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8ぴき目のおさかな


1999年10月1日

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  秋晴れの日が続きます。
  こんな気持ちのいい朝は早起きしないともったいないので、おかあさんを起こして早めに朝ごはんをもらって、みんなで林さんの畑までお散歩に行きました。
  青いトタン屋根の農機具小屋に、番犬の白くんがポツンと佇んでいます。まだイノシシは出るのかしら。


1999年10月4日

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  稲刈りのシーズンになりました。農家が一年でいちばん忙しい時期です。林さんにお手伝いを頼まれ、おとうさんもおかあさんもはりきってます。
  きょうの作業は稲かけ。稲刈り機が刈り取って束ねた稲穂を3、4束ずつ集めて竿に掛けていきます。
  稲穂を腕にかかえると、いい匂い。そんなに重くありません。おかあさんは生まれてはじめての体験に、課外授業の小学生になったみたい。「ぼちぼち、やんなさいね」 と林さんの奥さんが声をかけます。雲ひとつない空。ひんやりした風がいい気持ち。皆の話し声や笑い声が響きます。
  稲掛けの竿が何本も並びました。根元の部分にビニールをかぶせて脱穀までの間、2週間ほど天日干しにします。
  最近は稲刈りと脱穀を一度にコンバインでやってしまい、灯油を使った機械乾燥をす るのが一般的だそうです。でも天日干しの米のほうがうまいと、林さんは言います。霧島の人は地元のお米に自信をもっています。


1999年10月8日

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  野坂先生と奥さんが、連休を利用して遊びに来ます。おとうさんたちは空港まで迎えに行きました。大きくなったけど私のこと、覚えてるかな。
  先生は畑仕事が好きだし、奥さんは植木の手入れが上手なので、いろいろ手伝ってもらっちゃおうと、おかあさんは期待しています。


1999年10月9日


  野坂先生は、とても早起き。
  午前中は、畑の手前に柵を作ってくれました。放し飼いのウサギたちが苗をかじって困っていたので、おかあさんは大助かり。でも私は柵越えちゃうもんね。
  午後は、みんなで林さんの稲掛けの手伝いをしました。山あいの水源地にいちばん近い田んぼです。冷たく、きれいな水がおいしいお米を育てるそうです。
  夕方、林さんのサツマイモ畑で芋掘りをさせてもらいました。白い芋(黄金千貫)と赤い芋(紅さつま)が次々に出てきます。おみやげに持って帰ってね。
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1999年10月10日


  おかあさんは田舎暮らしをしたら、ぜひ鶏を飼いたいと思ってました。わが家の鶏が産んでくれたタマゴを毎日食べられたら、すてきでしょう。林さんがヒナを下さるというので、ついに実現しそうです!
  野坂先生とおとうさんは、さっそく鶏小屋作り。ウサギ小屋の半分を改造して、別々の扉をつけました。奥に棚を置いて、干し草を敷いて、出来上がり。ワクワク。 photo/m044.jpg

  午後、林さんの息子さんの田んぼに、手伝いに行きました。コンバインで刈り取った後のワラを集める作業です。大きなフォークでかき集めたのを、機械がバッコン、バッコンと四角い塊にします。これを牛の飼料にするそうです。ちょっと疲れた……
  夜、林さん夫妻といっしょに宴会。新鮮な鯉のアライと唐揚げを持って来てくれました。林さんは焼酎が大好きだけど、おとうさんもおかあさんもお酒弱いので、先生の奥さんがお相手をしてくれてよかった。


1999年10月11日

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  今朝、林さんが雌鶏を3羽、連れてきました。中くらいのヒナ2羽と、オトナの鶏1羽です。おかあさんは鶏に触るの初めて。そーっと抱いて小屋に入れました。ヒナは生後7ヶ月くらいだそうです。私と同じだね。ヒヨヒヨと澄んだ、きれいな声。オトナはコケッコケッと言ってます。
  私は鶏小屋の前にしゃがみ込んで、ずっと眺めてました。あれ……大きいのがヒナをいじめてるみたい。エサを食べようとすると、つついて追っ払ってる。ヒナたちは奥の棚に隠れてしまいました。 photo/m046.jpg


  「ちょっと、おねえさん、妹たちをいじめちゃだめでしょ」
  「ゴゲッ」(おだまり!)
  ヒェッ、びっくりした。

  おかあさんは大きいのを「お局」、ヒナの茶色のを「つくね」、白いのを「ネギ」と名付けました。


1999年10月12日

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  野坂先生たちが帰りました。
  先生は柿とイチジク、ブドウの苗木を植えていきました。まだ小さい苗です。食べられるの、いつかな。それと、おかあさんの花壇にローズマリーやミントの苗も植えてくれました。すてきなハーブ園ができるといいね。奥さんが剪定してくれたので、庭木もすっきりしました。
  お疲れさま。


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