エリーのアトリエ 〜ザールブルグの錬金術士2〜

98年12月発売   発売元  ガスト

全体的な感想


みなさんの子供の頃の夢は何でしたか? 何を隠そう、私の少年時代の夢は「電車の車掌さん」か「怪しげな化学者」でした。ちなみに春からの就職先とは微塵たりとも関係ありませんが。そんな私の夢の後者の方を叶えてくれるソフト、それが「アトリエ」シリーズです。

 

購入動機

久々にギャルゲーからちょっと離れたラインを遊んでみたかったからです。そうそう、始めに書いておかなければならないのですがこのゲーム、純粋な意味でのギャルゲーじゃないです。もちろんギャルが出てきて(つーか主人公から女だし)男キャラとのラブラブに近いイベントもありますが、エンディングには全く作用してきません。そんなわけで絵だけで購入を決めないように……このゲームに限ってんな奴いねえか

「アトリエ」シリーズは「マリーのアトリエ」「エリーのアトリエ」と二作品出ています。んでアトリエシリーズのうちどっちを買うか(「マリー」か「エリー」か)ですが、これはマリーとエリーの絵を見比べて決めました。「マリー」と「エリー」では原画担当の人が違うのですが、山形伊左衛門さんのソフトなタッチの絵のほうが好みのようです。声を担当している声優さんで決めるなら文句無しにエリーは却下なんですが(待てェ!)

「エリー」を選んだもう1つの理由として、この手のいわゆる「2作目ソフト」の感想としてお約束な「前作をやったことがある人ならお勧め」に対するアンチテーゼがあります。この論理で行くと裏を返せば「前作をやったことのない奴にはお勧めできんな」となるのですが、いくらなんでもそれはねえだろうと。2作目は前作よりパワーアップしてシステムの不備なども改良してあるはずだし

ちなみに、第3作目が先日発表されました。タイトルは「リリーのアトリエ」。2001年初夏発売でハードはPS2。「マリー」の30年前という設定ですが、買うかどうかはまだ全くの未定です。

 

お話の出だし

むかしむかし、シグザール王国の王都ザールブルグから少し離れたところに、ロブソン村という小さな村がありました。
その村を、流行り病が襲いました。なかでも村一番の元気娘エルフィールは、瀕死の重症でした。
一人の錬金術士が、この村を通りかかりました。彼女は、村が流行り病と知るや薬を調合し、エルフィールすらも全快してしまいました。
彼女は、エルフィールが全快する前に「マルローネ」という名を残して村を去ってしまったので、エルフィールはお礼を言うことさえも叶いませんでした。
そして、エルフィールは決心しました。「錬金術士になろう。そしていつの日かマルローネさんにお礼を言うんだ」
エルフィールは錬金術士になるためのアカデミーを受験します。しかし結果は補欠合格。補欠合格者はアカデミーの寮に入ることが許されず、自分で工房を開いて生活をしつつ研究していくことが条件だ、とイングリド先生から聞かされるエルフィール。
そしてエルフィールに与えられた工房は、奇しくも彼女の恩人「マルローネ」が5年間を過ごした工房に他ならなかったのです……。


・・・・・・・・・・・・というイントロ部分がゲーム中のオープニングに全く出てこず、同梱のドラマCD内に収められているのは果たして良いことなのか悪いことなのか、私には判断がつきません。

 

キャラクター(ややネタバレ)

前述の通りギャルゲーじゃないので男キャラが多いです。


エルフィール・トラウマトラウム(エリー) CV長沢美樹
プレーヤーの分身たる主人公。瀕死の流行り病のところをたまたま通りがかったマルローネに助けられ、錬金術士を志す。
「素質はマルローネ以上かもしれない……」とあるが、本当にそうなのか?いや、前作やってないから知らんけど。
チーズケーキが大好き。なぜか錬金術で作れるのだが、チーズケーキへのこだわりも強く、出来の悪いものだと捨ててしまう。何度捨てられた事か(笑)。もうちょっと妥協点を模索せい

アイゼル・ワイマール CV飯塚雅弓
エリーのアカデミーの同級生で貴族の娘。よって気が強くタカビー。なぜかライバル宣言をしてきたりする。まあ、先生同士がライバルだから仕方あるまい。
プレー開始8日目から雇う事ができるが、ノルディスより弱いくせに護衛料を取る。もっとも、エリーよりは強いが。
彼女との友好度を上げていくとレズレズなイベントがあるかと思いきや、彼女はノルディスの事が好きなのでそういうイベントはない。見たかったのに(笑)。
飯塚雅弓が演じるキャラでは、「気が強い」というのは珍しい系統だと思う。

