県からの回答書(1999年1月13日)

 年末に提出した質問・資料請求・申し入れにたいする県側からの回答が、1月9日に郵送でとどきました。

 12月18日の県公共事業評価監視委員会土木部会では、県側から「辰巳ダムの洪水被害防止効果は費用の21倍の3千億円」との説明がありましたが、今回の回答を読むと、この説明にはごまかしがあるようです。

 近く、県庁を訪ねて、それらの問題について質疑応答を行う予定です。


平成11年1月8日

「辰巳の会」
会長代行 中井安治殿

石川県公共事業評価監視委員会
事務局 横田強

石川県土木部河川開発課長
米田昭夫

辰巳ダム建設計画再評価に関する質問及び資料請求と申し入れについて(回答)

 平成10年12月25日付けで申し入れのあった標記について、下記のとおり回答します。

1 辰巳ダムの洪水被害防止効果について
 辰巳ダム建設事業の治水事業としての経済効果は、辰巳ダム計画時の犀川の治水施設整備水準に対する将来に渡る年平均想定被害額と辰巳ダム設置後のそれとを算定し、その差を想定年平均被害軽減期待額として算出している。

2 代替案について
(l)4代替案の内容と費用見積りについて
 代替案はいずれも、辰巳ダムが負担している計画流量を河口まで安全に流下させる必要があるが、そのためには、犀川大橋地点のみの改修では流下断面が十分ではなく、現在実施中の犀川中小河川改修事業に加えて、更に、河口に至る犀川本川全体について、掘削及び拡幅という改修を要することとなる。
 以下、犀川大橋付近の工事方法に応じた4つの代替案を示す。

@左岸引堤案
 犀川大橋付近で左岸(野町側)を約35mから約55m程度引堤する。
 これを含む河口から鞍月堰堤までの区間の改修費に約l,200億円程度必要となる。

A右岸引堤案
 犀川大橋付近で右岸(片町側)を約35mから約50m程度引堤する。
 これを含む河口から鞍月堰堤までの区間の改修費に約l,800億円程度必要となる。

B掘削案(堤外水路移設案)
 犀川大橋付近で堤外水路を含めて掘削し、更に河床を約0.4m掘削する。
 これを含む河口から鞍月堰堤までの区間の改修費に約1,100億円程度必要となる。

C掘削案(堤外水路存置案)
 犀川大橋付近で堤外水路を残し最大限掘削し、更に河床を約1.4m掘削する。
 これを含む河口から鞍月堰堤までの区間の改修費に約700億円程度必要となる。

 以上の代替案に係る事業費は、工事費、用地費及ぴ建物移転補償、営業補償等の補償費の概算である。
 また、いずれの代替案についても、次の諸間題がある。

ア 繁華街での工事であり、多くの地権者がいることから、補償交渉に長期間を要することが予想される。

イ 河川の拡幅及ぴ河床の掘削に伴う犀川大橋をはじめとする橋梁の架け替え、橋脚及ぴ橋台の改築が必要であるが、繁華街での大規模な工事であるため、仮橋通行による交通規制、振動・騒音問題など県民に与える影響は大きい。

ウ 県民に親しまれている遊歩道及ぴサイクリングロードを含めて掘削することが問題である。

オ 水面が低下すること及ぴ高水敷がなくなることにより、河川の親水性及ぴ河川景観が損なわれる。

(2)バルコニー状構造物について
 提案の趣旨が必ずしも明らかでないので、回答できない。

3土木部会での配付資料について
 石川県公共事業評価監視委員会と事業主体との協議が未了であり、現段階での提供はできない。