ウォーター


反戦詩のコーナー





 
 ★ 「戦争に反対する詩人たち」の活動のご紹介★

●日本の「戦争に反対する詩のページ」へどうぞ。
   
★Poets Against the Warのサム・ハミル氏からのメール要旨

★★サム・ハミル氏の新年のメッセージ一部要旨
 「詩人が戦争を止められるなんて本当には思っていなかったですよね。」
 レポーターの口調は軽蔑たっぷりだった。私はその可能性を信じていた。
 期待はもう一つの本質だ。期待は自己満足のために人間を破壊するものの
 表面下に隠れている。実際のところ詩人を抵抗者の位置に押し出したのはブッ
 シュだった。彼は彼に味方するか、テロリストの側につくかせまり、テロリストを
 定義する排他的権利を主張し、平和主義者や反対者をテロリストに仕立てた。
  私たちは民主主義的原理を守ろうとする国や社会や市民に対して情け深い
 政治に基づいた政府を想像し続けなければならない。アメリカ詩人たちの偉大
 なる伝統、ホイットマンやデキンスンが遺言した民主主義的展望、 ラングスト
 ン・ヒューズが表現した社会的良心の再活性化が求められている。私たちの
 本当の仕事は始まったばかりだ。

 親愛なる友へ
 世界は殺人と殺人に反対する者のグループに二分される。この恐ろしい
 境界線は実際に存在するのだから、それを明確にすることはよい事だ。
 状況に直面してあきらめる者は臆病者である。「言葉は軍需品より強い」
 (アルベルト カミュ・フランス哲学者)という大きな賭けにすべてを賭けるこ
 とは栄誉ある行動だ。

 過去6ヶ月間私は「戦争に反対する詩人たち」の創設者、代弁者を務めて
 きた。13000人の電子アンソロジーとその中から選んだベストセラーの選集
 は歴史的なものである。ジョージ・ブッシュの先制攻撃の戦争に反対する
 世界的ネットワークを作った。われわれは他の反戦団体や人権団体とも
 連携した。
 
 戦争は始まったばかりだ。ブッシュの政策は操作された旗振り上手のメデア
 のお陰で、すくなくともしばらくの間は、強められている。いまこそ長期の計画
 が必要である。私達の団体の理事会はアンデイ・ハイムを執行委員長に任命
 した。私達はメッセージを送り有益な情報を提供することを続け、詩人たちが
 作戦を練り行動を提案するためのフォーラムを開き続けます。

 詩の歴史は、私的と公的な主張で満たされている。平和な世界をともに築い
 ていくためにアイデアを探究し、大きな詩の喜びと英知を広めることは良い
 ことである。現政権のうまくねじ曲げた言葉を知れば知るほど、われわれの
 行動の結果をはやく理解することになるだろう。

 精選されたわずかな言葉だけが平和を作ることができる。私達が進んでそ
 れらの言葉と一体になろうとするときにだけ、それらの言葉によって 生き
 ようとするときにだけ平和を作ることができる。近々「戦争に反対する詩人
 たち」のサイトは再び新しい詩を公開し始めます。私達が生きることが
 できるそれら正しい言葉をすべての人が見つけられますように。
 2003年7月4日
  サム・ハミル アートディレクター

■6月8日日韓の知識人194人が「東北アジアの平和を求める共同声明」
 を発表しました。韓国からは詩人の高銀、金河芝の各氏89人。
 日本からは作家の小田実、李恢成、漫画家石坂啓、東大の姜尚中ら各氏。

■4月15日に内閣府に行き、内閣府大臣官房総務課の方に287編の詩篇を
 提出しました。小泉総理に必ず届けるそうです。
 お読みくださるよう 首相官邸にメールしてみましょう。
  集まった詩篇を全部収録し、アメリカの運動も紹介した本が、
  創風社より出版されます。『反戦アンデパンダン詩集』
  申し込みは、〒113-0033文京区本郷4-17-2創風社に。 

