【二日目 W】

 宮地を発車すると車窓が高原から険しい山の中へと変わり、どうやら峠に入
ったようです。あ、なるほど。だから阿蘇方面への観光列車は宮地で折り返す
んだと、少しばかり納得しました。
 ここで車内販売でアイスを購入。当然ながら今年初のアイスです。3月下旬
でアイスというのはまだ早いですが、車内は暖房が効いていて暑いほどだっ
たので丁度よかったです。最初はかなり固くて食べるのに難儀しましたが、溶
けてきたのか時間が経つと食べやすくなりました。味も結構良かったですが、
一気に食べ過ぎた結果頭が冷えてきた…。
 豊後竹田を過ぎると川沿いを走るようになりました。自分の中で豊肥本線は
「高原のローカル線」というイメージが定着していたので、この光景には少し驚
きました。尤も、豊肥本線で有名なのは阿蘇の高原を走る熊本側だったの
で、そっちのイメージが定着してしまったのでしょう。
 大分市街に近づくにつれ景色が開けてきて、ようやく日豊本線と合流。やっ
とここまで来たか…。昨日の新幹線ほどではありませんが、長時間同じ列車
に乗ってると疲れますね。
 大分に着く直前に485系のにちりん号とすれ違ったんですが、それがなんと
国鉄色の編成でした。あまりに突然の出来事だった上に、見えたのは車窓の
反対側だったので撮影できず…。まぁ見れただけでも良しとしましょうか。
 そんなわけで夕日に照らされた大分駅に到着。大分駅は最近高架化工事
が進んでいて、既に一部は完成したという話を聞いたんですが、列車は地平
ホームに停車しました。主要駅の高架化工事だとまず主要路線から高架化し
て、それから駅から分岐するローカル線に取り掛かるというパターンが多いん
ですが、ここは豊肥本線と久大本線の高架化が完成していて、主要路線であ
る日豊本線の高架化はまだのようです。
 3時間にもわたる九州横断特急の旅でフィナーレを飾るのは別府湾の眺
め。道路が隔たってますが、やはり列車から見る海の風景は素晴らしいもの
です。思い返してみると、この列車は高原の素晴らしい眺めを見ながら走った
り、峠を越えたり、川沿いを走ったり、そして今は海を見ながら走る…。車窓の
変化がかなり激しかったな。
 亀の井ホテルの建物が見えてくると終点の別府に到着。3時間の長旅はこ
れにて完結しました。長かったけど楽しかった〜、と思いながら列車を降り、外
のすがすがしい空気を吸ったのでした。そしてこれまで乗ってきた列車を撮
影。
 その列車の車両に関して説明すると、通常は「九州横断特急」専用のキハ
185が使われることが多いんですが、繁忙期に車両を増結する場合は「ゆふ」
用の車両も借り出されることがしばしばあります。この6号にも「ゆふ」用の車
両が使われたんですが、1号車と3号車が「ゆふ」用の車両で、それに挟まれ
る形で九州横断特急用の車両が連結されてました。なかなか面白い編成で
すね。
別府駅⇒竹瓦温泉
 本日の全行程はこれで終了。後は宿泊するホテルに行くだけですが、それ
では面白くないので今から別府観光とします。時間の都合上、地獄めぐりは
無理ですが…。それはさておき、早速改札を出て別府の街を歩きます。…と
思いきや、駅前広場に手湯があったのでそこに寄りました。手軽に別府のお
湯を味わえるということで結構賑わっていますね。この後のウォーミングアップ
にと手をかざせば、ぬるくもなく熱くもなくといった丁度いい温度のお湯が…。
3分程度満喫させてもらったところで改めて観光へと向かいました。
 駅前通りを歩いてる途中、駅前高等温泉の前を通りました。ここは並湯と高
等湯といった2種類の温泉が存在しています。入浴料は高等湯でも300円で、
一般的な銭湯の料金よりも100円安いのでかなりお得です。建物もかなりレト
ロなので訪れる候補に入れてました。
 ただ、自分はそこよりもレトロな竹瓦温泉へ。少し迷いましたが、ようやく見
つけることが出来ました。う〜む、看板の文字は達筆すぎて読み難いですが、
「竹瓦温泉」と右から左に書かれているのがまたいい感じだな。よく見りゃ建
物の前に立っている郵便ポストも古いタイプしてるし…。
 おっと建物に見とれてる場合じゃなかった。最大の目的は別府の温泉に浸
かることですから。というわけで暖簾をくぐり、番台で入浴料100円を支払いま
した。100円玉1つ出せば入れるとは安いものです。
 中は結構シンプルで、入口同様「温泉」よりは「銭湯」という感じがしました。
石鹸とかは完備されていないようで、体を洗わずに純粋に温泉に浸かりたい
人に向いているようです。写真を少し撮ったら服を脱いでコインロッカーに貴
重品を預けて入浴〜。ところが、温泉のお湯がかなり熱くて熱くて…。1秒持
たずに一旦出てその後また浸かってまた出て…。それを延々と繰り返してよ
うやく慣れてきて、1分以上耐えれるようになりました。しかしのぼせてきたの
で温泉から上がって服を着る。と、こんな入り方じゃ温泉を満喫する余裕なん
てどこにもありません。。あ〜湯冷めしそう。。。
 貴重品を預けるコインロッカーも100円。入浴料と同じ値段というのが少し可
