*2005−2006年冬*


長谷川都 / 歌種
Chuck Leavell / forever blue solo piano



2月
Chuck Leavell / forever blue solo piano (特薦!)
“This is something that I've wanted to do a long, long time.”
参りました。むちゃいいです。まさに自分が聴きたかった、ソロ・ピアノ。
元オールマン・ブラザーズ・バンドのピアニスト、チャック・リーベルが2001年に発表したソロ・ピアノ・アルバムです。
10曲中、7曲がオリジナル曲(うち1曲はSea Level時代のナンバー「A Lotta Colada」)。
ブルーズ、ジャズ、サザン・バラード、ブギウギ、ゴスペル、アイリッシュ、いろんな音楽要素が垣間見れますが、リズムとベースをきっちり刻む左手、よく転がりよく歌う色気のある右手が繰り出す音がとにかく素敵。大好きです。
とりわけ南部色豊かなゴスペル・タッチのバラード「Comin' Home」に涙、涙。
アソシエート・プロデューサー/エンジニアにポール・ホーンスビー(懐かしい!)。
ちなみに、アマゾンで試聴し気に入って即注文したのですが、取り寄せに2ヶ月も掛かりました。
入手しにくいですが、ぜひ聴いて欲しいです。
余談ですが、このCDを早速聴いていたら、横から相方が、「これ、ヤマハのピアノ?」と言うので、クレジットを観たらなんと「Yamaha C-6 Conservatory Piano」とクレジットされていました。やるぅ。
◇◇◇

笹川美和 / 夜明け (推薦!)
笹川美和さん、待望の3rdアルバムの登場です。
前作は、アルバムの前半に「止めないで」など力強い曲が集まっているせいか、アルバムのイメージが「割りと飛ばしている」印象がありましたが、このアルバムはいい意味で落ち着いた印象がしました。
1曲目、ピアノの弾き語り「夜明け」で始まり、2曲目はハルダンゲルバイオリン(どんな楽器だろう)の切ない音と美しいメロディーと歌詞が胸を打つ名バラード曲「向日葵」と続きます。この曲のメロディーは普遍性を感じるほどに、いい曲です。
3曲目はアイルランドの楽器をフィーチャーした、彼女らしいメロディーを持つ「いりませんか」。
中盤はビョークも手がけたアイスランドのValgeir Sigurdssonがミキシングに当たったナンバーが並びますが、別に曲がビョークみたいにエキセントリックというわけではなく、多少のエレクトロニクスの使い方に特徴はあっても、ちょっとした空気感を色付けしているくらいで、むしろ彼女の素がよく出ている気がします。
ラストは新潟の故郷を歌った「紫雲寺」でしっとりと。
一見地味になったと感じる人もいるかもしれませんが、聴くほどに味わいが増す、彼女らしいアルバムという気がします。
◇◇◇

Fayray / 光と影 (推薦!)
Fayray、印象的なカバー集「Covers」に続く、フル・オリジナル・アルバム。
先のカバー集でも音楽に対するこだわりを強く感じさせる仕上がりでしたが、このアルバムも非常に特徴的です。
10曲中、9曲がスロー〜ミディアム・スローテンポの曲で、全編に霞が掛かったようなたゆたう曲が続く。決して明るくはないが陰鬱と言うのとはまた違う、ほの暗い音である。
喩えはあまりよくないかもしれないが、ジョン・レノンの「Imagine」とか「Mind Game」を連想させるようなずしっとくる歌が多い。
とりわけ「光と影」の曲に漂う浮遊感が胸に深く焼きつく。
また「Spotlight」の残響を消したドラムの音はリンゴ・スターみたいだ。
(なお、「光と影」、「Spotight」、「Close Your Eyes」など、あの曲のカバーかな?という題の曲がなぜか多いが、同名別曲オリジナルです。)
鋭いギター・リフの音が印象的な「Shame」はヘビーなロック・ナンバー。
ニューヨークセッションなのに、ひんやりした音。ギターはラウンジ・リザーズのMarc Ribotが参加しています。
ラストの曲は、アルバム中唯一のカバー曲「愛燦燦」。渋い選曲です。

