ネクストキング 恋の千年王国
97年5月頃発売 発売元:バンダイ
全体的な感想
またまた古臭いゲームを持ってきたりしますが、私は最近古目のゲームをプレイする傾向にありまして。新作にあまり期待が持てないという面もあるのですが
購入動機
はて、こんなゲーム買った覚えないよなあ……ということで過去の記憶を検索していたのですが、そういえば00年末にほりさんから頂いた40品目の中に入ってたっけこれ。その中で一番面白そうだったから残しておいたんでした。というわけで買ったわけじゃないです。結果的には残しておいて大正解だったのですが
お話のはじまり
あるところにハーブランド王国という国がありまして、ここ数年は戦もなく皆平凡な生活を送っておりました。
王様はキングヘンリー王。高齢の彼は、そろそろ後継者を決めなければなりません。
そこで彼は、4人の王子様を呼びました。そして、こう言ったのです。
「1年後にお前達の誰かに王位を譲る。ただしわしの後継者は、国民の代表に投票してもらう事にするぞよ!」
有権者に選ばれたのは、12人のうら若き乙女達。その理由について王様は、「わしの趣味じゃ!」
……まあそういうわけで王子様達は女の子達の気を引くため、プレゼントを貢いだり冒険で男の強さをアピールしたりして「ネクストキング」を目指すことになったのです。
ところで王様、もはやギャルは死語だと思うぞ
システム
ジャンルは恋愛ボードゲーム。この手のゲームは他に当ページでも紹介したLittle Lovers SHE SO GAMEやセンチメンタルジャーニー、あと私は未プレイですが「あのこどこのこ」なんてのもあります。そうしたギャルゲー+ボードゲームの先駆け的存在であると同時に未だ最高傑作であると思います。少なくとも、4年経った現時点でLLやジャーニーよりも面白いと思えるあたり、明らかにこっちの勝ちでしょう。さすがはボードゲームはバンダイ
ゲームの流れを説明すると、1週間単位でお話は動いていきます。日曜の夜に王様から次の冒険先を発表されます。月曜から水曜の間に女の子を冒険に誘う、プレゼントを貢ぐ、または自分のパラメータを上げます。木曜日から日曜日までは冒険します。これが1年間繰り返されます。
ではまず月曜〜水曜パート。城内のマップが示され、女の子達の家が表示されています。前週の成績が良かった順にサイコロを二つ振り、振った数だけのマスを動く事ができます。目指す女の子の家が遠かったりすると、1日の移動では行けなかったりします。
女の子の家に着くと、彼女らの保護者が出迎えます。ここで女の子を呼んでもらうか修行するかの選択をします。プレーヤーには12のパラメータがありますが、各女の子はどれか1つのパラメータを重視しています。あまりそのパラメータが低かったりすると、保護者は会わせてくれません。容赦なく修行を選ばされます。また、女の子が誰か他の女の子の家に遊びに行っていて会えないということもあります。
女の子に会えると、アイテムをプレゼントするか週末の冒険に誘うかの選択をします。プレゼントするアイテムは週末の冒険での戦利品がほとんどです。各アイテムには「黒い物」「指輪以外の装飾品」「水着」など様々なカテゴリ分けがされています(例えば、『ドラゴンキラー』というアイテムは「武器」「ドラゴン関係」「黒い物」という複数のカテゴリを持っています)。
各女の子は好みのカテゴリを3つ持っています。この3つになるべく迎合するアイテムをプレゼントすると、女の子の好感度も大幅に上がるわけです。逆に全く迎合しないアイテムはほとんど興味を示しません。この好感度の上がりもサイコロを振って決めます。自分が確認した中で最高のものはサイコロ33個一斉に振りました。数では桃鉄を越えたかもしれません