 ※日本の反戦詩集に313篇ご参加頂きありがとうございました。

 「Poets Against the War」の3月21日現在のアピール要旨。
 イラクへの爆撃が始まりました。ブッシュ政権は世界中の膨大な数の市民
 の非難にもかかわらず、知的機関の忠告を無視し、常識と基本的モラルと
 正反対にイラクに対する戦争を開始しました。
 過去二ヶ月間に12000人の世界中の詩人たちがこの戦争に反対する
 個人的意見や詩を提出しました。そうしたことは、我々の政府を含めた
 愚かで残忍な政治に対する詩や他の芸術による考え深く道徳的な反対表
 明の長く豊かな伝統を遵守することです。こんなに多くの詩人たちがこんな
 に大きな合唱を響かせたことは歴史上ありませんでした。
 特に、この暗黒の時間、ブッシュ政権に違法な戦争を停止するよう、世界中の
 人々の声に耳を傾けるよう、国際社会とともに争いを解決する平和的方法を
 探すよう呼びかけ続けましょう。


★「Poets Against the War」から
 423番地の神様へのEメールの祈り
  Toast Coetzer(25歳・ソウル在住・南アフリカ・ケープタウン出身
  写真家・詩人)

 親愛なる神様
 あなた様は天国にいっらしゃるので
 おそらくイラクがよくご覧になれるでしょう
 そこの人々はあなたを信じていません、ほとんど
 (同じように彼ら自身の神がいます)
 しかしイラクを爆撃してずたずたにしようとする者達はきっとやります
 とうとう彼らはCNNでわれわれに通告しました
 どうかそんなことを彼らにやらせないで下さい
 たとえキリスト様がほんとうにSUVを運転なさっていらっしゃるとしても
 無料で一生涯のオイルがほしいとしても
 どうぞカウボーイ教皇にかれ自身とかれのパパと銃ビジネスの司教に
 ついて考えるのをやめさせて下さい
 あなた様がもしまだそんなことにかかわっているなら
 どうぞ命を救って下さい
 ボブやボノやブルース・スプリングシテーンやビリー・ブレッグに
 アルバムを作らせないで下さい
 アーメン

●韓国の新聞でも、この反戦詩運動が報じられました!

(☆詩では、ありませんが、韓国の朝鮮半島平和政策を知るために
  韓国国会国防委員会委員長・張永達議員来日講演
  「東北アジアの平和と日朝交渉」3月26日水午後6:30から
  東京江戸博物館会議室(両国駅下車)
  張永達氏は、1970年代からキリスト教学生運動、青年運動
  で活躍し、ノ ムヒョン政権の平和政策の主要メンバーです。)
 

 Poets Against the War によれば、3月5日の昼に米国議会で、
 三人の優れた詩人たち、ピューリッツアー賞受賞者や作家と、
 サイト設立の編集者サム・ハミルが約15000編の反戦詩を
 国会議員に提出しました。
  (下記にこれまでの詳細)
 韓国の「朝鮮日報」3月6日の夕刊で、反戦演劇「女の平和」上演
 運動とともに、反戦詩運動が紹介されました。

●佐川亜紀の3月の詩です。

黒い三輪車

小鳥の骨が傷だらけの空を抱いている
止まった時間は幼いまま
文明は高速度で走ったが
心はやっと二足歩行から
単純な道具の速さに追いついたばかり
二足の不安と獣の間にいて
自制できない三足の攻撃性
広島原爆資料館に展示されている
一台の三輪車
焼き尽くされて
一本のクレヨンの線画のように
一行の鉛筆書きの詩のように
一つの問いだけに純化したように残った

この問いを日本はどこまで届けたか
朝鮮人被爆者は自らの痛みの夜を語れない
真珠湾はアメリカの不信感のシンボルとなった

私達のゆがんだ未成熟をあらわにして
死ぬほど熱い闇の中を
たどたどしく問いの練習をし続ける
ヒロシマの三輪車


●日本でも3月4日に東京・渋谷で反戦詩の朗読会が開かれました。
  3月4日午後7時から。渋谷・明治通り先、恵比寿方面。
  SECO BAR (03・5778・4571)で。
  連絡先・Marcellus/e-mail jazzman@02.246.ne.jp
  呼びかけ人・テーラー・ミニヨン、マーセラス、パウンズ
   POETS AGAINST THE WAR
   Marcellus, Wayne Pounds, Taylor Mignon

