置する補助を増額し促進しようというのはよいのですが、散居村地域全体を下水道方式で整備する区域にしたために、せっかくつくった単独浄化槽を撤去する助成制度が散居村地域では使えません。
 二つには、このことによって、
市の財政に過大な負担を強いることになりました。下水道会計の赤字分はすべて税金で埋めています。2011年度は6億8千万円になりました。これは市の教育費、石動小学校の改築工事を除いた通常の小中学校、幼稚園に使った教育費4億4千万円よりもはるかに多いのです。加えて問題なのは、下水道会計では借金返済に元金利息合わせて11億8千万円。そのうち3割以上の3億7千万円あまりは、新たな借金をして返していくのです。借金を返すのに借金をしなければならない、大変な事態になっているのです。市当局は、国がこういうやり方を認めてくれており、借金を返す際に国が元利償還分の半分を地方交付税で面倒を見てくれているというのですが、それは計算上、理論上のことだけで、実際にそれだけのお金が国から来ている保障ではありません。
 三つには、このようなやりかたを続けると、
下水道使用料の大幅値上げが将来、避けられなくなるということです。国土交通省は、「下水道経営健全化のための手引き」(平成20年8月)にもとづいて経費回収率、つまり年間汚水処理費のうち使用料金で経費をどれだけ回収できているか、それを改善するために使用料の適正化を求めています。小矢部市の場合、年間汚水処理費、つまり維持管理費と借金の利息返済だけでも5億1千万円余りになりました。これに減価償却費をくわえねばなりません。これに対して、下水道使用料収入が2億4千万円でした。国のいうとおりにしようとすると、いま10立方メートル3150円の使用料を何倍にも値上げしなければやっていけないことになります。

 第二に、
市民の健康を守る事業で問題点が浮かび上がったことです。メタボ健診で、市民全体の健康を把握し、対策を取るというのではなく、国保加入者に限定していることです。しかも、市民が自発的に人間ドックを利用した場合に、その健診結果が把握されません。またJAいなばが行っている日帰りドックについて、同じいなば農協の組合員でも、福岡地区に住んでいる人には高岡市からの助成があるのに、小矢部市民には市の助成がありません。このことがその健診結果を市で把握する上での障害ともなっています。

 第三に、
後期高齢者医療事業です。これには後期高齢者になった人々から「高齢者は早く死ねということか」との怒りの声が出されています。3年前の総選挙で民主党は後期高齢者制度の廃止を公約しながら、この公約をうち捨ててしまいました。自民党型政治への逆戻りであります。

 最後に決算に関連して三つのことを指摘しておきたいと思います。
 一つ目、こんどの決算審査は2011年度、つまり1年前のものです。この審査をふまえて市の予算に反映させることができるのは来年度からです。1年遅れとなります。今年度の事業についてどうだったのか、審査し予算にすぐに反映できるようにすることが求められます。このことから、今年度は小矢部市議会として、それぞれの常任委員会で7,8月に、
議会としての事業評価に取り組み、改善点を指摘するということを初めて試みました。今後このやり方をいっそう充実し、市議会の役割を積極的に果たしていくことが大切だと考えるものです。
 二つ目、いま選挙のさなかですが、大阪の橋下市長が率いる「日本維新の会」は地方交付税を廃止し、
消費税の地方税化をうたっていました。そうなったら小矢部市の財政にどのような影響があるのか、決算特別委員会で議論しました。それによると、小矢部市へ来ている地方交付税は約41億円ですが、これが廃止されます。それでは小矢部市に来る消費税分はどれだけか、29億円です。市が自由に使える財源が12億円も減収となります。これでは小矢部市のような地方の自治体はとてもやっていけません。このようなことは許してはならないと思います。
 三つ目、小矢部市議会は
2年連続で海外視察を取りやめました。しかしこのことで小矢部市行政には何一つ問題が生じませんでした。これまでの海外視察がいかに無駄なものであったかが、浮き彫りとなりました。全国の多くの自治体、富山県議会なども海外視察を廃止しました。これを機に小矢部市議会も廃止に踏み出すべきだということを述べて、私の反対討論とします。


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