「辰巳ダムの洪水被害防止効果3千億円、費用の21倍」に重大な疑問

1999年2月1日


 辰巳の会が昨年末に提出した「辰巳ダム建設計画再評価にかんする質問および資料請求と申し入れ」にたいして、1月8日付で県から回答が届きました。
 この回答によって、県公共事業評価監視委員会土木部会(昨12月18日)での「辰巳ダムの洪水被害防止効果は3千億円で、費用の21倍の効果がある」という県側の説明が、辰巳ダムの効果を過大に見せかけたものである疑いが濃厚になりました。

 辰巳の会は、2月4日午前10時から、県辰巳ダム建設事務所を訪ね、8日付県側回答によって新たに生じた疑問等について、県河川開発課と質疑応答の場をもつことになりました。

 以下は、質疑応答に先立って、県側に送った主な疑問点です。
 当日、県側がどのような説明をするか注目されます。


1月8日付「回答」に関する主な質問項目

1999年2月1日


石川県土木部河川開発課長
米田昭夫殿


兼六園と辰巳用水を守り、ダム建設を阻止する会
事務局 碇山洋

 このたびは質疑応答の機会をおつくりいただき、ありがとうございます。
 お訪ねしたときにうかがいたい点のうち主なものをあらかじめ以下のようにお知らせしておきますので、よろしくお願いいたします。

1.辰巳ダムの洪水被害防止効果について

A.再質問

 当会の質問は、「試算の根拠、推計方法について御説明ください」というものでした。回答では、根拠となる数値等、積算根拠がしめされていません。また、推計方法の説明もごく大まかなもので、その推計が正しいかどうかを判断することができません。
 12月18日の県公共事業評価監視委員会土木部会では、「辰巳ダムによる洪水被害防止効果は3千億円」と、具体的な数字がしめされたのですから、具体的な数値を計算式に入れて推計されているはずです。
 回答にあるふたつの「年平均想定被害額」をどのように算定したか、@計算式とAそれに入れる具体的な数値、Bその数値の根拠などについて御説明ください。

B.回答を受けての新たな質問


 回答では、「辰巳ダム計画時の犀川の治水施設整備水準に対する将来に渡る年平均想定被害額」と「辰巳ダム設置後のそれ」の差を「想定年平均被害軽減期待額」として算出したとされています。

 @ここでの「辰巳ダム設置後のそれ」とは「辰巳ダム設置後の犀川の治水施設整備水準に対する将来に渡る年平均想定被害額」のことであると理解してよろしいでしょうか? 

 Aこの理解でよいとすると、「想定年平均被害軽減期待額」には、“辰巳ダム計画時以降、辰巳ダム設置時点までにつくられた辰巳ダム以外の犀川の治水施設”の効果によるものも入っていることになると思われますが、それでよろしいでしょうか?

 Bこの理解でよいとすると、土木部会でしめされた「3千億円」は、「辰巳ダム建設による洪水被害防止効果」ではなく、「辰巳ダム計画時以降、辰巳ダム設置時点までに行われた(辰巳ダムを含む)すべての治水対策の洪水被害防止効果の合計」ということになると思われますが、それでよろしいでしょうか?

 Cもしそうだとすると、3千億円のうち、辰巳ダム単体の洪水被害防止効果はいったいいくらなのでしょうか?

2.代替案について

(1)4代替案の内容と費用見積もりについて

A.再質問

 当会の質問は、「4つの代替案のそれぞれについて、その内容と費用見積もりの根拠を、御説明ください」というものでした。
 回答では、代替案のごく大まかな概要しかしめされていませんが、改修費が約1200億円等々と具体的に挙げられているということは、必要な工事の内容と、その費用見積もりの計算式、その式に入れる数値が、具体的におわかりだということだと思います。それらの具体的な情報、積算根拠を御提供・御説明ください。

B.回答を受けての新たな質問

 @辰巳ダムの治水計画は犀川大橋地点での洪水対策が目的とされているのですから、「辰巳ダムの代替案」という場合、犀川大橋地点の安全確保のための必要最小限の改修を考えるべきだと思われます。回答ではすべての代替案で改修区間が「河口から」とされていますが、犀川大橋地点の安全確保のためには河口からの改修がどうしても必要なのでしょうか? 700億円〜1,800億円という代替案の費用は、犀川大橋地点の安全確保に必要な最小限の改修に必要な費用以外はまったく入っていないのでしょうか? 入っていないとすれば、そのことが分かるように詳しく御説明ください。

 A辰巳ダムをつくる場合、「河口から鞍月堰堤までの区間」では改修は行わないのでしょうか? 改修を行う場合、4つの代替案に含まれる同区間の改修と重複するものはないのでしょうか?

 B重複がある場合、「辰巳ダムの代替案」の費用としては、重複分を差し引かなければならないと考えられますが、回答でしめされている700億円〜1,800億円は重複分を差し引いた額なのでしょうか?

 C重複分を差し引いていないとすると、差し引いた額はいくらになるのでしょうか?

 D回答の代替案@Aでは、引き堤の規模に「約35mから約55m程度」と大きな幅があるにもかかわらず、改修費はそれぞれ「約1,200億円程度」「約1,800億円程度」となっています。20メートルの差は、改修費には誤差に含まれる程度の影響しか与えないのでしょうか?

 以上、代替案については、地図、図面などをしめして御説明ください。

(2)バルコニー状構造物について

 「提案の趣旨が必ずしも明らかでないので、回答できない」とのことですので、質疑応答にうかがったさいに御説明申しあげますので、代替案のひとつとして監視委員会にお示しください。


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