<その1>


 平日の帰宅ラッシュで大混雑の京浜東北線を上野で下車し、階下にある13番線ホームにやって来ました。上野駅13番
線の旅立ちを感じさせる雰囲気は個人的にいい感じです。柱を見ると「カシオペア10周年」と書かれたポスターが貼ってあ
りました。そういえばカシオペアも10年選手なんですよね。そして13番線といえば五ツ星広場。上野駅を発車する寝台特急
を利用する人達のための待合スペースです。そこの看板には「あけぼの号・北陸号・カシオペア号・北斗星号専用待合所」
と書いてありました。「専用」ということはこれらの列車に乗る時しか利用してはいけないとも解釈できますが、「まぁいいか」
と思ってこっそり利用させていただきました。事実、前回行った時は早朝でしたが特段閉鎖されている様子も無かった
し…。ちなみに椅子はほとんどが埋まっており、広く利用されているようです。ていうか五ツ星広場の看板を見て疑問に
思ったんですが、カシオペアや北斗星の方が一般客にも広く認知されていて利用客も多いというのに、何であけぼの号や
北陸号の方が文字が大きいんでしょうか…。
 五ツ星広場でしばらく待ってると北陸号が入線してきました。北陸号は夜遅くに東京を出て朝早くに東京に着くためなか
なか撮る機会が無い…。というわけで撮影しました。この列車を狙った撮影者もちらほらいたようで、先頭は機関車を撮影
する鉄道ファンで、最後尾は乗車する前に記念撮影をする乗客でそれぞれ賑わっていました。

 北陸号の撮影を早々と切り上げて夜食を買いに17番線の近くにあるNEWDAYSへ。その帰り際に案内表示を見たとこ
ろ、これから乗る能登号は16番線に入線するようなので移動。上野駅の16番線はさしづめ「優等列車専用ホーム」といった
感じで、ホームに行く際は改札口を通らなくてはいけません。優等列車しか発着しないホームなので普通の乗車券では入
ることができず、撮影目的でこのホームへ行くには入場券を買わないと入ることができません。感覚は新幹線ホームに近
いですね。ちなみにこの改札口は有人改札で、駅員さんに行きの切符と指定券を見せたらあっさり入れました。そんなわ
けで能登号の入線を待ちます。隣にある17番線は常磐線の特急ホームで、本日の常磐線特急の最終であるフレッシュひ
たち75号が発車を待ってました。


旅のスタートは上野駅13番線

発車を待つ北陸号

あけぼの号が北斗星より優先順位が高いって…

常磐特急の最終便
高崎線・上越線・信越本線・北陸本線
能登
(金沢行き)
上野
(23:33)
高岡
(05:56)

 送り込みがホームライナーになってるのか、能登号はホームライナーのヘッドマークで入線してきました。「そういえばボ
ンネット車両のヘッドマークの交換はどういった段取りでやるんだろう」と思ったので見てみたんですが…。「ホームライ
ナー」のヘッドマークの下に「能登」のヘッドマークがあったようで、「ホームライナー」のヘッドマークを外すだけで交換終了
となったのでした。入線してからしばらくは車内清掃があるため車内には入れず、もうしばらくホームで待ちました。
 そして入線10分後にようやくドアが開きました。指定された席は2号車の5番D席です。自由席でも良かったんですが、
やっぱり自席があった方がいいですよね。車内を色々見回してるうちに揺れとともに列車は動き出しました。ちなみに乗車
率ですが、夏休みだというのにガラガラでした。空いてる方がゆっくり寛げるのは確かなんですが、これだとなんだか心
配…。
 しばらく走ると尾久の車両基地が見えてきました。疎開回送でここに来たのでしょうか、京浜東北線を追い出された209系
が何本か留置されてました。この辺は列車が詰まってる関係からか、あまりスピードを出さずに大宮に停車し、その後高崎
線内に入ってもあまりスピードは上がりません。そんな感じで熊谷に停車。停車する直前に秩父鉄道の車両が見えまし
た。暗くて見にくいのは時間が時間なだけに仕方ないですが、一番手前で寝ている車両はオレンジ色の1000系だってこと
は一目で分かりました。この車両は鉄道博物館の開館を記念して今の塗装になったそうです。
 熊谷を出たらようやく本領発揮したのか、結構なスピードで走ります。そして高崎に停車。高崎では7分ほど停車というこ
とで外に出てちょっと気分転換。反対側のホームにはムーンライトえちごが停車していました。今日は平日なので運転され
てないと思ってましたが、よく考えれば夏休みシーズンでしたっけ…。やっぱり485系同士(厳密に言えばちょっと違います
が)の並びは圧巻ですね。とはいえ、こっちは急行であっちは臨時の快速ですから、そう考えるとどうしても没落した感
が…。ムーンライトえちごは北陸号や能登号と同じ理由で撮影しにくいため、この機会に撮っておきます。ちなみに列車自
体は初の撮影。
 高崎を発車したらすぐにおやすみ放送と減灯。座席夜行に乗るのはこれで4回目ですが、過去の3回はいずれも減灯し
てくれないムーンライトながらだったので、このサービスはかなりありがたいです。長岡からの方向転換に備えてあらかじ
め座席を回転させ、足を伸ばして眠りに就きました。



