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アマオケ奮闘記
  〜 地域社会への音楽のひろがりの最前線にて 〜  

東海地区編

名古屋シンフォニア管弦楽団

’02 7/14(日) 名古屋シンフォニア管弦楽団 第41回定期演奏会

 長期にわたり当団の指揮を務めてきた江原氏にかわって、今後はいろいろな指揮者を客演として招くこととなったようで、今回は、愛知県は幸田町の出身、大河内雅彦氏の指揮による、古典的なプログラム。ウェーバーの「オベロン」序曲。ベートーヴェン及びブラームスの2番の交響曲。私もエキストラで合流させていただきました。あれ、打楽器の出番は?
 アンコール、ハンガリー舞曲の6番。大太鼓。盟友清流氏のシンバルと組んでの出演。本番当日のみ合流。
 アンコールまで含めて、ニ長調づくし、という統一性を持ったプロ。団員の私利私欲?的な選曲だと妥協の産物的な、統一性のない妙なプログラムが組まれてしまうことも多々あるのだけれど、このプログラムは指揮者のイニシアティブが強く反映されたもの、と言えそうか。
 本番当日の練習の一部を聞いたのみでの感想であるので、確証をもったわけでもないが、随分と丁寧に、曲作りをしてきた、しているな、というのが率直な感想。勢いで、ノリで、という演奏ではなく、冷静に音楽を作っていくのはアマチュアにとっても大事なことだ。特に、こういうプログラムなのだし。新たなる出発をした当団の今後の健闘を祈ります。

(2002.12.28 Ms)

’00 7/30(日) 名古屋シンフォニア管弦楽団 第37回定期演奏会

 いつも貴重な、かつ、楽しい経験をさせていただいているシンフォニアさん。今回のお題目は・・・。
 メゾ・ソプラノの小山ゆうこさんを迎えてのステージと、チャイコフスキーの5番。私は前半のみ、それも「カルメン」第1幕への前奏曲の大太鼓だけという負担の軽いもの。ほとんど観客気分?。練習日程も、自分のオケの練習、本番と重なり、結局は前日からの合流。
 正直、今までになく気楽な気持ちで現地入りしたのだが・・・・セッティングされた大太鼓を叩いてびっくり。おいおい。皮がダブダプ。半年間眠ってたままで、そのまんま置いてあったのだ。ちょっと待て。合奏まで30分ないぞ。おまけに、みんな音、鳴らしまくってうるさくってチューニングなんかできやしない。冷や汗たらたらで調整するものの、あきらめた。指揮者の江原先生も、音色にはうるさい人なんで困った!!見つからないように静かに叩こう。ということで前日は過ぎた。本番前になんとかしよう。ということで。

 さて、前半の声楽のステージ。小山さんの十八番、「カルメン」より、まず第一幕への前奏曲。そして、「ハバネラ」「セギディーリャ」と続き、第三幕への前奏曲(フルート・ソロの曲)で一休み。そして「ジプシーの歌」。
 続いて、「カバレリア・ルスティカーナ」より間奏曲、そして「ママも知るとおり」。最後にヴェルディの「ドン・カルロ」より「むごき運命を」。

 声量もあり、また自信たっぷりな堂々たる歌いっぷり。練習の時から「凄い」と感じっぱなし。特に自分のオケで「カルメン」の組曲をオケのみでやったばかりということもあり、声楽のもつ表現の豊さは際立つほど感じられ、また、本物を聴いた!!という感激もある。
 さて、シンフォニアさんも、テンポが揺れ、かつ、情景も変化が激しいアリアの伴奏を的確にこなしていたのではなかろうか。よい経験をされましたね。さて、お馴染みの顔ぶれの打楽器陣だが、直前にトレーナーやら関係者やらがよってたかってタンバリンのバランスが大き過ぎだとか忠告されて、結局、どうも悪い方向へ行ってしまったのが可愛そうであった。確かに、音量は控えるべきであったかもしれない。しかし、あくまで指揮者がそれを判断すればよい。全ての練習が済んでからとやかく言われても、もうどうしようもないですよ。オケのあり方として疑念を抱かせてしまう光景であった。残念。
 私は楽勝なパートなのだが、出番の最後、カルメンの死の動機の最後の一発は、そこそこ緊張。ティンパニとシンバルとの完璧なアンサンブルが要求される。結構、こういうパターン、合わない人とは合わないんだよなァ。リズム感の相性という問題。今回は見事に決まった。お二人のお陰です。これに失敗したら、もう今回私に出番はなく、雪辱の晴らしようもなく、ビールもまずくなるところだった。良かった良かった。
 さて、リハーサルでも問題だったのは、「ジプシーの歌」の最後のプレストへの壮絶な加速。滅茶苦茶。しかし、本番当日、舞台上では、独唱の加速にホルンがうまく乗っかって、その背後のタンバリンが確実なアッチェレの持続的なリズムをキープし、さらにプレストでティンパニにそのリズムを受け継ぐというリレーがうまく行き、けっこう綱渡りな部分も無事に突き進めた。指揮者も、プレストで完全に3拍振りから、1小節1拍振りになり、オケもよくついて行けたな、というのが正直な感想。指揮者も妥協しなかったのは、オケを信頼していたからか?
 イタリア・オペラものは、ほとんど耳に馴染まない性質の音楽なのだが、今回、生で体験して、悪くはない、と感じた。やはり、いい演奏で聴けば、嫌いな曲も、良く聞こえるのか?説得力ある演奏というのは、私は大好きだ。自分の狭い枠を広げてくれる。説教じみた言葉の羅列でなしに、音楽のみで説得される、というのは快いことだ。今回のイタオペはいい経験をさせていただいた。ありがとうございます。