ミルカッセ・フローベル CV井上喜久子
ザールブルグにある教会の1人娘。外の世界に憧れている。話をするうちに、外に連れ出せるようになる。護衛料はタダだが、はっきり言って戦力にはならない(笑)。
普段はシスターのベールをかぶっているが、実は髪型がおかっぱ。これだけで激萌えなのだが、なかなか見せてくれない。もっと見せてぇ
どこか抜けているところがあるらしく、仲良くなるとロウを80個とかいうとんでもない依頼をしてくる。もちろん、頼まれてから作り出したのでは間に合わない。

ロマージュ・ブレーマー CV富永みーな
南方からやってきた女性。飛翔亭で踊り子をして生活をしている。褐色の肌、白銀の髪。決して「ドラクエIV?」などと言ってはいけない(^^;。
彼女も護衛で雇う事ができるが、そんなに強くないのに護衛料はダグラスよりも高い。ただ仲良くなると楽器の演奏を教えてくれたりと、それなりのメリットはある。
何回か会話をしていないと、ザールブルグ近辺から一歩も外に出られない。その意味では、一時でも雇っておいたほうが良いキャラ。

フレア・シェンク CV金月真美
飛翔亭のマスター、ディオの1人娘。ときどき店に出てくる。が、まだわからない事が多いのか、とんでもなく難しい仕事を「結構良い仕事」と言ってくれる。なかなか侮れない。

ルイーゼ・ローレンシウム CV野上ゆかな
アカデミーで売店の売り子をしている。彼女自身アカデミーの卒業生だが、2留して卒業したのであまり優秀ではなかった。そのせいか、よくお釣りを間違えてこの世界では珍しい金貨をくれたりする。
お釣りを間違える理由は、どうも目が悪いかららしい。どうせならメガネっ娘に変身してほしかった(笑)。
あと、声はとろとろした天羽さんです。激萌え

シア・ドナースターク CV大沢つむぎ
前作の主人公マリーの大親友。前作ではマリーと共に採取に出かけ、必殺技「はたき乱舞」はレベルを上げるととんでもない破壊力だったらしい。
今回は顔見せ程度にしか登場しないが、途中でシアの結婚式があり、これが教会のミルカッセ出会いのイベントに繋がっていく。

イングリド CV大沢つむぎ
アカデミーのエリーの師。校長の一番弟子で、実力は校長をも超えんばかり。ヘルミーナとは犬猿の仲であり良きライバル。ケントニスというところの出身で、そのためか瞳の色が左右で違う。
師と言っているわりには滅多に物事を教わらない。ときどき部屋を訪ねていくと、情報をくれたりする。

ヘルミーナ CV高橋美紀
校長の二番弟子でアイゼルの師。何かとイングリドをライバル視して、決闘を挑んだりする。彼女も瞳の色が左右で違う。
彼女の部屋を訊ねてみても良いが、妖しい実験ばかりやっている。その中でも得るものはあるのだが。
なぜCVが富永みーなさんじゃないのだろう。同じ「みーな」なのに(笑)。

マルローネ(マリー) CV氷上恭子
前作の主人公であり、エルフィールの憧れの存在。お話の進め方によっては、彼女に出会えることもある。
ところで、なぜCVが交代したのだろう?池澤嬢のロリィな声のほうが私は良かったぞ

ノルディス・フーバー
アカデミーのエリーの同級生で入学試験トップの秀才。ただそれを鼻にかける事もなく、温和な性格で人望も厚い。同じイングリドに師事していることもあり、エリーに興味を抱く。
プレー開始3日目から護衛に雇う事ができる。しかも護衛料がタダなので、貧乏な序盤は重宝する。雇いつづけていると友好度が上がってラブラブなイベントも起きる……らしい。
エリーがコンテストで1位を取ると、首席転落のショックから落ちこんでしまう。何気にネクラだ(笑)。

ハレッシュ・スレイマン
飛翔亭に毎日通っている冒険者。最初から雇う事ができる。強いし護衛料もそんなに高くはないので、序盤から終盤まで重宝する。特に必殺技は大変役に立つ。
飛翔亭に毎日通っているのは理由があって、フレアの事が好きらしい。のだが、奥手のためなかなか言い出せない。エリーに「惚れ薬を作ってくれ」と依頼するイベントも起きる。

ダグラス・マクレイン
シグザール王国騎士隊のメンバーであり、シグザール城門の見張り番。最初から護衛に雇う事ができる。ハレッシュよりやや弱く、護衛料もハレッシュよりやや高い。よって金に余裕ができるまでは雇わない事が多い。
友好度を上げていくと、やっぱりラブラブなイベントがあるらしい。