木曜〜日曜パートです。7つほどの冒険先から王様指定の冒険先に行きます。ここでもサイコロを2個振ってマップのマスを進んでいきます。自分が通ったマスは開かれ、あるいは宝箱やモンスターが登場します。ですが自分は自分が止まったマスでしかイベントが起きません。次にそのマスを通る事によって、モンスターと戦う・宝箱を開ける(この場合は通るだけでOK)などのイベントが起きます。必ずしも一番が良いとは言えないという、ゲームバランスもしっかりしています。王子様達が動いたあとに、モンスターも移動します。
戦闘は基本的に仕掛けた方が先攻です。自らモンスターに突っ込んで行った場合は自分が先攻ですし、モンスターから近付いてきた場合はモンスター先攻です。ただし、宝箱を開けた場合にモンスターが出てくる場合があり、その場合はモンスター先攻です。戦闘はサイコロ1個を振ります。互いにHPが0にならないと引き分け。勝った場合は相手の強さに応じて冒険に同行している女の子の好感度が上がります。この好感度の上がりももちろんサイコロです。HPがゼロになると遠くに飛ばされ、再びHP満タンの状態から始まります。
冒険先でのみ、王子同士が戦う事もできます。相手のHPをゼロにさせると相手が持っているアイテムを1つ奪うことができます。相手が良いアイテムを持っている場合はこっちに集中する事もあります。勝つともちろん女の子の好感度が大幅に上がり、負けると大幅に下がります。
自分がアイテムとして武器や防具を持っている場合、攻撃や防御に補正がかかります。これは結構重要で、長く生き延びるためには武器防具をプレゼントしないことがポイントです。また、女の子達も戦闘に参加します。必殺技や特殊技能を持っている女の子もいて、ある意味王子より強かったりします。
こうして日曜日に帰ると、王様から総評及び活躍順が言い渡されます。ここで次の週の行動順が決まります。
このように1週間を繰り返し、12月末の投票日に1人でも多くの女の子に投票してもらえれば次の国王になれます。
実はこのゲームにはもう1つの目的があって、妃を選ぶというもの。こっちの方がメインかもしれませんが
告白できる相手は、自分に投票してくれた女の子。つまりゼロ票だった王子様はこの時点でアウトです。女の子にはかなりハードルの高い結婚条件があるので、なかなか大変です。王様にはなれたが告白は断られることもあるかもしれません。逆に王様にはなれなかったが妃を得たというケースもあるでしょう。どっちが幸せかは一目瞭然。
ちなみにこの時、王子様が告白のセリフを喋ってくれます。他の王子様の声が聞けるのはこのときだけです。ただこの告白のセリフが「第1印象から決めてました!」とか、「また、一緒に冒険に行きましょう」など、思わずねるとん紅鯨団を思い出してしまいました。
セーブは水曜日の冒険に行く前と日曜日の冒険から帰ってきた時に可能です。というか、このときに「セーブしますか?」という問いが必ず出てきます。ここで私が「あ、これいいなあ」と思ったのが、カーソルのデフォが「いいえ」になっていることです。そうそうセーブはしないわけで、いちいちカーソルを動かす必要が無くゲームを進めることができるのは良いなあと思いました。これ以外でも最初の「はじめから」「つづきから」「コンフィグ」の画面で、普通は「はじめから」にカーソルが置いてあるのがデフォのところ、このゲームは「つづきから」にデフォカーソルが置いてあって、こうした細かい気配りがなされているゲームは大好きです。
惜しむらくは、ボスキャラを倒す機会が何回かあるために、全てのボスキャラを最初の1回目で倒してしまうとゲーム後半がなんとも味気ないものになってしまうこと。それと、1プレイが異様に長い事でしょうか。私は10時間は掛かりました。
キャラクター
キャラクターデザインはうるし原智志さんという方です。彼女らには何故か愛称がついているので、それを付け加えて書きます。
”ずっこけシスター”フェンネル CV笠原弘子
天空の塔に置き去りにされていたところを神父様に拾ってもらい教会で育てられた少女。この「身元不明」というあたりで怪しさがハンパではないのですが。
あだ名にある通りドジキャラ。本人は「お笑いを演じているんですよ!」と自身満々。ここまでくると天然ボケも天然記念物である。