 <Poets Against the War>からのお知らせによれば、3月5日を
 世界中で「反戦詩の国際的日」とし、朗読会や話し合いを開くよう
 呼びかけています。またその日にアメリカ議会の議員にアンソロジー
 を送ります。2月28日の深夜に詩の受付は締め切りますが、
 このWEBサイトは少なくとも4月まで開く予定です。

 ※アメリカだけでなく、世界中から詩が届いています。例えば、
  ヨルダンの29歳の英文学博士アーマンド-エイブ−ベーカーの
  「イラク」という詩は

  イラクで戦争は始まるだろう
  もう後戻りはない

  アメリカ軍は我々の領土を侵略する
  人々は不平を言うだけ

  我々を全滅させればきっと
  ブッシュとラムズフェルドは恐怖をなだめられるだろう
  アメリカのホロコーストは順にやってくる
  今度はアラブ人が燃やされようとしている
  だから両手を上げよう賛美歌の中で
  この迷妄の中では盗みは神聖
  植民地開拓がまた顔を見せる
  我々はそれを温かく抱擁するだろう!!! 

 ノルウエイ・オスロ25歳詩人・ソングライターのアマダス・ラフ・ 
 アリーンの「武器を置け(新しい歌)」という詩は

  戦争の子供たちはぼくを責め立てない
  でもぼくは知っている ぼくに責任があるって
  地球のために何をする?
  金と名のために地球を壊すぼくたち

  戦争の子供たちはぼくを責め立てない
  彼らは善悪を習ったことがない
  彼らはこんなもんだ、これが当たり前、きっとこうさと思う
  これはそんなに長く続くはずがない
  ぼくたちは新しい歌をうたわなくちゃ

  使っている武器を置け
  地に置いて燃やそう
  明日では引き返すのが遅いかもしれない
  今日引き返そう
  今日引き返そう
 
  武器を置いて、燃やそう、燃やそう、燃やそう
  武器を置いて、燃やそう

 ※日本は、世論調査でイラク攻撃反対が多いのに、政府首脳は米
  に追随しています。いったん日本が攻撃に参加すれば、東アジア
  にも脅威となって危険です。不況も深刻化し、国内外が一層不安
  定になります。戦争でなく外交努力を望みます。
 
<Poets Against the War>の成り立ち
 大統領夫人ローラ・ブッシュは2月12日にホワイトハウスで開くはず
 だったエミリー・デキンスンやラングストン・ヒューズの仕事について
 のシンポジウムを延期しました。招待した詩人たちがイラク攻撃に
 抗議するイベントにしようとしたため延期してしまったのです。
 怒りを感じたサム・ハミル(詩人・編集者・コパーキャノンプレス発行
 人)は戦争反対の請願と反戦詩のアンソロジーを企画しています。
 先週水曜までに1500通の返事があり、WEBサイトも立ち上げました。
●2月10日現在5300篇の詩が寄せられています!
5300poets now in our datebase!
 www.poetsagainstthewar.org
サム・ハミルの呼びかけ The appeal is from Sam Hamill
I am asking every poet to speak up for the conscience of our
country and lend his or her name to our petition against this
war ,and to make February12 a day of Poetry Against the War.
We will compile an anthology of protest to be presented to the
White House on that afternoon.
Please submit your name and a poem or statement of conscience to
kokua@olympus.net
私はすべての詩人に私達の国の良心のために思い切って意見を言い
この戦争に反対する請願に名前を貸してくださるようお願いします。
そして、2月12日を戦争に反対する詩の日にしてください。詩人のアン
ソロジーを編集して12日の午後ホワイト・ハウスに提出します。
どうぞ署名や詩や文を提出してください。
●これに対して日本から木島始さんが詩を送られました。
 I took care of Hiroshima victims
as a student seventeen years old
Defeated and broken.Unrestorable.
Who'll tend the bombed among you?
Kijima Hajime(Tokyo.Japan)
ヒロシマの犠牲者たちを わたしが
看護したのは 17歳の学生のとき
敗北し 当てどなく 回復しようもなく
あなたたちの誰が 被爆者たちを介護する?
          木島始(東京・日本)
※創風社の「木島始の部屋」にはリーザ・ロウイッツさん経由のサム・
 ハミル氏の手紙の全文と木島始さんの返事の全文があります。
 http://www.abc-mart.com
 

