漫画ができるまでH20.4.6更新

ここではスガアマの制作風景を基に、どんな風に漫画が
出来上がっていくかをご紹介します。

●まずはストーリーを考える●
一見あまり時間を要さないようで、実は作画よりも時間を要するのがこの作業です。

ひとつの作品にはテーマ、キャラ、演出、ムードなど、さまざまな要素が絡み合わさって出来ています。その要素たちがどんなものかを考え、うまく調合し、どんな作品に仕上げていくか?この時点でしっかり練っておきます。


1、構想

描きたい題材や気になる事柄を基に、ラクガキ感覚でノートに書き留めながらアイデアを広げていき、舞台やジャンル、キャラ、テーマなどを導き出します。少なくともここでテーマ(伝えたいもの)とキャラ(特に主人公)を完全に固めてしまいます!

テーマとキャラはストーリー進行の道しるべです。コレが固まっていなければ話が脱線するなどして全体的なストーリーの繋がりを失ってしまう危険性があります。ネーム(後にご紹介)を見てくださった方のご意見の中に「キャラが分からない」、「話を通じて作者が何をいいたいのかが伝わらない」、「ストーリーの流れが不自然だ」などとありましたら、もう一度ここに立ち返って練り直す必要があります。


←こちらはキャラ表です。性格や顔を描く時の注意点、動作や言動のパターンなどを思いつくだけ書き込んでいきます。


2、ストーリーの流れ

テーマとキャラが固まったら、おおまかなストーリーの流れを考えます。

     


上の図をご覧下さい。これは漫画におけるおおまかなストーリーの流れを”テンションの高さ”として表にしたものです。4コマでも100ページ以上の超大作でもこの基本は皆同じです。ストーリーには常に”起承転結”(きしょうてんけつ)というものが存在し、アニメでも小説でも映画でもこれに沿って話が作られます。詳しく解説しますと・・・。


・・・物語の始まりです。ここでは主に舞台、主人公とその特性、主人公の現在における事情、主人公と他キャラとの関係などを紹介していきます。出だしはなるったけ印象深いシーンを用いるのがコツです。ここで読者をひきつける事ができたら”ツカみはOK”!

・・・ここで事件が勃発!それに対してのキャラたちの反応を交えながら物語はどんどん確信に迫ってきます。物語の進行も大事ですが、キャラ同士の関係、思考内容なども忘れず丁寧に表現していきます。ところどころに見せ場を用意し、「転」に向かってテンションを高めていきます。

・・・物語のクライマックス!急展開を迎える瞬間です。読者の脳裏に焼きつくような表現を目指します。

・・・「転」から急降下、ストーリーの総まとめともいうべき場面です。ハッピーエンドでもバッドエンドでも構いません。読者がテーマを感じ取れるような「なるほど、うんうん」というものを用意します。最後の最後でひねりをきかせて大どんでん返しをくらわしてもいいでしょう。


3、ハコ書き

おおまかなストーリーが固まったら、今度はそれをページごとに割り振ります。この作業をすることで大体のページ数を知ることができ、その上シナリオ(後に紹介)を作る際にストーリー展開がダラけるのを防いでくれます。

ここで気をつけるのは、ひとつのページにシーンをあまり詰め込み過ぎないようにする事です。「主人公が○○をした(された)」程度で抑えておき、シナリオ及びネーム(後に紹介)の段階で調節していきます。


4、シナリオ




完成したハコ書きを基に、今度はシナリオを作成します。
題名、ジャンル、ページ数、あらすじ、登場人物とその性格、事情を冒頭に書いた後、細かな展開をページごとに区切って書いていきます。ここで新たに考えることはページごとのおおまかなコマ数、モノローグ(ナレーション)、キャラの台詞と感情描写を含む細かい動作、演出です。

ここでいう「演出」とは、ストーリー中の大きな展開を迎える前の”間合い”を指します。これは1コマで済む場合もあれば、2コマ、3コマ…それ以上用いる場合もあります。このテクニックを使うことで読者

に後の大きな展開を予兆させ、より物語の世界へ引っ張っていくことができるでしょう。また、ページの最終シーンでも読者に次のページをめくって貰えるような演出なり展開なり台詞の工夫をします。
完成したら何度も読み返し、違和感あるキャラの言動やテーマからズレた(余分な)シーンなどがあったらナオシを入れます。



5、ネーム



シナリオが完成したらいよいよネームの作成です。

「ネーム」とは作品を原稿におこす際のナビゲーションを果たす”仮の原稿”です。コレが完成すれば作品はほぼ完成したも同然でしょう。

ここでスガアマはよく間違いを犯します。綴じしろを逆に指定してしまうのです。左ページをめくる本の場合、左側(奇数ページ)は右、右側(偶数ページ)は左と覚えておきましょう。

綴じしろとページを指定したらコマ割りをしていきます。作者のセンスが問われるトコロですが、読み易さを一番に考えながら区切っていきます。

コマ割りが終わったら台詞(モノローグ)と共にキャラや背景の配置(構図)をコマに描き込んでいきます。ここでも作者のセンスが問われますが、やはり読み易さを一番に心がけます。
他人に見せる場合は尚の事、文字やキャラの表情なども読み易く丁寧に描きます。

読み易さの基本は「逆”Z”」です。左ページをめくる本の場合、大抵読者の視線は逆Zでジグザグに降りていき、最終コマでは左上に向かおうとします。そのラインに沿って順番に情報を置いていけばまずは読み易くなるでしょう。

ネームではキャラの顔の向きや大きさが単調にならないように気をつけます。特に会話シーンでは顔のアップ(近景)ばかり続きがちになるので、たまにはロング(遠景)にしてキャラの全身を入れたりムードを醸す背景を入れるなどして読者を飽きさせない工夫をします。

ネームが完成したらシナリオと同様に何度も読み返し、違和感あるキャラの言動やテーマからズレた(余分な)シーンなどがあったらナオシを入れます。(時間に余裕があれば他人にも見て頂きます。自分では分からない欠点が見つかるので大変助かります。)


ネームの次は原稿おこしです。
その詳細は別のページにてご紹介します。
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