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「さっきあんたを見かけたんだが、なかなか声をかけにくくてな。とりあえず、元気そうでなによりだな、旦那」 「すまんな、ゼル」 オレはゼルガディスの言葉を中途で遮った。 「悪いが再会を喜びあっている暇はない―――ちょっと急ぎの用事があってな」 オレはとりあえず剣を鞘に納めた。だが警戒は怠らない。相手が旧知の友人だとはいえ、それで油断できるほどオレ達は甘い旅をしてきたわけじゃない。特にこのゼルガディスの場合、オレ達に悪意を持っているとは思っていないが………何の為に動いているかによって、オレの行動を邪魔する可能性は十分にあった。 ゼルガディスが感情の読めない目でオレを見た。 「それは―――リナがさらわれたからか?」 オレは反射的にゼルガディスの襟首を締め上げた。 地面からつり上げるような状態になったが、ゼルガディスは顔色を変えもしない。 「おい。おまえ、何を知っている」 「全く………、あいつのことになると、あんた、見境がなくなるな」 苦笑するようにゼルガディスが言った。 「何で、お前がリナがさらわれたことを知っている。 まさかお前………」 ゼルガディスが片手をあげてオレを制した。 「幸か不幸かリナをさらったのは俺じゃない。それに詳しい事情を知ってるわけでもない」 ゼルガディスがかすかにため息をついた。 その瞳には憂いの色があった。 「オレは、頼まれてあんた達を捜してたんだよ、旦那」 「………どういうことだ?」 オレはゆっくりと、ゼルガディスをつるし上げている手から力を抜いた。 「どうやらリナが誰かにちょっかいをかけられそうだという情報があってな………。おれもその情報を持ってきたやつも………間に合えばと思ってあんた達を探していたんだが。なかなか上手く捕まえられなくてな」 ゼルガディスはがいったん言葉を切る。 「………少し来るのがおそかったようだな………」 わずかに瞳を伏せ、そういったゼルガディスの声には、紛れもなく落胆の色があった。 オレ達はそのまましばらく黙って佇む。 ゼルガディスがため息と共に思い口尾を開いた。 「まあ、それでも………そいつに会えば、さらわれた手がかりに少しでもなるかもしれん」 ゼルガディスの鋭い瞳がオレを射る。 次の台詞は疑問というより確認だった。 「近くの町で待ち合わせをしてるんだ。あんたも来るな? 旦那」 「ああ」 オレは肯いた。 手がかりが得られるなら………それこそどんなものでもかまわなかった。たとえそれが何かの罠であったとしても、オレは迷わず飛び込んだだろう。リナが姿を消して1週間。オレはいい加減焦っていた。オレの手元にある手がかりは、あの時少女の残した『北へ』という言葉、ただそれだけだった。 「いい返事だ」 ゼルガディスが再びフードをかぶり直しながら応じた。 「ガウリイさん」
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