*2006年夏*


Dixie Chicks / Taking The Long Way
Mark Knopfler and Emmylou Harris / All the Roadrunning



8月
Mark Knopfler and Emmylou Harris / All the Roadrunning
マーク・ノップラーとカントリーの歌姫エミルー・ハリスの一見意外なデュオ・アルバム。
12曲中、10曲をマーク・ノップラーが作曲していることから、アルバム全体を通してマーク・ノップラーのカラーが濃厚です。
イメージ的にはマーク・ノップラーの新譜に、エミルー・ハリスが全面参加といった感じです。
なので、カントリーぽいというより、いかにもマーク・ノップラーらしい渋く枯れた味わいの曲が並びます。
マーク・ノップラーの楽曲がもともと好きな私にとっては、聴いていて落ち着く魅力的な一枚です。
ボーカルは2人が均等に取っていますが、ハーモニーを取るふたりのボーカルの相性はとても良いです。
7曲目「Right Now」では久々にDire Straits張りに歪んだギターが聴けます。
◇◇◇

Linda Ronstadt, Ann Savoy (Zozo Sisters)/ Adieu False Heart
こちらはリンダ・ロンシュタットとケイジャン・シンガーであるアン・サボイのデュオ・アルバムです。
私はアン・サボイなる人の音楽も、収められている楽曲も知らないので、アルバムに込めたコンセプトを理解しているとは言い難いのですが、一聴した感じでは、ケイジャンに留まらない(というより私のケイジャンの陽気なイメージとはかなり隔たった)いろんなルーツ・ミュージックが詰まっているように思います。
ブリティッシュ・フォークのようなどこかひんやりとした物憂げな感じの曲が多いのですが、リンダがリード・ボーカルを取る曲はゆったりとした落ち着いたカントリー・バラードがあったりして和みます。(でも作者はイギリス人のリチャード・トンプソンだったりします。)
また、1曲フランス語の曲があったりもします。
ギター、ウッド・ベース、フィドルを中心としたドラム・レスの渋い演奏と、真摯なデュエット・ボーカルが心に響く一枚です。
◇◇◇

上松美香 / ANIPA
南米の小型ハープであるアルパ奏者、上松美香の新譜は、彼女自身が慣れ親しんだアニメ・ソングのカバー集。
アニメ・ソング、しかもアイドルさながらのジャケット写真におじさんは躊躇しましたが、試聴する機会があり聴いたらその素晴らしさに感動、即購入しました。
ジャケット写真やインナーの自筆ライナーのきゃぴきゃぴした感じとは裏腹に、音楽に対する愛情の深さと、感情移入の仕方が素晴らしい。特に「押し」だけではない「引き」の美しさ。そして確実なテクニックは言わずもがな。
1曲目「風の谷のナウシカ」は一人で弾いていると思えない表現力、神聖な響きはケルト音楽を思わせます。
3曲目「ルパン3世」はギター、ウッド・ベース、パーカッションをフィーチャーして、とってもジャズ・テイスト。
ラストの「まんが日本昔ばなし」は再びソロで、ぐんとテンポを落として、まるで琴のように優しい音が胸を打ちます。
このほか「魔女の宅急便」、「フランダースの犬」、「キューティー・ハニー」など収録。
◇◇◇

Coco d'Or / Coco d'Or 2
ココドールの1stが出たときは本当に驚いた。聴いて二度驚いた。
演奏はビッグバンド・ジャズあり、フュージョンありの本格的なジャズ。そして何よりhiroの歌がすごい。本当にうまいしリズム感覚がすごくいい。
そして、遂に2ndが登場。今回は夏がテーマだそうで、楽曲の趣は前作とずいぶん違います。ジャズ色はあまりなく、前作の続編を期待した人には肩透かしと感じるかもしれません。しかしいい意味で肩の力の抜けた軽やかな歌い方がとても好印象です。
楽曲はバラエティー豊かで、ポップス、ボサノバ、ラテン、レゲエあり、レコード屋風に言うとさしずめワールド・ミュージックの趣満載。
16ビートに編曲された「What a Wonderful World」に始まり、「La-La Means I Love You」、なんとポルトガル語の「Roda」、サンタナの「Carnaval」、ボブ・マーレー(!)の「One Love/ People Get Ready」などなど。
彼女自身長いスタンスでじっくり続けていきたいと語っていますので、ぜひ次のアルバムでもいい歌を届けて欲しいと思います。
なお、PVとオフ・ショットが入ったDVD付版が、デザイン違いの赤色ジャケットで出ています。
◇◇◇

小野リサ / Jambalaya -Bossa Americana-(特薦!)
小野リサさんの新譜はアメリカのカントリー音楽を中心に取り上げたもの。2曲を除いて全部英語というのは初めてだそう。
もういろんな人に歌い倒された感のあるカントリーのスタンダード「ジャンバラヤ」で始まるこのアルバム、とにかく素晴らしい曲が満載で、目からウロコが落ちました。
1曲目、ジャズでもボサノバでもない、小野リサのアレンジによる「ジャンバラヤ」は、夢見るようなほんわかした空気に終始包まれ、幸福感に溢れています。ヴィブラフォンの温かな響きと小野リサの柔らかな歌声、「ジャンバラヤ」がこんなにいい曲だとは思いも寄りませんでした。3回ある転調も気持ちいい。
2曲目も誰もが知っているジョン・デンバーの「カントリー・ロード」。この曲も1曲目同様温かな空気に包まれた演奏です。
3曲目「Stay All Night」はアップ・テンポのカントリー・スイング。軽快なギター・ソロがとってもクール。
続く4曲目「Saliane」はアコーディオンをフィーチャーしたケイジャン・ミュージック。
小野リサのイメージが変わる冒頭のこの4曲の流れが本当に素晴らしい。久々に泣けました。
他にはフランク・シナトラやパッツィー・クラインの曲、なぜかビートルズの「I've Just Seen A Face」、アイルランド民謡の「Danny Boy」も入っています。
13曲目「My Boy」は小野リサのオリジナル曲。息子のことを歌った歌詞が素敵です。

7月
Dixie Chicks / Taking The Long Way(推薦!)
ディキシー・チックス、4枚目のニュー・アルバム。
彼女たちのアルバムを聴くのは実はこれがはじめて。
前作はルーツに立ち返ったカントリー・フレーバー溢れるものだったようですが、新作は70年代のカントリー・ロックに通じる爽快でキャッチーなナンバーが目白押し。ロック・ファンにも広くアピールする内容になっています。
プロデューサーにリック・ルービンを迎え、トム・ペティのバンド・メンバーが参加していることも納得です。