*2005年夏* |
6月 |
Alison Brown /Stolen Moment(推薦!) ■バンジョーというと、カントリー・ウェスタンや西部劇しか思い浮かばない人は、これを聴くときっとぶっ飛ぶことでしょう。CDは一応カントリーのコーナーに置かれていますが、これはコンテンポラリー・インストルメンタル・ミュージックと呼ぶべき超名盤です。 彼女は2000年にグラミー賞も受賞しているアメリカでは有名なバンジョー奏者。このアルバムでほとんどの曲を作曲しています。 インストが主ですが、何曲かはインディゴ・ガールズ、メアリー・チェイピン・カーター、ベス・ニールセン・チャップマンらをゲスト・ボーカルに迎えた歌物になっています。 裏ジャケットに記された『ジェイムス・テイラーの声のように、またB.B.キングのギターのようにユニークなアリソン・ブラウンのバンジョー』とはうまく言い得ていると思います。 ■トラディショナル、ポップス、カントリー調の曲、アイルランドのダンス曲、いろんなタイプの曲が、実に気品と風格を備えて演奏されています。 実際、カントリー臭さは希薄で、むしろ英国・アイルランド的感覚を強く感じました。 何気に変拍子が入るのもイギリスぽい気が。(あとでライナーノーツを読んで参加ミュージシャンの経歴を知り納得しました。) ときどき見せるハイテク・バンジョーに耳を奪われますが、各メンバーのバンドの演奏も最高。 特に流麗で美しくころころとよく転がり、時にはハイ・テンションに楽曲を持っていくピアノがかっこ良い!。 ドブロ・ギターをフィーチャーした7曲目「McIntyre Heads South」もいいなあ。 10曲目「(I'm Naked And I'm)Going To Glasgow」は6分45秒に及ぶ組曲風大作。こりゃすごい。 ■前述のようにオリジナル中心ですが、サイモン&ガーファンクルの「Homeward Bound」、ジミ・ヘンドリクスの「Angel」もカバー。(ここでもAngelが!!。Fayrayのバージョンと聴き較べてみると面白いですよ。) |
◇◇◇ Fayray /Covers(推薦!) ■ピアノを弾き、作詞作曲をし、プロデュースを自ら行うシンガー、Fayrayさんの新譜は洋楽のカバー集。 彼女自身が弾くピアノを中心に日本でレコーディングされた曲と、ショーン・レノンや本田ユカを迎えてニューヨークでレコーディングされた曲が収められ、その選曲は有名曲もあるもののマニアックな印象。 幼少期にアメリカで生活していたことが反映されているのでしょう。 フリートウッド・マックの「ドリームス」、ロバータ・フラックの「The First Time Ever I Saw Your Face」は有名として、PJハーヴェイ「This Is Love」、キング・クリムゾン「Moonchild」、ニール・ヤング「I Believe In You」、キャット・スティーヴンス「The Wind」などカバー。 ほとんど『せーの』で録音したというざっくりしたバンド・サウンドが中心ですが、曲によっては、特に中盤サイケデリックかつ内省的な雰囲気が漂います。 3曲目、ジミ・ヘンドリックスのカバー「エンジェル」が秀逸。生々しいボーカル、ザ・バンドのようなどっしりとした演奏、そこに被さるサイケに舞うエレクトリック・ギター。かっこいいです。 |
◇◇◇ Lene Marlin /Lost in a Moment ■デビュー・アルバムがいきなり180万枚を超える大ヒット、林憶蓮や江美hが彼女の楽曲をカバーしたことでも知られるノルウェーのシンガー・ソングライター、レネ・マーリン待望の3rd・アルバムの登場です。 発売まで4年掛かったセカンド・アルバムはプレッシャーと周囲の思惑とのずれに悩んだ時期であったためか、内省的で淡々としたイメージでした。 2ndアルバムから約1年半で届けられた本作は、彼女言うところの「ピュアな幸福感」溢れるものになりました。 1曲目「My Lucky Day」から力強さが増した楽曲に思わず嬉しくなります。 ハッピーといっても、歌詞から見られるように悩み傷ついた心を歌った曲が多く、ノルウェー出身だからか、ひんやりした感触が楽曲に漂い、ハスキーで儚げで可愛らしくもあるボーカルが心に残ります。 |