12月
長谷川都 / 歌種 (特薦!)
長谷川都さんがついに3枚目のアルバムを発表しました。
一時は活動休止宣言をしてファンは寂しい思いをしましたが、その後、インディーズからのシングル発表、積極的な『歌種』ライブ活動を経て、再びメジャー・シーンに戻ってきてくれました。
いやあ、泣けました。久し振りに音楽を聴いて涙が出てきました。
少し甘えたような歌声、柔らかなメロディー、アコースティックな演奏、全てが素晴らしく心に沁みます。
全編に散りばめられた、バイオリン、チェロ、アコーディオン、グロッケンシュピール、ビブラホンといった楽器も実に品がよく楽曲をとても香り高くしています。
1曲目「あいのくに」は『動物奇想天外』のエンディング・テーマにもなっている曲。とても彼女らしいメロディーの曲。
2曲目「風まかせ」は元気いっぱいのレゲエ・リズムの曲。とても楽しい曲でサビがむっちゃいいし、演奏も最高。ひらひら舞うバイオリンも、そこはかとなくアイルランドの香りもして最高。
3曲目「満ちてゆく」はインディーズで発表していたスロー・バラード。彼女の寂しげで芯のある歌声がはまる。インディーズには入ってなかった、弦楽器が、曲をより盛り上げます。
4曲目はデビュー・アルバムに収録していた楽曲「ミルク」のジャズ・バージョン。
疑うことさえなかった人との別れを歌ったとても悲しい歌詞の曲。2曲目から4曲目までの流れは本当に素晴らしいです。
5曲目「だから僕は髪を切る」はカントリー調のワルツ・ナンバー。これも悲しい曲だけど、ふんわりほっこりした雰囲気が素敵。
7曲目「月のうさぎ」は珍しく大陸的なメロディーのゆったりとした曲。
8曲目「故郷の空」は6拍子の少しブルージーな曲。生活から生まれたであろう誠実な歌詞です。
9曲目「fuzzy peach」は唯一、ロック色の強いアップ・テンポの曲。ファンキーなリズム隊、ダルで元気な?歌声、ヴィブラフォン・ソロもかっこいい。半音づつ下がってくるサビもかっこいいなあ。
10曲目「今は昔」は彼女の弾き語りを軸にしたしっとりした曲。
ぜひ、多くの人に届いて欲しい、いいアルバムです。
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Shakira / Oral Fixation vol.2 (推薦!)
半年前にリリースされたスペイン語盤「フィハシオン・オラルvol.1」と対を成す、こちらは英語盤「オーラル・フィクゼーションvol.2」の登場です。
前作との曲のダブりは2曲のみで、他はすべて新曲。何でも60曲ぐらい曲が出来て、選んでいるうちに2枚のアルバムに分けて発表することを思いついたのだとか。
作詞、作曲、プロデュースまでこなし、実に多彩な人です。
さて、曲は英語と言うこともあって、ラテン色はあまりなく、ロック色が強いのですが、好きな曲が多く、いい感じです。
1曲目「How Do You Do」は聖歌隊のような荘厳なイントロから始まりびっくり、しばらくするとギター・ロック・サウンドになだれ込みます。1曲目から飛ばしています。
2曲目「Don't Bother」もファズの掛かったギターのカッティングが効いた、ロック・ナンバー。
3曲目「Illegal」は一転してメロディーの美しいバラード・ナンバー。リード・ギターはなんとシャキーラ自身のリクエストによりカルロス・サンタナが弾いています。
5曲目「Animal City」はラテン色のナンバーで、マリアッチ風トランペットが入っていたりします。
8曲目「Your Embrace」はミディアム・スローのナンバー。
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夏川りみ / 彩風の音 アヤカジノネ(推薦!)
私事ですが、先日のクリスマス・イブ・イブに、名古屋・栄のオアシス21広場に彼女の生歌を聴きに行きました。今までにも偶然2回彼女の生歌を聴く機会があり、何かと縁のある方です。
それはさておき、彼女の生で聴く歌声は、CDで聴くよりずっとずっと澄んでいて美しく力強いものです。そして毎回とても感動するのです。
さて、そのオアシス21では5曲歌ったくれたのですが、「涙そうそう」を除く残り4曲は、全てこのニュー・アルバムからの曲でした。(「さようなら ありがとう」、「とことわのうた」、「愛のチカラ」、「ココロツタエ」)
アルバムを聴いた印象は今まで以上にコンテンポラリーで、特に沖縄色を強調することなく、伸びやかで自然体の印象です。
3曲目「さようなら ありがとう」はコブクロの小渕健太郎さん書下ろしの曲。母親を亡くしたときの思いを母親からの視点で描いた曲だそうです。そう知り歌詞を読み返してみるとじんとくるものがあります。
4曲目「シマダチ」は、しっとりしたバラード・ナンバー。サビのメロディーが美しい。シマダチ合唱隊が歌を盛り上げます。
5曲目「とことわのうた」は佐藤竹善さん作曲。ライブでは『珍しくアップテンポで元気な曲』と紹介していました。力強く張りのある歌声が素晴らしいです。
10曲目「愛のチカラ」はこのアルバムでもハイライトといえるナンバー(7分13秒あります)。
アカペラ・コーラスで始まり、ゆっくりと盛り上がって行きます。歌詞の如く遠く離れた人まで届きそうなスキャットが素晴らしい。クールなソプラノ・サックスの音が効いています。