<このコーナーは・・・>

日本戦後詩は、文字どおり第二次世界大戦の敗北から始まり、ファシズムに巻き込まれた個の回復、被害と加害の記録、日本文化と詩の変革などをしてきました。この戦後詩も終わったと言われているのですが、今、もう一度、先輩の仕事を見直したいです。


原爆ドーム 被爆アオギリ


広島に行ってきました。

8月上旬、広島に行ってきました。戦争と核の20世紀も終わりに近づき、一度は最大の被害地・広島を自分の目で見たかったからです。想像以上に広島は発展したにぎやかな街でした。路面電車、バス、自動車が行き交い、大きなビルも林立しています。ここに、54年前原爆が落とされたとは思えないくらいです。

けれども、中心地にある原爆ドームの破壊されたままの姿はインパクトがあります。かつては、西洋の最先端の建築技術によって建てられた産業奨励館であったドームの丸屋根は、骨組みだけしか残っていず、広島のシンボルになっています。その姿は、現代の頭脳の空虚さ、内面の破壊を暗示しているようです。人体でも外傷のケロイドもひどいうえに、後遺症や社会的冷遇など内部への損壊が激しいのが、
原爆の特徴です。樹木も内部が空洞になっています。(写真)そんな核時代の不毛さと日本人の内面破壊を描いた詩に安東次男の「死者の書」があります。


死者の書
安東次男


1945年8月6日午前8時15分、広島に投ぜられた人類最初の原子爆弾
は御影石の上に、一人の坐して憩う人の影を永久に灼きつけた。


薔薇いろの鉱石質の陽がはいまわる。
いま地上には、
下界をおおいつくそうとする灰色の湿地がはびこる。
それはおれたちのえいえいとしたいとなみの何億倍かの速度で殖える。
しかし、ああ、おれたちがその不毛の影を消す悲願を持ちはじめてから
久しい。

おれたちはあの日以来二本の足で歩きまわることをやめた。
さればといつて手の長さと脚の長さのちがってしまったおれたちは、
もう四足で歩くことは永久に御免だ。
おれたちは二本の手を
それが最大の忍従のように、ぺったりと前へ突き、
嬉しそうに膝ではいずりまわる。
巨大な暗紫色の茸雲を
あの日薔薇いろの鉱石質の空に見てから、
おれたちの原は孕女のそれのようにふくれかえり、
臍からじゅくじゅくと油を垂らす。
その量がやれ多いの少ないのと騒々しいこと。
ひとの拭いたところをまた汚したといって喧嘩すること。
それがおかしいといって
あばら骨がすいて見えるほど苦しげに笑いこけること。
もうおれたちは恥部などかくす必要はない。
それにかかずらわつている余裕もない。
おれたちの頭痛の種は
いまこの始末のわるいふくれかえった暗赤色の臍をどう始末する
かだ。
臍に
目ができ、
鼻ができ、
ひょろひょろとおかぼのような産毛が
そのつるつるてんの頭の上にそよいでいるかどうか
丹念にそいつをひっくりかえしてしらべる朝が
おれたちの一日の日課のなかでももっともげんしゅくな刻だ。
だからおれたちは
薔薇いろの鉱石質の陽のなかを
嬉しそうに膝ではいずりまわるしかない。

おれたちが地上にひろごるおのれの影を消しはじめてから久しい。
おれたちが発ってきた暗黒の故里を忘れはじめてから、既に久しい。




韓国人原爆慰霊碑


広島は、核兵器廃絶を世界に訴える過程で、アジアやアメリカの反論とも対峙して考えを深めてきました。アジアに侵略した当然の罰、アメリカと戦った報い、日本が早く降伏しなかったのが原因として原爆投下を正当化する意見もあります。そこで、加害の歴史もきちんと見つめ、“目には目を”を乗り越える作業が続いています。本年1999年には、外部にあった「韓国人原爆慰霊碑」が平和公園内に移されました。(写真)長く平和運動にもたずさわって来られた栗原貞子さんの詩は加害の歴史もふまえた画期的な作品です。



