ミラクル少女リミットちゃんとは?

 

  昭和48年の秋から49年の春まで放映されていた東映動画製作の「魔女っ子シリーズ」6作目です。

  放送時間枠は「魔女っ子シリーズ」と同じでしたが、主人公は魔法使いではなく「サイボーグ」という、

  女の子を対象にした番組としては異彩を放つものでした。

  また、昭和50年代のアニメブームの際に発行された、データ本などの紹介記事では、以下のような初期設定の

  記述がありました。

 

    西山みどりは、飛行機事故で瀕死の重症を負う。

    父である西山博士は、彼女の命を救うためサイボーグ手術を施す。

    この手術により彼女は、大人3人分の力、3メートルの跳躍力、80Km/h の走力を得ることになる。

    彼女は、これらの超能力を使って、身近におきる数々の事件を解決していくのだが、これは同時に

    彼女の生命エネルギーを消耗させることを意味する。

    父、西山博士は、彼女の延命のための研究に没頭するが、はたして博士の研究が完成するのが先か、

    みどりの生命エネルギーが尽きるのが先か?

 

  初期の段階では、上記のような、かなりスリリングな物語になる予定だったようです。

  この、生命エネルギーが尽きるまでのタイムリミットからタイトルが「リミットちゃん」となったのは

  想像に難くないでしょう。

 

  しかし、この設定では余りにもヘヴィー過ぎると判断したのか、実際に放送された作品では、

  設定が大分変わっています。

  主人公が、飛行機事故によりサイボーグになった、という点は変更されていませんが、

  生命エネルギーの消耗という件はカットされ、父、西山博士の研究は、「人間に戻すため」

  というものに変えられました。

  この変更により、主人公の名前が「西山リミット」という一体どこの国の人? なものに変えられて

  しまったのは多分事実でしょう。 あだ名よりは直接名前にしたほうが子供には判りやすいという

  配慮だったのかも知れませんが。

  ちなみに、「みどり」という名前は、西山博士の助手の女性が受け継いだようです。

 

  ストーリー全体の緊迫感が損なわれたものの、これまでの魔女っ子ものと一線を画することには違いありません。

  その最たるものが、「秘密を隠す動機」という点でしょう。

  従来の魔女っ子ものでは、魔法使いであることを隠す理由が「掟」や「他人に秘密がばれると魔力を失う」

  といったような、外から与えられた制限であったのに対し、「リミットちゃん」では「自分がサイボーグだと皆に知れたら

  疎外されるかも知れない」 という内面的な事情で「秘密を守る」ということになります。

  この辺りは、本編中でも何度となく、「自分がサイボーグである」 ことを悩む姿が描写されていますが、

  作品の対象年齢を考えると、この辺りの苦悩などは、ほとんど伝わらなかったんではないかと思います。

  事実、私も再放送で初めて気づいたし。

  その他にも、美少女ライバルの準レギュラー(中途半端だったけど)を採り入れてみたりするなど、多分に実験的

  要素を含む作品だったのではないでしょうか。

 

  人物紹介    ストーリー紹介