*2004年−2005年冬* |
2月 |
孟庭葦 モン・ティンウェイ/ 紅花(特薦!) ■2000年発表の「愛到史艶文」を最後に歌手活動に対する失望を理由に引退を表明し、ファンを哀しませた孟庭葦。途中、宗教音楽盤への参加はあったものの、ポップス音楽界としては実に4年半振り、正真正銘ニュー・アルバムが発表になりました。 ■CDを掛けて、まず耳を奪われるのは、その若々しく可愛らしい、よく通る透明な声です。 引退表明前の友善的狗レーベルに在籍していた頃は、明るくさわやかなライト・ポップス/ロック色を強めていましたが、このアルバムはいい意味で、台湾ポップス色の豊かなアルバムになりました。 それは現在の、洋楽や日本のポップスに近い台湾ポップスではなく、童謡や唱歌に通じるようなたおやかで柔らかなメロディーを持つ往年の台湾ポップス。 このことは、デビュー後のヒット作をセルフ・カバーした1曲目「[イ尓]看[イ尓]看月亮的臉」で始まることからも、彼女の気持ちが伝わってくるようです。 どの曲も遜色なく、全体を包み込む暖かなトーンに心が和みますが、取り分け美しいメロディー・ラインを持つ2曲目「静静的生命慢慢的河」、スキップしているような楽しげな3曲目「聽説遠方有片海洋」、哀愁を帯びた5曲目「孤獨時候[イ尓]想誰[口尼]」など、お気に入り曲満載です。 |
◇◇◇ 蔡健雅 Tanya Chua/ 雙棲動物 ■シンガポール出身のシンガー・ソングライター、タニア2年振りのニュー・アルバムです。 全体の印象は、今までと大きく変わることのないタニア・ワールドです。 冒頭3曲に静かな曲を配しているせいか、最初聴いた感じは少し大人しい印象がします。 4曲目「優先権」で、聴きなれたアメリカン・ロック・テイストの切れの良い楽曲が聴けます。 個人的には、ひんやりとしたギターのトーンが印象的な9曲目「坐立不安」が好きです。 今までの彼女の楽曲を知るものにとっては、もうひとつ意外性も欲しいと思ってしまうのは、贅沢なファン心理かもしれません。 |
◇◇◇ 范曉萱 Mavis Fan/ 還有別的辧法[口馬]。 ■しぱらく活動を耳にしなかった、メイヴィス・ファン。久し振りのアルバムは、インディーズ・レーベルからのリリース。タイトルは『まだ他に方法はあるというの』。 ほとんどの曲を彼女が書き下ろし(不可思議なインストあり)、プロデュース、すべての楽器、プログラミングのすべてを彼女がしています。 それゆえ、内容は実験的、内省的、宅録的です。 決して聴きやすいアルバムではありませんが、これが今の彼女の心情なのでしょうか。 |
1月 |
趙薇 Zhao-Wei (Vicki Zhao)/ 飄 ■中国の女優、ヴィッキー・チャオの2004年12月に出た新譜です。 これが2枚目のアルバムだと思いますが、前作のアイドルチックな印象に比べると、実に落ち着いたつくりで、何より良い楽曲がたくさん詰まっています。 全体にしっとりした印象を残しながら、単調にならずバラエティ豊かな曲が並んでいます。 ■1曲目「變了」はゆったりした曲調で、憂いのあるメロディー、なめらかに音階を移りゆく音節がとても良い感じ。 3曲目「漸漸」は男性ボーカルNo Nameをフィーチャーしたバラード曲。後半のボーカルの絡みが曲を盛り上げます。 4曲目「無盡的莎士比亞」は落ち着いた中にも軽やかな感覚の曲で、軽くフェイズ・シフターが掛かったようなギターのトーンが印象的。作曲は張亞東。 5曲目「一直下雨的星期天」はさわやかなリズムに、どこか和テーストななめらかなメロディー・ラインが心地よい。 7曲目「状態」はギター・ロック・スタイルの曲。性急な乾いたギターが特徴の曲です。 10曲目「天使之名」は再びしっとりと、ラストをゆっくりと盛り上げます。タイトルの『飄』はこの曲の歌詞から取られているようです。 |