 ところが、なかなか寝付けない…。寝ようとしましたが浅い眠りで、途中何度か起きてしまいました。なのでかなり長い夜
でした。前ながらに乗ったときは寝付けたのにな。そんな感じで糸魚川に停車。外も明るくなってきたので、ここからは完全
に起きることにしました。しばらくして列車は日本海沿いに差し掛かり、景色もいいものになりました。この辺りの風景は
去年の春にも見ましたが、今回は朝早いということで雰囲気が違って見えます。よく晴れた日中の海と比べると綺麗さでは
劣ってしまいますが、まだ完全に明るくなってない早朝の海というのも悪くないですね。こんな風景が10分ほど続いたら、
列車は海から離れ、いつしか住宅地に入りました。富山県は持ち家率が全国的に高いので、住宅も圧倒的に一軒家が多
かったです。
 こうして列車は富山に停車。ここで降りた乗客は意外と少なかったような気がします。そして富山を発車してすぐに朝日
が昇っていくのが見えました。うむ、今日もいい天気になりそうだ。そして5時56分、定刻で列車は高岡に停車。終点の金
沢までもう少しですが、僕はここで下車します。


「ホームライナー」の下に「能登」が…

尾久に眠る209系

高崎でムーンライトえちごと並ぶ

一軒家ばかりの富山の住宅地

車内は比較的空いていた

熊谷ではオレンジの1000系を目撃

早朝の日本海沿いを走る

今日もいい日になりそうだ
氷見線
普通列車
(氷見行き)
高岡
(06:00)
雨晴
(06:20)

 ここで氷見線に乗り換えるわけですが、その乗り換え時間は4分とかなり短め。とはいえまだ余裕があったので一旦改札
を出る。ついでにここまでお供した切符を記念に残そうとしたんですが、改札にいた駅員さんが切符を残すのに必要な判
子を出すのに手間取ってて、なんか時間がかかりそう…。列車の発車時刻も迫ってきたので、切符を残すのは諦めること
にしました。そして氷見線のホームへと急ぎ、何とか氷見線の列車に乗車できました。この列車、始発だというのに3両もつ
なげてました。乗車率を見ると2両で十分足りるくらいですが、折り返しのラッシュに備えた結果なんでしょうか…。列車は
しばらく住宅地の中を走ります。なので景色もあまり面白味のあるものじゃないんですが、住宅スレスレで走ってるのと
ディーゼルカー特有ののんびりしたスピードのせいか、住宅の様子がよく見えたのもこれはこれで面白いかな。
 越中国分を発車すると列車は一気に海岸線沿いに入ります。さっきまで住宅地の中を走っていたのに、この景色の変わ
り様はすごい。しかしやっぱり海沿いの路線というのはいいものです。こうして雨晴で下車。ここから徒歩で雨晴海岸の方
へ行きます。