エンデルク・ヤード
王国騎士隊長。半端じゃなしに強い。年末の武闘大会では12年連続優勝しているらしい。
エンデルクを雇うには、武闘大会で決勝戦まで進む事が条件。かなり辛いが、裏技を使えばなんとかなる(笑)。護衛料ももちろん高いが、そのぶん強い。

ディオ・シェンク
酒場「飛翔亭」の主人。1人娘のフレアを溺愛している。

クーゲル・シェンク
ディオの弟。酒の好みの違いというつまらんことから長らく兄と仲違いしていたが近頃ようやく和解し、現在は兄の店を手伝っている。

武器屋のオヤジ
…………いや、名前が出てこないんだからしかたないじゃん。でも名前が出てこない割にはこのゲーム中一番のインパクトがあると言ってもいいかもしれない。殺人的音痴のくせに喉自慢大会に出たがったり髪の毛を気にしたりと、憎めないキャラ。


一応男キャラにも声はついてるけど、別に知りたくねえだろ?(笑)
「ザールブルグ」という街の名前や人物名から見てわかるとおり、中世ドイツをモデルに作られているようです。

 

システム

詳しくは別ページにて(←逃げ)。ただ簡単には書いておきますが。

エリーは家のみ与えられているものの、生活費は自分で稼ぐということになっています。そこで、酒場「飛翔亭」にてアイテムの依頼を受け、採取または作成して報酬を受け取るという仕組みになっています。そのお金でまたアイテムを買ったり採取に出かけたりします。基本的にはこの繰り返しです。

期間は4年間ですが、1年または2年または5年の延長戦が存在します。プレイ時間は4年間で10時間くらい。そこそこ時間がかかります。

エンディングは13種類。ノーマルエンド以上を見ておくと、次回からメニューに「おまけ」が追加され、声優さんのコメントやイベントCGモード、音楽モード、アイテム図鑑などを見ることが出来ます。

詳しくはアイテムの項にて書きますが、アイテムのネーミングも活かしてます。マヒを治す薬だからマヒロンだとか小○製薬みたいなネーミングもあって、なかなか笑えます。なおこのゲーム中で最も簡単に採れる「うに」というアイテムですが、実体は栗ですのでお間違えの無きよう。この世界はそんなに寿司ネタに溢れているわけではありません。

 

ストーリー

こういうゲームにストーリーもへったくれもないように感じるんですが、一応あったりします。登場するキャラクターごとに「このフラグが立ったから次のイベント、さらに次のイベント」というふうに鎖的に続いていきますが、問題はそのイベントが起こる日が一部限られてしまっているということです。例えばその日に自分の工房にいないとイベントが起きないというのに、採取に出かけたり調合中で手が離せなかったりすると、イベントが起きずにその話は断絶してしまいます。仕方ないといえば仕方ないのですが、ちょっと残念

 

音楽とか

何気に使用されるBGMの数が多いです。先日サントラCDを確認しましたが、2枚組でした。特に確認したわけじゃないですが、採取先によってBGMが全て違うようです(10箇所程度ある)。

結構印象に残る曲もあったりします。工房の曲やアカデミーの曲は良かったですね。また中世の雰囲気を出すために、アカデミー入学時には「G線上のアリア」、卒業時には「カノン」が流れるなどクラシックも使用しています。

んで歌なんですが……表面上ギャルゲーに近いということでエンディング曲と挿入曲があり、どちらも「おまけ」でゆっくりと聞くことが出来ます。両者とも落ちついていていい曲です。いい曲なんですが……なんで歌が上手とは言えない長沢美樹さんに歌わせるのか? 答は簡単で主人公だからなんですが、これで点数下がりました。

 

グラフィックやムービー

一枚絵のグラフィックは主に調合時に見られます。その他イベントがあった時にも見られますが、総じてキャラが縦長になっていると感じました。家のテレビの性能が悪いからでしょうか

それからムービーですが、オープニングムービーがない代わりに、グッドエンディングやゲーム中各所に挿入されています。あるムービーでは途中にエリーの音声なども入っていたりして、臨場感があってなかなかいい出来でした。そんなに絵も崩れていなかったですし

 

最後に

ちなみにガストさんのHPでは毎月プレゼント抽選をしていますが、10月分の「エリーのアトリエスタンプ」が当選し今日送られてきました。良いソフトハウスです。

 

個人的且つ主観的評価
キャラクター及び声:84点
シナリオ:76点
サウンド:85点
システム:95点
グラフィック:75点
総合87点

(最終更新2003,1,4)

システム解説へ


ゲームのページへ

トップページへ