|
|
||||||||||||||||||||
期末手当削減に反対討論 2009年5月26日に開かれた臨時議会で行った反対討論です。 私は議案第28号、6月分の期末・勤勉手当の引き下げについて、市長など特別職と議員の分の削減には反対しませんが、市職員の削減には、次の三つの理由で反対します。 @ 景気回復に逆行 第一は、このことが日本の景気回復に逆行するからです。100年に一度の大不況から世界と日本経済の回復を図るうえで、内需拡大が決定的に重要になっています。ところが、財界・民間大企業は非正規労働者の派遣切りや正規労働者の賃金抑制など、内需を冷え込ませることばかりやっています。その上公務員労働者の賃金削減を行えば、よりいっそう内需を冷え込ませることになるではありませんか。影響を受ける公務員労働者は全国で六〇〇万人に上り、数千億円規模で消費が奪われることになります。 民間の賃金、ボーナスが減らされたから、それに合わせるのだというのが口実にされていますが、それは実態とは違います。人事院が実際に民間のボーナスを調査したのはごくわずかです。通常は一万1千企業を対面で調査するのに、こんどの場合は、二七〇〇社を対象に郵送調査しただけです。調査の対象企業が少なく、その時までにボーナスを決定した企業は1割しかありませんでした。国会で共産党議員の質問に、人事院の谷総裁は「全体を反映したかといえば、そうではない」と答弁しています。ずさんな調査による勧告の影響を受ける労働者が六百万人にのぼるうえ、これが民間の一時金引き下げの口実に使われればきわめて重大です。公務員の一時金削減は、民間中小企業の賃金を抑え込み、これから審議が始まる地域別最低賃金改定にも冷水を浴びせるものです。さらに生活保護費など国民の暮らしを守る基準にも影響を与えかねません。これを強行すれば、国民生活のあらゆる分野で内需を冷え込ませることになります。 A 財界・大企業の社会的責任を免罪 第二は、これまで毎年トヨタ一社で、一兆円、二兆円と空前の利益を上げてきた財界・大企業の社会的責任を問わないことになるからです。「景気が悪いから夏のボーナスカットをがまんしなければならない」と思わされている人もいるかもしれません。しかし、トヨタやソニーなど財界・大企業はこれまで貯め込んだ百数十兆円にも上る内部留保という利益には手を付けようとしません。株主には配当金を現状維持か、ほんわずか減らしただけです。トヨタの創業家二家族はこの1年だけで、株の配当金で二一億円も手にしたのです。三月議会でも私が指摘したように、内部留保の1、2%、株主への配当のほんの数%をまわすだけで、雇用維持もできるし、それが内需拡大にもつながるのです。それをやらないで、すべてのしわ寄せを、これまで汗水垂らして会社の大もうけに貢献してきた労働者に押しつけることは許されませんし、日本経済の立て直しにも逆行します。 市は働く人の応援を 財界・民間大企業が雇用を守るという社会的責任を果たさないことへの、国民的反撃も始まっています。クビ切られた派遣労働者が労働組合をつくり、労働局に違法行為を告発するたたかいを進めています。クビ切られた派遣労働者を支援する派遣村の運動も全国に広がっています。このようなときに国や自治体が、働く人びとを応援するのではなく、財界・民間大企業の自分勝手なやり方をまねて、働いている人たちにしわ寄せすることは間違いです。 B 市民負担軽減、サービス向上に活かされず 第三は、こんどの一時金カットが市民負担の軽減にも、市民サービスの向上にも全く活かされていないことです。日本共産党は、公務員労働者の賃金は税金で支払われているので、市民の理解と納得のもとに決めるべきだと考えています。共産党員が市長になった自治体で、財政危機のもとで市民生活を支える福祉施策を前進させるために、そこで働く職員に賃金や手当を削減する協力を求めたところもあります。 小矢部市の場合、市職員だけの期末・勤勉手当の引き下げで、共済費を含めると二四一二万四千円が浮くことになります。問題はこれを子ども医療費の所得制限を撤廃したり、学校教育で少人数学級の対象学年をひろげたり、国民健康保険税や上下水道料金の引き下げで市民負担を軽減したりすることに使いたいから、ぜひ職員に協力して欲しいというのなら、まだ理解できます。 自民党・公明党による選挙目当ての公務員バッシング しかし、こんどの場合はそういうことではありません。こんどの一時金カットは、自民党が公務員の一時金減額法案を検討しはじめたことが発端です。これまでずっと人事院は、夏の一時金支給には勧告が間に合わないため年末一時金で民間のボーナスの動向を反映させていました。ところが今度、あえて総選挙を前にしたこの時期に前倒しして、夏季一時金で一律カットという、異例な方針を打ち出したのは、「選挙向けに公務員をたたいた」とアピールするためであり、また、ルール無視の賃下げの実績づくりが狙いで、党利党略以外の何ものでもありません。ですから、それに付き合わされた人事院が、ろくな調べもしないでボーナスの一律カットという、これまでに前例のない方針を打ちだしたのです。 小矢部市が、こんな“公務員バッシング”で、自民党・公明党の選挙を有利にしたいという党利党略に手を貸すのでは、職員の志気にもかかわります。 以上、このような党利党略を許したら、日本経済も、市民生活を守る地方自治体の仕事も、バタバタになると気付かれた議員のみなさんは、ぜひこの議案に反対されることを訴えて、私の討論とします。 期末・勤勉手当引き下げに伴う影響額 (単位千円)
|
||||||||||||||||||||
砂田喜昭のホームページへ戻る |