後半に入っても最初のヤマ場、お江の家康襲撃場面(10月9日放送)では、DVEをフルに活用したSFXが登場する。舟橋、軍列、背景のヤマや川など、1つの画面に20近い絵が合成される予定だが、そのプロセスとスタッフの演出プランをもとに紹介すると―――
これからの時代劇はアイデアが勝負
人間の動きだけではない。放送では、忍びの格闘シーンで手裏剣が縦横に飛び交う場面がよく出てくるが、これは、スタジオで制止した手裏剣だけを撮影。その絵をDVEで回転、縮小、拡大、ワイプ(移動)させながら別の画面に合成させたものだ。刃先から撮った手裏剣の絵を画面の手前にドーンと拡大させれば、手裏剣が画面からこちらにピュンと飛び出して来るような迫力ある効果も生まれてくる。
「工夫さえすれば、どんな映像でも考えられるわけだから、これはもうアイデアの勝負ですね。毎回、DVEを使って、アッと驚くシーンを必ず1つは入れたいと思っているんです。今度はどんなすごいシーンが出てくるか――、視聴者のそんな期待にこたえられれば」(大原チーフ・ディレクター)と言う。
これから登場するSFX
ところで、ドラマはこれから敵味方に別れた真田父子の対決。関ヶ原の合戦、そして大坂の陣での幸村の活躍と盛り上がっていくが、さしあたって一番の見どころになるのは、関ヶ原へ向かう徳川家康をお江が単身襲撃するシーンだ(10月9日放送 第25話・家康襲撃)。
台本によると、設定は40余の鵜飼用の舟を並べて仮橋を渡した長良川。その橋を家康の輿を中心に、何百もの徳川軍本隊が渡る。その行列にまぎれ込んだお江が、騎士たちの兜を踏みつけながら宙を跳び、家康の輿に迫る。そして家康めがけて投げ爪を投げるというすごい場面。
現代の長良川では、人工物が入ってしまうし、川にこんな舟橋をかけるのも困難である。画面には少なくとも100人ぐらいの軍勢は出したいが、そんな膨大な予算はない。そこで台本で描かれた情景を、DVEを駆使して再現してしまおうというのだ。上の絵は、美術スタッフが書いたその演出プラン。美術担当の内藤チーフ・ディレクターによると「軍勢、旗さし物、家康の輿、舟橋、背景の山や空、そして宙を跳ぶお江など、最終的には20以上の絵が1つの画面に合成されるだろう」と言うからオドロキだ。
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