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2004年10月31日号


自然エネルギーへの転換をすすめよう
稲葉山に風力発電施設

 稲葉山山頂に風力発電施設(写真はここをクリック。戻るにはブラウザの「戻る」で)が3基設置されたのが市民の目をひいています。その概要について、市議会へ報告されたものを紹介します。

稲葉山風力発電施設の概要

 事業者は小矢部風力発電有限会社。発電した電力は北陸電力へ売る。
 発電出力1800Kw。風車3台、600Kw/台。稲葉山牧場に設置。
 風車は直径44メートル。風車の中心までの高さが65メートル。ドイツ エネルコン社製
 2004年9月中に据え付け工事を行い、11月いっぱいかけて試運転・点検をし、12月より本格運転開始の予定。

「最新の風力発電設備 観光のメッカに」設置者の話

 10月21日、稲葉山山頂で台風23号の被害状況を見て歩いていたら、たまたま風力発電を設置したご本人(TOYAMAX株式会社 代表取締役 橋田洋氏・工学博士)に会い、いろいろと話を伺うことができました。
 台風の翌日だったのでまずそのことが話題になりました。橋田氏によれば、「風速80メートルに耐える。雷対策も万全である。この風力発電設備はドイツ製の最新鋭のもので、建設したあとの調整に5人のドイツ人技術者が1ヶ月間来ていた」とのことでした。このような最新式の風力発電は、全国的にも珍しく、県内ではここだけとのことでした。橋田氏はここへ全国から学者・研究者が訪れ、きっと観光のメッカになるだろうと力説していました。
 私が、採算はとれるのですかと聞くと、「少なくとも15年で採算がとれる予定」とのことで、さらなる増設に向けて付近で風力の調査を始めているそうです。
 この風力発電設備は、風向きを検知して、コンピューターで自動的に風の方向を向くようになっています。風が強くなると、風速25メートルで3枚の羽が風と平行になるように回転し、受ける風圧を少なくしています。この設備の新しい特徴は、風車の回転を発電機に伝えるのに、ギアを使わないことです。このため、潤滑油も少なくて済み、雷で火災になることも防いでいるそうです。

自然エネルギー活用への課題

 ここで風力や太陽光、バイオマス(木材、農作物など生物資源)など自然エネルギーの活用について考えてみましょう。
 これは、地球温暖化防止に必要です。地球温暖化ガスを排出する化石燃料(石油、石炭)を自然エネルギーに置き換えようというものです。
これまでのエネルギー政策の柱であった原発は未完成な技術で事故が相次ぎ、放射性廃棄物の処理技術も未確立であり、新増設は困難です。石油資源は、あと数十年で枯渇(現在のスピードで使用するとあと33年、新油田発見など有利な条件でも79年)すると見られています。ヨーロッパを中心に自然エネルギーへの転換が推進されています。
 日本でも「電力事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」が施行されましたが(2003年4月1日)、さまざまな問題が見えてきました。

小矢部市の取り組みと課題

 このようなもとで小矢部市でも自然エネルギー活用への取り組みも始まっています。

風力発電

 風力発電は今紹介したように民間事業者の手で始められようとしています。一番の課題は電力会社が、安定した価格で風力発電の電力を長期に購入し続けてくれるようにすることです。北海道電力のように風力発電の購入枠を低く抑えると、新規参入ができないという問題も生じています。

太陽光発電

 小矢部市でも2003年度から住宅用太陽光発電設備の新設に助成制度をつくりました。大変好評で、現在までに37件、264.39キロワットが新設の予定です(今年度申し込み中の分を含む・表1)。

太陽光発電の新設状況
年度 件数 発電能力kw
2003年度 15 121.33
2004年度 16 110.98
申込中 6 32.08
合計 37 264.39
2004年度申し込み中の6件については、助成金の交付決定がまだです。

 市内には市の助成制度ができる以前に設置した太陽光発電設備もあるため、300キロワットは超えていると見られます。昨年3.6キロワットの太陽光発電を設備した砂田宅では、昨年12月から今年9月までの10ヶ月間で3319キロワットアワーの発電量がありました(表2)。ここでの課題は設備費が高くつき、初期投資をなかなか回収できないことです。

3.6kw太陽光発電設備の10ヶ月間の発電量
月別 2003年12月 2004年1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 合計
発電量kwh 130 70 258 373 451 365 421 470 456 325 3,319


バイオマスの活用

 今後はバイオマスの活用も新しい課題です。岩手県では樹木の活用に取り組んでいるようです。木材寸断しチップとして燃料に使う、製材所から出る樹皮やおがくずをたばこのフィルター状に圧縮成型したペレットを燃料に使う、そのための岩手型ペレットストーブを開発し、公共施設や家庭で使用するなどの取り組みです。これは小矢部市でも、台風の倒木の処理や庭木の剪定くずの処理に困っている問題の解決にもつながるのではないでしょうか。
 また、これは小矢部の林業の発展にもつながります。かつて森林は建築材としてより薪炭材としての需要が多かったようですが、石油に押されてみる陰もなくなりました。しかし、間伐材や林地残材を活用するそのような方策ができるなら、地域活性化の新たな展望を開くでしょう。


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