*2004年夏*



ティル・ブレナー /That Summer



7月
キム・ユナ /瑠璃假面
韓国のバンド、Jaurim紫雨林(チャウリム)の女性ボーカリスト、ユナのソロ第二作目。
ソロの第一作目でも、紫雨林のロック・バンド・サウンドとは違った、ケルト音楽にも通じる独自の音楽を聴かせていましたが、この二作目はそれとも違った世界を聴かせます。
全曲ユナの作詞、作曲。レコードの針を下ろすスクラッチノイズに続いて流れてくるのは、耽美的でクラシカルな世界。続く曲はタンゴ。ジャケットから連想されるような、どこか古めかしくドラマチックな音。
3曲目はウッドベースのソロで始まる重く暗いジャズ。
このような独特の雰囲気が全編に流れる、異色作です。
◇◇◇

ティル・ブレナー /That Summer(推薦!)
ドイツ生まれの彼の音楽はとても身軽である。トランペットとフリューゲル・ホルンを吹き、渋い喉を聴かせる。歌は柔らかく素直で、甘過ぎない。ルックスもマル。
ジャンル分けすればジャズということになるのだろうけど、オリジナル中心の楽曲はいい意味でコンテンポラリー。ポップと言ってしまってもいいメロディーは普遍的な美しさを漂わせている。
確かにジャズの瞬発力やインプロヴィゼーションを期待して聴く音楽ではない。
忙しさから休暇を取るため行ったカナダでインスピレーションを得たというだけあって、全編夏を感じさせる寛いだ音である。
前半はボサノバタッチの曲が並び、7曲目「Ready Or Not」は6拍子のスムース・ジャズ・ナンバー。
8曲目、レイジーなタッチの「After Hours」を挟んで、一番のお気に入りが9曲目「So Right, So Wrong」。
ホップ・バラードの名曲だと言ってしまいたい。いいです。
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夏川りみ /沖縄の風(推薦!)
いいなあ、と前から思っていたのになぜかアルバムを買いそびれていたアーティストが夏川りみさん。
ぼくが彼女の歌がいいなあと思うところは、沖縄のメロディーの心地良さを聴かせつつ、決して説明口調にならず、とても耳あたりの良いポップ・ソングを聴かせてくれること。三線とアコースティック・ギターが違和感なく解け込んでいる。
「童神」、「芭蕉布」、「涙そうそう」の有名曲収録。
でも、なんといっても一番感動したのは「島々清(かい)しゃ」という曲。
絶妙のアレンジで、間奏の盛り上がりから後半になだれ込むところが秀逸!
美しくて懐かしさを感じるメロディーにエレクトリック・ギターやオルガン、ドラムが絡むと、どこかレイド・バックしたアメリカ音楽にも通じるものがあります。
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Sakura /Lana(推薦!)
なんとなく、あまり宣伝されることもなく発売された感のあるSakuraの新譜ですが、内容は前作に引き続き素晴らしいです。肩の張らない自然体の音楽は今まで以上で、Sakuraのウクレレもフィーチャーして今の季節にぴったり。
1曲目「Surf」ははねたドラムのリズムから始まるかっこいい曲。
2曲目「beach bum」は和テイスト+レゲエ+ハワイなこれまた寛いだ曲。
3曲目「言の葉」は名バラード。なんとなく宇多田ヒカルに通じるものを感じました。
4曲目「虹へのプレリュード」は前作に引き続き大阪弁ソウル・ナンバー。
6曲目「Your Flow My Flow」は憂いを含んだマイナー・チューン。アコースティック・ギターでCharが参加。割と控え目のプレイを聴かせています。
8曲目「Do It!」はウキウキしたウクレレのカッティングと前のめりなリズムが爽快です。
ジャケットがちょっと地味かな。
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Juliana Hatfield /in exile deo
ジュリアナ・ハットフィールドの新作。やや恐い顔つきではあるが(?)、甘い声と潔いギター・サウンドは相変わらずです。
冒頭ハードな曲で飛ばしますが、全体的には、シンプルな曲が多いです。
アコースティック・ギターとストリングスをバックにささやくように歌う「Tomorrow Never Comes」、珍しくストーンズ風のギター・リフとオルガンがいい味を出している「Because We Love You」がいい。
溜めて爆発のラストのバラード曲「My Enemy」が美しい。