ヒロシマというとき
栗原貞子


<ヒロシマ>というとき
<ああ ヒロシマ>と
やさしくこたえてくれるだろうか
<ヒロシマ>といえば<パール・ハーバー>
<ヒロシマ>といえば<南京虐殺>
<ヒロシマ>といえば 女や子供を
壕のなかにとじこめ
ガソリンをかけて焼いたマニラの火刑
<ヒロシマ>といえば
血と炎のこだまが 返って来るのだ

<ヒロシマ>といえば
<ああ ヒロシマ>とやさしくは
返ってこない
アジアの国々の死者たちや無告の民が
いっせいに犯されたものの怒りを
噴き出すのだ
<ヒロシマ>といえば
<ああ ヒロシマ>と
やさしくかえってくるためには
捨てた筈の武器を ほんとうに
捨てねばならない
異国の基地を撤去せねばならない
その日までヒロシマは
残酷と不信のにがい都市だ
私たちは潜在する放射能に
灼かれるパリアだ

<ヒロシマ>といえば
<ああ ヒロシマ>と
やさしいこたえがかえって来るためには
わたしたちは
わたしたちの汚れた手を
きよめねばならない




元安川(爆心地付近)


個人誌「ヒロシマ・ナガサキを考える」を出し続け、貴重な証言を記録している詩人の石川逸子さんは、詩集『ヒロシマ連祷』でヒロシマを多面的にとらえて祈りを捧げています。


ヒロシマ連祷・23
石川逸子


おさげ髪のあなたは
両手を突き出して
そのまま息絶えて

(あなたがたの 血で
白い花も 赤く裂けて)

ゆるしてください
あなたを殺したのは 兄

千人針を腹に
りりしく征った兄が
あなたがたの村を乾いた稲束で焼いていたなんて
寝たきりの年寄りのいるこの家を焼かないで!
哀願する おさげ髪のあなたを
射ち殺していたなんて

(兄の瞼に
ちら とでも
妹の姿は浮かばなかったろうか)

おさげ髪の私は
両手を突き出して
そのまま息絶えて

(夾竹桃の花も
黒くねじれ)

エノラ・ゲイ号の兵士にも
妹はいたろうか

もう咲かない花々 星冷える
暗い焦土で
兄よ

遠く 殺した少女と
ここ 殺された妹の
風に鳴る さみしい音を聞け





原民喜は名作『夏の花』を書き、原爆文学の中でも芸術性に優れた詩人でした。 芸術は残酷なものであり、悲痛な体験をしてもそれが即優れた芸術になるわけでは ありません。体験を表わす言葉が新たに求められます。原爆も体験が大きすぎ 客観的に見ることは困難でしょう。原民喜の詩碑の「一輪の花の幻」は美しく、 詩とは何か、改めて考えさせられます。天地が崩れ落ちる最中にも詩は美を求める のでしょうか。しかし、今は、美そのものが崩れていくようです。
「人類は戦争と戦争の谷間にみじめな生を営むのであろうか。
原子爆弾の殺人光線も、それが直接彼の皮膚を灼かなければ、その意味が感覚できないのだろうか。 そして人間が人間を殺戮することに対する抗議は、はたして無力に終るのであろうか。」 (「戦争について」)と絶望的問いを発し、原爆使用の恐れがあった朝鮮戦争の時、 原民喜は鉄道自殺しました。


原民喜詩碑

遠き日の石に刻み
砂に影おち
崩れ墜つ 天地のまなか
一輪の花の幻





峠三吉は、1953年にわずか36歳で亡くなりましたが、有名な詩「にんげんをかえせ」 など原爆の非人間性と平和を訴える詩を残しました。「反戦詩歌人集団結成宣言」では、 「芸術は人間のためにある。人間の世界が危機にさらされているとき、人間がこころに もつ最も美しきものの結晶である芸術は直ちに人間の敵に対する最も鋭利なる武器と なってかざされねばならね。」と言っています。詩「にんげんをかえせ」も広島の被害を 「わたしにつながる/にんげんをかえせ」と普遍化した所が一層の感動を呼びます。


にんげんをかえせ
峠三吉

ちちをかえせ ははをかえせ
としよりをかえせ
こどもをかえせ
わたしをかえせ わたしにつながる
にんげんをかえせ
にんげんの にんげんのよのあるかぎり
くずれぬへいわを
へいわをかえせ





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