 後半のチャイ5は、着替えもすませて完全な観客。
 予想どおり!?、濃厚なヤツを聴かせていただいた。テンポの変動激しく、かつ、強弱やニュアンスにも様々な配慮がみられた。
 私の最も感じ入ったのは序奏かな。おそめなテンポで、途切れ途切れにかなり病的な感じ。ただ、旋律のクラのユニゾンが、ずっと途切れない。次の音符に常につながっている。こんな解釈は初めてのような。それがなかなか効果のあるものだったように感じた。さらに、第一楽章のコーダ。ここの音色の感覚も繊細だ。普通にやると、最後に超目立つ、ファゴットの最低音、それも主和音の第五音で目立つとうっとうしい音なのだが、これがうまく消え去るように処理され、次に、チェロの第三音がちょっと聞こえ、また消え、ティンパニの高音域の主音が消え、最後にコントラバスの最低音の主音が残る、という素晴らしく、落ち着いた、安定した和音を聞かせてくれた。この絶妙な色彩感、裏を返せば、かなり指揮者のリーダーシップが感じられる。奏者の自由度とは正反対のものが感じられる。最近、世間もそうだが、自由ばかりで無秩序な光景がよく目に入る。そんな世相ゆえか、私は、「統制された美」、「自由を主張しすぎず、自分の役割を果たしつつ他人との関係に充分に配慮する」、という姿勢に感動の度合いが高まってきているのだ。(・・・つい先日の私のオケでの「運命」のティンパニも私は、そんなことを強烈に意識して演奏したのだが・・・・・一部には覇気のない、主張のない、迫力のない、という批評も賜ったのだが、はたしてどうだろう?)
 ただ、自由度の高い部分は必要だ。しかし、団体競技である以上、統制のかかるところはバシッと決めなきゃ。第1楽章の最初と最後はかなりよい部分だった。
 低弦の話がでたので、引き続いて。やはり、うまいですわ。チェロの歌う部分とかも、積極性が感じられ、また、弦の大ユニゾンでも下をしっかり支える安定した存在感を感じる。コントラバスも、音楽自体のスケールの大きさを表現するのに果たした役割は多大なものがある。
 全体に、やはり「統制」のイメージは強く、(テンポの変動の激しさ故か?)また、全体的に、特に弦は、よく付いて行ってるなァ、と思ったのだが、一点、重大な欠点が感じられたのが残念。金管に、統制、計算が感じられないこと。
 特にトランペット、1本でテュッテイ全体と張り合う、短い合いの手の部分などは完全にオケの中に埋没、しかし、テュッテイ時に、倍管で吹くと、オケ全体のバランスから逸脱。最初から、異様に威容を誇っていようが、いよいよ最後、というところで効果的な存在感が示されなかったのは、おおいに残念無念。
 ホルンが要所で吠えているのはまだ大丈夫だったが、トランペット、トロンボーンは、ここぞ、という時の為に温存していただかないと・・・。特に冒頭楽章からむやみに盛り上がりすぎ。フィナーレは、コーダの手前で完全燃焼したかのようで、最後の勝利の凱歌が、はなはだしく効果的に鳴らなかったのだから、聴く側としても困った。最後でいい気持ちにさせてくれないチャイ5なんて・・・・。そんな中で、オケの最後列、最頂点にたくましく鎮座するティンパニは、バランス的にも申し分なく、かつ、ペース配分も適正。金管とは対極にある、大局に立った素晴らしい演奏を聴かせてくれたのが嬉しい。ややミスも見つけたが、そんな枝葉末節なことは、最終的に感じさせない。ティンパニに見習うべし。

 というところが大雑把な感想。
 おっと、一言忘れてました。今回、「ハバネラ」で、我がHPで話題沸騰の、ショスタコの5番第一楽章の引用部分が高らかに歌われた。ラ・ムール〜ラ・ムール・・・・・隣の「清流」氏とニヤリ。ちょうど1年前、シンフォニアさんの練習時(タコ5)に、「ハバネラ」とタコ5の関係の話で盛り上がった。まさか1年後、タコ5の元ネタあかしが、同じ場所で披露されようとは・・・・シンフォニアさんも目の付け所が違うねえ。・・・えっ、まだ、ご存知なかったですか?ショスタコが「カルメン」にこだわらざるを得なかったことを・・・・そんな方は、
こちらを読んでおいてくださいまし。

 最後に、お馴染みの打楽器陣ですが、とりあえず今回で、当分この5人が舞台で揃うことはないのかなァ・・・・てな話。毎度、楽しく、また、有意義に、また、演奏しやすい環境で、がんばってきましたが、これも時の流れですかね。ひょっとして私も今後、お呼ばれも危ういかな。またの再会は是非とも願いたい。これからもがんばろうね。

(2000.8.2 Ms)


’99 7/25(日) 名古屋シンフォニア管弦楽団 第35回定期演奏会


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