戦闘ではドジキャラぶりを発揮し、サイコロは1がほとんど。ただ僧侶なので回復能力を持っており、それだけは重宝する。また、アンデッド系モンスターには強い。
”恐怖の人体実験娘”カモミール CV冬馬由美
グリグリ眼鏡っ娘。マッドサイエンティスト系で、祖母は大魔道士マジョラム。
本人は自分にコンプレックスがあるらしく、ナイスバディになるための人体改造の薬を実験中である。王子達にはそのための材料を依頼してくることが多い。
戦闘では平均的に強く、薬品を使った攻撃をしてくる。
”仮面の美女”キャラウェイ CV勝生真沙子
呪いの仮面をつけて生れた不幸の美女(美女かどうかは仮面が取れないとわからないのだが)。というのも、彼女の父がチャービルという妖術士を封印した時に呪いを受けてしまったのである。
自分の将来に希望が持てないため、何度か自殺未遂も起こしたことがある。
戦闘能力はピカイチ。ただ、好みのプレゼントが武器防具という困った娘(ねだられてプレゼントしてしまうと補正がなくなってしまうので)。
”沈黙の歌姫”コリアンダー CV井上喜久子
吸血鬼に母親を殺され、そのショックで声が出なくなってしまった娘。なぜ声が出ないのにCVがあるかというと……まあそういう展開になるわけで。
意志疎通は彼女の持つハープとメモで行う。特にハープは素晴らしい腕前である。
戦闘ではやっぱりハープを使った攻撃。相手を魅了する効果があるのか?
”ミス・ワガママ”アニス CV天野由梨
ダンデライオン家という貴族の娘。この家はとんでもない金持ちで、保管場所にすら困っているらしい。王子がプレゼントをあげたりすると、逆に何個かお返しされたりする。
本人は体が弱く家から出してもらえないため、外の世界を見たがっている。そのくせ冒険に出ても途中で引き返したりと、なかなか先に進ませてくれない。
やはり天野由梨には、こういう役が似合うと思う(偏見)。
”人間嫌いの”ディル CV篠原恵美
魔物使いの娘。なんかよくわからん職業ですが、要は魔物を鞭でビシーーッ!とやって手なずける職業のようです。鞭でビシーーッ!が出てくるわけですから当然「女王様とお呼び!」も出てくるわけで。
彼女が持っている鞭はジョン君という名前で、彼女にとっては特別の鞭らしい。ジョン君と話している時は普通なのに、王子様に会うや女王様に変身する2面性キャラ。
戦闘能力は高く、特に自分が好きな王子と組むとほとんど5か6が出まくる。自分の強さを見てほしいからか。
”熱き肉弾”マレイン CV潘恵子
桐島カンナ。
…………ごめんなさいちゃんと説明します。
………………ごめんなさいやっぱり桐島カンナとしか説明できません。
”恋の水先案内人”サフラン CV丹下桜
大魔道士マジョラムの弟子である占いオババのもとで修行している娘。血液型??なのは、彼女のシナリオを解く事で明かされる。
王子のために恋占いしてくれる。サフランを除く有権者が誰を気に入っているか一目でわかる。
好きな王子と冒険に出るとぶりっ子してサイコロ1を出しまくる。CVが丹下桜でなければ1発ぶん殴っていたところだ。
そういえば「誰か私のこと、お嫁さんにしてえ!」と叫ぶセリフもあったけなあ……………はぁ……………
”秘宝コレクター”チコリ CV高山みなみ
盗賊の娘。母親が妖精の眠り粉によって眠りこけてしまい、その眠りを覚ますために世界の7大秘宝を集めている。ついでにボク症候群。
7大秘宝をプレゼントするととんでもなく好感度がアップする。それだけ秘宝集めに真剣ということか。
扉がある冒険先で彼女を連れて行くと、鍵を必要とせずにスルーパスできる。戦闘も必殺技が出やすく、私は重宝してました。
ちなみに高山みなみさんは前述の大魔道士マジョラムも演じていて、魔女と元気娘の2役と書くと某宮崎アニメみたいだ
”踊る拡声器”ローズマリー CV鶴ひろみ
酒場の踊り子をしているオネエサマ。その色っぽい言動で王子達を惑わす。しかし彼女のシナリオは、ある意味もっともタイトルに合致しているといえよう。
