*2003年夏*

Sakura / pua nani

Poco / Running Horse



8月
Kevyn Lettau / The Color Of Love(推薦!)
とても美しい声のシンガーです。
透明でよく伸び、声量もある。そして曲もつくり14曲中9曲に名を連ねています。
彼女のアルバムは、CD店ではジャズの棚に並んでいますが、曲はとてもカラフルでポップ感覚。
実にいろんな曲が入っていますが、すべて彼女の「声」で統一感を損なっていないのはさすがです。
1曲目「Winter」はゆったりした、コンテンポラリーなバラードで、美しい歌声が映えます。
2曲目「Pickin' Weeds」は一転して、ファンキーな裏打ちビートに乗った、フュージョン・ナンバー。
3曲目「Let Peace Surround You」はまた一変して、彼女のボーカルを多重録音した、聖歌隊のようなナンバー。
5曲目「You're Getting To Be A Habit With Me」は男性ボーカルとデュエットの、ジャジーなスイング・ナンバー。
6曲目「Color Of Love」は美しいバラードで、マイク・スターンの弾く感情豊かなギター・プレイにも感動。名曲です。
10曲目「Strawberry Fields Forever」は言わずと知れた、The Beatlesのナンバー。やや、ファンキーなカバーになっています。
◇◇◇

Poco / Running Horse(推薦!)
ポコ、13年ぶりの新譜だそう。しかも前のアルバムはゲスト・プレイヤーが多過ぎて、バンドというより、オールスターといった感じでしたが、新作は、Rusty Young, Paul Cotton, George granthamが復帰、最も安定していた時期のメンバーとなっているのがうれしい。
ただし、Timmothy Schmittは再編Eaglesに参加したため、ベースはJack Sundrudという人が参加しています。音楽は基本的にこの4人で作られています。
音は、爽やかで温か。奇をてらったところは何もなく、録音がとてもいいことを除けば70年代のアルバムと言っても信じてしまいそうな音。でも、ちっとも古臭い感じはなくて、むしろとても新鮮。
カントリー・ロックというよりコンテンポラリーな肌触り。聴いていると穏やかな気分になります。
「That's What Love Is All About」は名バラードです。
◇◇◇

Lillix / Falling Uphill(推薦!)
カナダ出身、十代のガールズ・ロック・バンドのデビュー・アルバムです。
久し振りに聴く(笑)、元気あふれるロック・アルバムですが、これがなかなかいい。
メンバーの若さ溢れるボーカル&ハーモニーは勢いあって清々しいし、なんといってもいい曲を書いています。
ポップでキャッチ―なハネたリズムが印象的な「It's About Time」、曲の良さが光る「24/7」、半音で移動するサビが面白い「Fork In The Road」、はたまたパンクっぽい曲まで、楽曲の幅も広いです。
演奏は、プロデューサーの意向か、スタジオ・ミュージシャンを多く起用しているみたいですが、実力も充分、これからも楽しみなアーティストです。
◇◇◇

Suzy Bogguss / Swing
Suzy Boggussはカントリー系のシンガーですが、このアルバムは「Swing」というアルバム・タイトルの通り、オールド・タイムな雰囲気溢れるスイング・ジャズ集です。
ウッドベース、ドラム、ピアノ、ギター、曲によってジャズ・バイオリン、サックス、クラリネットが入り、ラウンジで聴いているようなとてもしゃれた気分。
ぼくは知っている曲は、マリア・マルダーが歌っていた「Sweetheart(Waitress in a Donut Shop)」だけでしたが、なかなかいい雰囲気です。
彼女の声は、それほど太くなく素直な歌い方なので、ジャズ・シンガーによくあるアクやフェイクは余りなく、好みの分かれるところでしょうが、あっさりした感じは気負いなく聴くことができます。

6月
Sakura / pua nani (特薦!)
女性シンガー/ソング・ライター、Sakuraの久々の新譜は、ハワイの言葉で美しい花を意味する「pua nani」。
明るく、楽しく、優しく、温かい。とても前向きで、力強いのに、何気なくシンプルに歌っているようにも聴こえる。歌いたい詞があって、歌いたいメロディーが生まれ、歌う。なんと歌うことの嬉しさに溢れているのでしょう。
前作はやや内省的で実験的な面があったのですが、新作はソウル・フレーバーにあふれ、レイドバックした雰囲気が満載です。
1曲目「Good Love」はアップテンポで、スムースなソウル・ミュージック。60年代のソウルやキャロル・キングを思わせる曲調で、頭からとっても幸せな気分。
2曲目「どうしてこんなに好きになったんだろう・・・」もファンキーなリズムが冴える曲。アルバムを通してハネたリズムの曲が多いのも今回の特徴です。
3曲目「Love 4 Real」はラップ調の曲で、歌詞がなぜか関西弁(彼女はスイス生まれですが、関西育ち)。
4曲目「イルカナヒトミ」はバラード曲。1本のギターと3本のウクレレだけをバックにしっとりと歌います。
5曲目「メロー フロー」もSakuraが弾くウクレレをフィーチャーした曲で、こちらは明るく弾んだリズムが特徴で、ハンド・クラップも入ってご機嫌。
6曲目は先行シングル曲「ラブをばらまこう」。スイートなコーラス・ワークが印象的です。
7曲目「Paradise」はレゲエ調のメロディーとパーカッションが印象的な曲。Keykoがボーカルと作詞で参加しています。
8曲目「HONEY」はマイナー調のソウルで、何度も繰り返されるギターのリフが耳に残ります。
9曲目「JUICY FRUITS 0141」はとってもとっても甘いラブ・バラード。
10曲目「ipo」は三線をフィーチャーした沖縄メロディーの曲。NUUが参加。
ラスト「Heaven's Door」はしっとりした曲で、生まれた喜び、育む幸せを静かに歌います。