 駅から海岸までは徒歩でわずか3分。その道中で1回踏切を渡りましたが、遮断機が無いタイプの踏切でした。これを見
ると随分遠くに来た実感が沸いてきます。そしてそこから直進すると日本海の美しい風景が見えました。というわけでそん
な景色の中を早速散策といきます。やっぱり綺麗な風景が続く中を散歩するのは気持ちいいな。ただ、綺麗なことは綺麗
なんですが、砂浜にゴミがたくさん打ち上げられてるという惨状を何回か目にしました。とても残念ですが、どこの海に行っ
てもこういう現実を見せられるんだよな〜。あと、ボートも結構置かれてました。
 入口からしばらくは遊歩道が整備されていたんですが、それが途切れると今度は砂浜の上を歩きました。海岸線を歩くこ
と自体かなり久しぶりなので砂の上もしばらく歩いてないんですが、やはり砂に足をとられて歩き辛い…。砂浜をしばらく歩
くと岩場に差し掛かりました。ここはさっきの砂浜よりは歩きやすいんですが、やはりちょっと歩き辛かったです。まぁこの
歩き辛さが海岸線を歩くことの醍醐味だと言えるんですが。そして入口から歩いて15分、目的地の通称「義経岩」に到着し
ました。「北陸地方でなんで源義経が関係してるんだ?」と思いましたが、岩の前にある看板によると、源義経が奥州下り
の際にここを通りかかった時、にわか雨にあい、この下に家来ともども雨宿りしたという伝説があるんだそうです。義経一
行が雨宿りしたといわれる岩の中にも入ってみたんですが、ちょっとした洞窟みたいな感じでした。なるほど、確かにここな
ら雨宿りができそうだ。ちなみに岩の前には神社がありました。小さな鳥居と賽銭箱があるだけの神社ですが…。その周
辺は板張りでベンチもあるなど、それなりに整備されているようでした。ここのベンチでちょっとばかり休憩しました。
 休憩したら義経岩を後にします。ここで思い付いたのが海岸のそばを走る氷見線の撮影。次の高岡行きの列車の時刻
を調べようとしたら………、いきなり高岡行きの列車が来てしまいました。慌ててカメラを構えましたが、出来は悪くない。
車両は3両編成で、行きに乗った列車の折り返しでした。撮影を終えて移動しようとした次の瞬間…。…思いっきりすっ転
んでしまいました(苦笑 幸い大事には至らなかったんですが、これだから砂浜は…。。。
 気を取り直して再び海岸を歩きました。天気は穏やかながらもさすが日本海、波打ち際はそれなりに波打っていて、これ
を見る度に足が止まりました。時々大きな波が来ることもあり、波しぶきが自分にかかることも1回あったり。これ、結構迫
力あります。ということで、波打ち際で大きく波を打った瞬間を写真に収めようとしました。実際、大きく波しぶきを上げるの
は一瞬なので、シャッターチャンスが狭い!なので何回も撮影し、ようやく満足した写真が撮れたといったところ。そんな
わけで行きと同じく岩場、砂浜、遊歩道と歩いて雨晴駅に戻りました。砂浜をたっぷり歩いたからか、戻る頃には靴の中は
見事に砂だらけ…。

 駅に着いたのは次の列車に乗る10分前。いつも滞在時間を持て余し気味ですが、珍しく時間配分が丁度良かったです。
この駅は委託駅のようで、観光協会の方が駅員をしてました。雨晴海岸の絵はがきも売ってるようなので、記念にと1枚購
入しました。値段も80円と安いし…。待ち時間のうちにあれこれ撮影していると高岡行きの列車が入線しました。


線路と住宅がスレスレ

遮断機が無い踏切、そしてその向こうには海

だけどゴミの散乱は残念…

義経岩の前には神社もあった

丁度氷見線の列車が来たので撮影

今まさに大きく波打っている

越中国分を出ると風景が一変する

やっぱり海の眺めは素晴らしい

砂浜も歩いた

岩の下は居心地が良さそう

個人的にお気に入りの写真

雨晴駅に戻った

<その2>
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