「Taiyo」 (1996) 森高千里
90年代に一番良く聴いた日本の音楽はというと,森高千里だ。
内容も良かったし,売れたし,アルバムを量産してくれた。
森高さんの代表作というと,ワタシもやはり名盤”非実力派宣言”を選ぶが,これは80年代の作品だ。
”古今東西”も”ロック・アライブ”も良かったし,”ラッキー7”もなかなかだし,近作の”サバサバ”も捨てがたい。
エイリアンのパロディーになっていたハエ男のプロモーション・ビデオは迫真の出来だった。
どれを選んでもいいんだが,どれも決定的という感じでもない。
んで,とりあえずこの”TAIYO”にすることにした。
森高さんのことは,以前MUSIC*SIGに書き込んだことがあり,TAIYOのことではないけど,引用しよう。
人はこれを手抜きと呼ぶ(^^
【この一枚・一曲】
「夜の煙突/森高千里(作詞・作曲:直枝政太郎(1989年))」 ※「非実力派宣言」(ワーナー,WPCL-505,に収録)
森高千里の音楽活動は,大きく分けて3期に分類されると思う。
第T期「デビュー・アイドル期」
第U期「テクノ・自作開始期」
第V期「自作・自演期」
それぞれの活動時期において,多数の作品を残し,自由で斬新な視点からあれよあれよと多数の傑作を産みだしてきた。
第U期には年に2枚のアルバムを出し続けており,たいへんな勢いだった。
音楽的な評価と人気が高まったのは,南沙織の「17歳」のカバーがヒットし,アルバム「非実力派宣言」「古今東西」と立て続けに会作を発表してからだ。
ちなみにワタシがファンになったのも非実力派宣言以後だ。
森高千里の歌詞の素晴らしさは,多くの人の認めるところであり,その文句の付けようがない容姿には説明はいらない。
天は二物を与えたのである。
妙な振り付けと踊りには文句をつけてくる人もいるかもしれん。
森高の歌は,怒り・ソング−「覗かないで」「臭いモノには蓋をしろ」「蠅男」等,
胸キュン・ソング−「この街」「I Love You」「渡良瀬川」等,
昆虫モノあるいはお笑い・ソング−「バスターズ・ブルース」等,
カバー作品−「17歳」「僕のリズムを聴いてくれ」「ファンキーモンキー・ベイビー」等
と,いくつかのパターンが見られるが,ここで取り上げた曲は,これらのパターンに区分しにくい。
本作品は自身による歌詞ではなく,カーネーションの直枝氏の手による作品だ。
非実力派宣言に納められたこの曲はカーネーションのバージョンをしのぎ,この時期に発表されたライブ・ビデオにも収録されている。
リフだけから構成されている様な曲構成と,何のこっちゃかよく分からない歌詞,単純明快な演奏で,生の森高の良さをよく伝えていると思う。
アルバムバージョンにおける演奏はカーネーションによるもので,プロモーション・ビデオにも彼らは登場している。
以下に歌詞を収録したが,なんとこれだけの歌詞である(・・;) −略−
胸キュンの名曲や面白い曲,ハッとさせる様な曲等,森高は森高千里というジャンルを確立し,次世代に残る歌を次々と残してきたし,これからも産みだしてくれることだろう。
しかし,この曲のどこが良いのか,どこが好きなのか,分からない人にはきっと一生わからないだろう。
さて,ララ・サンシャインに始まり,ジョージ・ハリソンの"here
comes the sun",で終わるTAIYOは,明るく楽しい作品が揃っている。
森高さんの曲作りはとてもシンプルで虚飾がない。体育会系というか,考えすぎのところがない。
そういったストレートな表現を耳にして,日本の音楽ってこれだったんだと何度も思い起こさせてくれた。
熊本県出身のある評論家は,森高さんを評して”熊本の誇り”と呼んだ。
ワタシは森高さんのことを”日本の宝”と呼びたい。