辰巳ダム計画に関する意見交換会に向けた予備交渉の内容と合意事項

(1999年4月6日掲載)


 4月3日(土)午後1時30分から7時まで、県側と市民側の間で、辰巳ダム計画に関する意見交換会に向けた予備交渉が行われました。 5時間半におよぶ交渉の結果、大筋において、市民側も納得して意見交換会に臨むことのできる合意に達することができました。

 交渉は、県側の官僚主義的対応のため、非常に難航しました。
 その典型が、「辰巳ダム推進のための意見交換会」という文言の削除問題。

 今回の意見交換会に向けての一連の動きの発端は、県土木部長が記者会見で「辰巳ダムの建設を推進するため反対派と対話する場を設ける」という方針を明らかにしたことでした。
 辰巳の会をはじめ、辰巳ダムに批判や疑問をもつ市民が「辰巳ダム推進のための意見交換会」に出席できないことは、自明の理です。

 前回の予備交渉(3月6日)の冒頭、「辰巳ダム推進のため」の文言を公式に否定することが予備交渉をはじめる前提条件であることを市民側が言明。30分におよぶやりとりの結果、県側が「推進のため」を削除することに同意したため、予備交渉に入りました。

 3月6日の予備交渉が中断した経緯は既報のとおりですが、再開した今回の予備交渉では、すべての問題について合意が成立したのち、合意文書作成の最終局面にいたって県側が突然、「辰巳ダム推進のため」の否定を文書に残すことに抵抗。この問題だけで30分以上の時間を費やすことになりました。

 県側は、合意したこと自体は認めるものの、それを文書化するには県庁にもちかえり土木部長の決裁を受けることが必要などと主張しました。
 市民側は、@予備交渉出席者の合意がどのようなものであったかを客観的に文書として残すべきであること、Aその文書を県庁にもちかえったときに部長に拒否されるとすれば、それは県側の内部問題であることを指摘しました。また、B「辰巳ダム推進のため」の文言の否定が予備交渉を始める前提であり、県側がそれを認めたからこそ予備交渉が始まったこと、C前回予備交渉からすでに1か月近く経っており、その間に部長に相談することが出来たにもかかわらず、今回予備交渉の冒頭での「前回の確認事項の再確認」のときに県側からこの問題で何の発言もなかったことが指摘されました。

 市民側の事実と道理にもとづいた主張の前に、県側も、結局、文書化に同意しました。

 ところが…。
 市民側・県側でひとつひとつ確認しながら黒板に書いた合意文書を県側(監理課職員)が紙に書き写し、コピーを2部とって双方が署名し取り交わすことになったのですが、県側が書き写したものには、「『辰巳ダム推進のための意見交換会』ではない」という言葉が入っていませんでした。
 それを碇山が指摘すると、担当者は、「あ、うっかりしていました…」。
 「最後にいちばん揉めていま決着したばかりの問題を『うっかりしていました』とは何事か。意図的と言われても仕方ないことだ。そんなことだからあなた方は信用できないのだ!」と厳重に抗議しました。

 第2回公共事業評価監視委員会(3月16日)での事務局報告(横田強監理課長(当時))のなかにも、明白な虚偽報告がありました。
 これが石川県土木部監理課(公共事業評価監視委員会の事務局を担当)の体質なのでしょうか?

 「第三者機関」を建前とする監視委員会の事務局がこういうことをするようでは、私たちは、辰巳ダム推進を明確に掲げている河川開発課はじめ県側を信用することはできません。

 辰巳ダム計画の内容に自信があるなら、姑息なことをせず堂々と説明し、理解を求めればよい。それができないのは、計画に合理性のないことを自覚しているという告白でしかありません。

 以下、予備交渉の合意文書(原本は手書き)を紹介します。 


本日の合意

記載内容を確認し署名する 平成11年4月3日


 河川開発課長 米田昭夫
 監 理 課 長  多賀久和

 辰 巳 の 会  碇山 洋

1 前回の確認事項の再確認


 (1)今回の意見交換会の性格は、県の方針に対して意見、批判、疑問を持つ市民(以下「意見発表者」とする)の意見、批判、疑問及び県側の意見、回答を委員会に伝えるものである。
 (一部報道にあるような「辰巳ダム推進のための意見交換会」ではない。また辰巳ダムを中止するための意見交換会でもない。)


 (2)公開で行う。


 (3)監視委員会への報告文書は、県側、意見発表者側合同で作成する。


 (4)委員(特に委員長、副委員長)の出席を得るため、日程調整等最大限努力する。


2 本日の確認事項


 (1)意見発表者は、辰巳ダムに意見、批判、疑問を持つ団体、個人とする。


 (2)意見発表者が意見を出し、県側が回答する形で進める。


 (3)議題
  @「工事実施基本計画」問題 A雨量、洪水問題 B「3千億円」問題
  C高畠地区浸水対策問題 D環境(アセスメント)問題 E文化財問題
  F共有地問題 Gその他


 (4)1回目の議題は、3時間程度を使い、@Aとする。


 (5)監視委員会への報告の際の意見発表者側の補足修正発言の可否については、委員長と再度相談する。その際、意見発表者側は、最小限の補足修正発言が認められることを意見交換会への出席の前提条件としている事を委員長に説明する。


 (6)双方は、意見交換が効率よく進められるため工夫し、県は必要な資料を提供する。


 (7)意見発表者側は、質問等をできるだけ早く事前に伝える。


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