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9ひき目のおさかな


1999年10月15日

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  林さんの畑にイノシシはもう来なくなりましたが、白い犬は、このまま林さんが引き取ることになったそうです。老犬で狩猟の役には立たないから、前の飼い主が要らなくなったんだって。
  ところがエサをちゃんと貰っていないのに、おとうさんが気づきました。林さんは田んぼの方が忙しくて、あまり来られないみたいです。かわいそうだからと、おとうさんはドッグフードの大袋を買ってきて、時々持っていってあげてます。
  はじめは、おとうさんが近づくと唸っていました。皿にエサを入れてあげても、見ている前では食べなかったそうです。5、6回くり返すうちに、尻尾を振るようになり、今ではうれしそうに出迎えて、手の匂いを嗅いだりします。
  おとうさんのことを「犬の宅配おじさん」と、おかあさんは呼んでいます。ついでに犬の名前も付けちゃおうか。


1999年10月16日

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  お局がいじわるなので、つくねとネギはエサにありつけません。おかあさんが小屋に入って見張ってやると、安心して食べます。林さんに相談したら、大きいのがヒナをいじめることは、よくあるそうで、お局を他のと取り替えてくれました。
  つくねたちと同じ時期に産まれた中ビナで、ネギよりも少し大きい白色のが新しい仲間になりました。名前は「サティ」にしました。
  今度はみんな仲良しでよかったね。たまごを産んでくれるのは、来年の春になりそうだけど。


1999年10月18日

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  おとうさんとおかあさんは生駒高原のコスモスを見に出かけました。霧島の紅葉はまだだけど、県道沿いの木々はすっかり秋景色。車はえびの高原の白いススキの穂の中を通り抜けて小林市へ。
  久しぶりに来た生駒高原は……なんとなく様子が違う感じ。背丈ほどもある色とりどりのコスモスの群落が見渡す限り広がっていたはずなのに。  芝生と花壇の公園ができてコスモス畑が少なくなってしまいました。がっかり……
  それとも昔の思い出の方がよく見えるのかしら。


1999年10月21日

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  きょうは脱穀のお手伝い。この前、稲掛けをした山あいの田んぼの稲が、やっと乾きました。
  林さんの奥さんが脱穀機を運転し、おかあさんは竿にかけた稲穂をはずして、台に乗せる役目。ワラの粉塵が目に入って痛いので、サングラスをかけました。
  林さんとおとうさんは竿を片づけ、ワラを運搬車に積み上げました。この時期、ワラを山のように積んだトラックをよく見かけます。最後に一俵のモミが入った袋を運びました。すごく重そう。
  これで今年の刈り入れは終わりました。おとうさんとおかあさんは、ちょっと疲れたけど楽しかったって。お米2俵もらいました。収穫のお手伝いをした新米の味は格別でしょう。


1999年10月23日

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  農作業も一段落して、おとうさんは久しぶりに釣りに出かけました。満月で星がきれいな夜、おとうさんはこおどりして帰ってきました。「大きなオコゼが釣れた」と大喜びしています。
  えっ! こんなトゲトゲで変な顔の魚、私食べないからね。
  おとうさんは広島にいた頃食べたことがあって、皮まで美味しい超高級魚なんだって。おとうさんがさばいている間、ジョームお姉ちゃんはずっと側を離れませんでした。おとうさんとおかあさんは刺身と唐揚げにして、きれいに食べてしまいました。
  お姉ちゃんは、魚の喉のいちばんおいしいところをチョビッともらったら、それはそれはおいしかったって。
  今度釣れたら私も食べてみようかな。


1999年10月27日

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  わが家ではお正月にお煮しめをたくさん作ります。
  里イモは林さんの奥さんにおいしいのをもらいました。キメが細かくて煮くずれしません。大根は──去年はスーパーで買った三浦大根を使ってみたらすごくおいしくできたので、おかあさんはすっかり気に入って、うちの畑でも作ってみることにしました。
  先月まいた種が順調に育って、だんだん大根葉らしくなってきました。おかあさんは虫をつまんで取ったり、土寄せしたり、とても手をかけています。あんなに太くてりっばなのが本当に穫れたらいいんだけど。


1999年10月30日

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  ニワトリさんたちは食欲旺盛です。鶏用の飼料をいつもエサ箱に入れてあるのに、おかあさんが小屋へ入るとピヨピヨ(ごはんちょうだい)と皆で寄ってきて突つきます。ちょっと痛いけど、これ、甘えてるんだよね?
  菜っぱが大好きなので、おかあさんはカブの葉やキャベツなどの野菜くずをきざんであげます。おとうさんは 「ぼくの食事より手間かけてる」 とやっかんでます。でも一番の好物は──虫です。畑の野菜についてる青虫やバッタを取ってきてあげると、かわいいお嬢さんたちが豹変して、 「それはアタシのだ」 「よこせ、このヤロー」 とすさまじい奪い合い。おかあさんも私も唖然……


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