最年長だけあって、何かと物知り。このプレゼントを喜ぶ女の子を知りたい時は教えてくれる。
戦闘ではやっぱり投げキッスで相手を惑わす。
”かわいい守銭奴”ジンジャー CV荒木香恵
親父がギャンブルに負けて逃げ出してしまったため、その借金を返すべく日々奔走。王子達に1人100万ゴールド分のプレゼントを貢ぎさせ、最も貢いだ王子に一票を入れると公言。
貢いだアイテムに相当する数の気合のサイコロ(超重要アイテム)をくれるので、1年を通して不用品の始末に重宝する。
戦闘では商売人らしく、ハリセン攻撃。あまり強くないが。
”弱虫くノ一”クミン CV皆口裕子
忍者の家に弟子入りしている娘。弱虫を直したくて忍者に弟子入りしたのだという。
そのわりには相変わらず戦闘で逃げ出したりして、未だ病気は治っていない。
彼女は結構身持ちが固いのか、一度好きになってくれるとあまり心変わりしない。その辺サフランとは大違いだ。
アンゼリカ CV井上喜久子
プレーヤーをお兄ちゃんと呼ぶゲームの案内役。女の子が深夜に訪ねてきても意味深な言葉を残して通してくれる。
井上喜久子救済キャラという説が最有力(コリアンダーは早くても5月からしか喋ってくれないため)。
よく考えると井上喜久子が「お兄ちゃん♪」と呼ぶゲームなんてそうそうないのではないか。お姉ちゃんファンは今すぐショップへGO!
というように、声優さんは97年当時の眼鏡で見ると、かなりのレベルの高さを誇っていますね。
この12人の名前を見て気付いた方は立派でしょうが、全てハーブの名前だそうです。ンなのわかるわけねえ
シナリオ
バランスの取れたシステムと個性的なキャラで彩られたネクストキングですが、シナリオも素晴らしいものがあります。もちろん12人分のシナリオが用意されているのですが、各キャラにはキャラクターの項で書いたようなボスキャラが設定されていて、簡単に言うとそのキャラとボスキャラを倒す事で結婚のフラグが立つわけです。
私が気に入っている点は、シナリオを通して女の子の人間臭さが前面に出ている点です。けっして王子様に媚びずに、あわよくば王子を利用してやろうという気持ちが見え隠れするところに、女としてのリアリティを感じます。最近は主人公に媚びるゲームばかりなので、余計に目立つのかもしれません。
ちなみにこのゲーム、11人まで同時攻略が可能です。ただそうすると11人分のシナリオが同時進行してしまうわけで、慣れないうちはやらないほうが良いでしょう。私は初回プレイで9票獲得、6人のキャラと結婚できました。
この初回プレイ、攻略本を一切見ていません。6月くらいまでは苦戦でしたが、コツを掴むと一気に楽になります。難易度は低いでしょう。前述の通り時間は大いにかかりますが。
複数人数による4人までの対戦プレイも可能です。こちらは期限三ヶ月でして、むやみにプレイ時間が長くならないようになっています。
オープニングアニメ
ネクストキングで特筆すべき事として、オープニングアニメの出来の良さが挙げられます。出来といっても作画のレベルが高いとかそういう話ではありません。作画のレベルはLの季節に及ぶべくもありません。
じゃあ何が良いのかというと、アニメの構成。デモンストレーションとしての構成の出来の良さです。例えばこのアニメが秋葉原の店頭で流れていたとして、思わず足を止めて見入ってしまうと思われるほどの出来です。
オープニングで出てくるアニメは一部ゲーム中でも使われたりするのですが、その中でも特に彼女達をイメージづけるに足るシーンが使われます。さらに歌の間奏には喋れないコリアンダーを除く11人のキャラが一言喋ってくれたりして、サービス満点です。たぶんこのアニメで買った人かなりいるはずです。
最後に
この4人の王子図体から性格からバラバラなのだが、一体どのような遺伝子を受け継いでいるのだろう?
個人的且つ主観的評価
キャラクター:85点
シナリオ:81
サウンド:73点
システム:92点
オープニングアニメ:98点
総合:86点
(最終更新2003,1,4)