笑しいですが…。とにかくカメラなどの貴重品をロッカーの中に入れて投入口
に100円玉を………と思ったら無い!どうやらさっき入浴料を払ったときに使
い果たしてしまったようです。なので50円玉と10円玉を無理矢理入れて対処
したんですが鍵はかからず。そこで番台の方に行って聞いてみると「コイン
ロッカーの投入口には100円玉しか入りません」という答えが…。コインロッ
カーの中に入れたお金の行方についても聞いたところ、残念ながらお金は返
ってこないようで…。。(涙 たった数十円とはいえ、くだらない事でお金を損し
てしまいました…。。。
 風呂上がりに牛乳を飲むと気持ちいいものです。当然ここの温泉だって例
外じゃありませんが、その時によく見かけるのが昔懐かしきビン牛乳です。そ
れを一気に飲むのが温泉から上がった後の隠れた楽しみであります。ここは
結構歴史があるので期待していたんですが、残念ながらビン牛乳は見かけ
ず…。。。仕方なく紙パックのコーヒー牛乳を購入しました。
竹瓦温泉⇒別府タワー
 建物を出る頃にはもうすっかり暗くなってしまいました。温泉でちょっとゆっく
りしすぎたな…。他にも竹瓦温泉に着く前に迷ったとか理由は色々あるんで
すが。とにかく急いで次の目的地へ向かいます。
 10分ほど歩いたら別府タワーが見えてきました。見た感じかなり古そうなタ
ワーですね。事実、このタワーが出来たのは昭和32年で、あの東京タワーの
1年先輩にあたります。そして、「アサヒビール」と書かれた電飾がまたいい味
出してんだわ。この電飾が全点灯するタイミングを狙ってカメラを構えたという
のは…。
 エレベーターで最上階に登ったら、そこには別府の夜景が広がっていまし
た。でも街明かりが少ないのか、特段綺麗というわけでなく、それなりに綺麗
という感じです。あ、夜景といえば小学生の頃に行った北海道旅行で函館山
の夜景を見に行ったことがありますが、まだ景色に興味なんぞ全くなかった自
分は夜景そっちのけでお土産屋に行ってたっけ…。いくらガキのすることとは
いえ、天下の函館山でこんなアホな事をしたのを今は後悔しています。
 え〜と………い、一応別府湾方面です。昼間ならさぞ美しい海の眺めが拝
めたでしょうが、夜7時となるとこの有様。ただ真っ暗闇を写しただけの写真が
出来上がってしまいました(苦笑 やっぱタワーでも何でも海が見える場所は
昼間に訪れるのがベストだと確信した瞬間でした。
 下に目を向けてみると片側3車線の広い道路、そしてそこをビュンビュン走
る車達…。ここから見ると何故か車が蛍に見えます。いや、見える大きさから
するとそれ以下かも…。それより上に写り込んでいる「非常口」のマークが不
気味で不気味で仕方ないんですが…。(怖
 夜景も見終わったし、そろそろ下りるか〜。と思ったところにこんな冊子が。
観光地とかによくある思い出ノートです。これを見るのは初めてだったり…。
まぁとにかくここを訪れた記念にとノートのどこかに記入し、スタンプも捺しまし
た。エレベーターの待ち時間にもなるしね♪
 書き終わったところでエレベーターが来たので下へ行き、建物を出ました。
 今日の食事を思い返してみると、朝はおにぎり、昼はサンドイッチ…。要する
にまともな食事を摂ってないということです。なので晩飯こそは温かい食事に
しようと物色した結果、1軒の食堂を見つけたのでそこにしました。どうやらこ
の店のオススメはとり天みたいなのでとり天定食を注文。とり天の味もさるこ
とながら、店の雰囲気もかなり印象に残りました。言葉にして表すのは難しい
ですが、言うとすれば一昔前の食堂みたいな感じでしょうか。最近のファース
トフード店には無い温かい雰囲気を味わったところでお勘定といきました。
 さらにその近くにはシネマまでありました。シネマ………これもすごく懐かし
い雰囲気ですね。思えば別府観光では懐かし物にやたらと出くわしてるよう
な…。で、看板に書かれた「1949」にもっと驚く。ここに「1949」という数字が書
かれてるということは、ここが出来たのが1949年ということになります。とする
と、60年間ずっとこの地に鎮座してきたってことか。すげぇなぁ〜。そして、ここ
にも「おくりびと」旋風が…。(笑
 こうして本日宿泊する別府ステーションホテルに到着しました。「ステーション
ホテル」と名乗ってるくらいだから駅からもかなり近いです。そういえば昨日は
宿泊するホテルの場所が分からず1時間も夜の街を彷徨った記憶があるんで
すが、今日は駅を出てから10秒足らずでホテルの場所を見つけました。この
差は一体…。
 ホテルの前には手湯もありました。さっきの別府駅前のものにも言えること
ですが、手軽に温泉気分が味わえるというのは温泉地ならではの配慮です
ね。

 このホテルには大浴場もあります。そのため、さっきのリベンジを兼ねて早
速入ろうかと思いましたが、ここは朝湯もやってるので朝のお楽しみとしておく
ことに。こうしてサッカーの試合中継やドラマとかを見てから寝ました。

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