辰巳の会事務局の記者会見(1999年3月1日)

(1999年4月1日掲載)


 2月24日に石川県土木部が行った記者会見に同席した飯島邦彦・金沢地方気象台長は、「金沢でも1時間90_を超える雨が降る可能性はある」と発言しました。また、県の「辰巳ダムの建設を推進するため反対派と対話する場を設ける方針」が明らかにされました。

 この県側記者会見に対応して、辰巳の会は、金沢地方気象台に飯島台長を訪ね、質疑応答を行いました。

 以下は、質疑応答ののち県政記者クラブで行った記者会見での配付資料です。


【記者会見資料】


1999年3月1日/県政記者クラブ


兼六園と辰巳用水を守り、ダム建設を阻止する会 事務局

1.金沢地方気象台長との質疑応答の内容について (別紙参照)


<質問の趣旨>

 2月24日に県土木部が「(辰巳ダム)計画の妥当性を訴えるため開いた」(2月25日付「北陸中日」)記者会見の席上、「県が1時間92_の雨量を想定して辰巳ダムの建設計画を策定したことに関し、飯島邦彦金沢地方気象台長は……『金沢でも1時間90_を超える雨が降る可能性はある』と述べた」(同「北國」)と報じられている。


 “1時間90_を超える雨が降る可能性”は抽象的可能性としてはあるかもしれない。しかし、抽象的可能性のレベルでは、具体的な治水計画を立てることはできない。だから、科学的な手法にもとづいて、百年確率の大雨を予測し、それに見合った治水計画を立てるのである。辰巳ダムについては、この予測が、「データの捏造」が行われるなどきわめて杜撰なものである。気象台長発言は、辰巳ダムの治水計画の妥当性をいったものではなく、抽象論でしかないが、記者会見全体の文脈のなかでは、計画の妥当性をしめすものという誤解を招きかねない。このような見地から、今回の質疑応答を行った。

2.気象台長の回答・説明への辰巳の会のコメント  (口頭)

3.県土木部記者会見(2月24日)にたいする辰巳の会のコメント


(1)再評価の結論先送りについて


 中島土木部長は、県公共事業評価監視委員会で結論が先送りされている辰巳ダム計画について、年度内の結論は無理との見方を示した。辰巳ダム計画は、当初は昨年内に結論を出す予定とされていたが、それが「年度内」になり、さらに新年度にずれこむことになった。このこと自体、辰巳ダム計画に多くの問題があることを示している。監視委員会には、結論を急ぐのでなく、十分な時間をかけて徹底的に審議することが求められているし、県も、「継続が妥当」という県の方針を監視委に認めてもらうことばかり考えるのでなく、この際、事業を一時凍結するなどして、全県民的な計画の抜本的見直しを行うべきである。


(2)「反対派からの意見聴取」「反対派との対話」について


 中島部長が「評価委員会が中立の立場から反対派の意見を聞きたいということであれば、場を設定することもありうる」(「北陸中日」)と発言したと報じられている。当会としてはこの発言に注目し、評価委員会の意見聴取には積極的に応じていきたい。


 同時に、県は「辰巳ダムの建設を推進するため反対派と対話する場を設ける方針」(「北國」)とも報じられている。辰巳ダム推進のための“対話の場”が設けられても、当会は、それには応じない。


 関連して付言すれば、再評価の民主的運営等を昨年申し入れた15団体にたいして、県河川開発課から「辰巳ダム建設事業について意見交換会を開催したい」として日程調整などをもとめる文書が2月26日に送られてきたが、どのような性格・位置づけの「意見交換会」かまったく言及されておらず、「辰巳ダムの建設を推進するため」という土木部長発言が否定されない状況下では、辰巳の会としてはこの提案にこたえることはできない。


 また、結論が先送りされている辰巳ダムの再評価がどのようなものになるかが現在の焦点であり、いま必要なのは、県との意見交換よりも監視委による意見聴取であると考える。