*2004年秋*

梁靜茹 / 燕尾蝶

王羚柔 / 當我[イ門]同在一起




11月
王羚柔 ワン・リンロー/ 當我[イ門]同在一起(推薦!)
台湾のシンガー、王羚柔の1年振りの2作目です。
『甜蜜女聲(甘い女性ボーカル)』と紹介されているように、甘く、鼻に掛かったような声がとても特徴的。1度聴いただけで耳に残る歌声だけど、歌い方に癖がなく透明な感じがとても良いです。
1曲目「當我[イ門]同在一起」はクラシカルなピアノや弦楽器に乗って歌われる静かなワルツ曲。
この曲に限らず、全体的にピアノと弦楽器が印象的に使われていて、そこはかとなく漂うクラシカルな雰囲気はとても趣があります。
3曲目「現在不哭」は、マイナー調の悲しげな雰囲気漂う6拍子の曲。
4曲目「午后」は雰囲気変わって、アップテンポの元気な曲。日本のポップスぽいかな。
6曲目「100%的男孩與女孩」は一番のお気に入り曲。ゆったりと風に揺られているような6拍子のメロディーが美しく、透明な歌声も素晴らしい。
8曲目「等待快樂」は場末?を思わせる陰鬱なブルース曲で、ちょっと異色。
11曲目「愛自己」はつぶやくような歌い方とエレクトリカルな処理が独特の雰囲気。王菲のつくる曲に似ていなくもない。
最後の「幸福是什麼」は再びしっとりとしたピアノ曲で幕を閉じます。
トータルなコンセプトも感じさせる良いアルバムです。
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孫燕姿 Stefanie / Stefanie
1年の休業を経て発表となったStefanieこと、スン・イェンズの新譜です。
アルバムタイトルは自己の英語名を冠しています。
一聴して、孫燕姿の新譜はとてもバラエティーに富んだつくり。
1曲目「奔」は、ハード目のリズムで、Shinoのロック・ナンバーに通じるノリの曲。
2曲目「我的愛」は一変して静かなバラード曲。
3曲目「祝[イ尓]開心」はバンジョーも入った、軽快なポップ・チューン。
歌詞は10才の誕生日おめでとう、という内容だと想像するのだけど、誰のことかな。
4曲目「我也很想他」は中国版『世界の中心で愛を叫ぶ』の主題曲となった、バラード曲。
5曲目「聽見」は孫燕姿作曲。ミディアム・テンポのロック・ナンバー。
8曲目「種」も孫燕姿作曲で、こちらはアフリカだろうか、民族音楽の味付けが面白い。
9曲目「反過來走走」は今風の打ち込みビートとレトロな雰囲気を併せ持つ曲で、ラップも披露。
本編ラストは題も「Stefanie」。アコーディオンの音が暖かな雰囲気を醸し出す、落ち着いたナンバー。
スライド・ギターも入った土臭い雰囲気、後半盛り上がるコーラス隊がとてもいいです。
恐らく彼女の心境と決意を歌ったものなのでしょう。
ボーナス・トラック11曲目はスクーターのコマーシャル曲「Let's Vino」。ロックぽく、展開も凝っていてなかなかかっこいい。
12曲目「未知的精采」も、ミディアム・アップテンポのきれのいいロックナンバー。これもいいです。
早口のサビのフレーズがかっこいいです。う・た・え・な・い(笑)。


9月
梁靜茹 Fish Leong / 燕尾蝶(推薦!)
マレーシアのシンガー、フィッシュ・リョンの久し振りのフル・オリジナル・アルバムが登場です。
作家陣で目を引くのは、張清芳、趙詠華といったベテラン・シンガーに趣のある名曲を数多く提供している李正帆が3曲、五月天の阿信が2曲楽曲を提供しています。他には陶[吉吉]、藩協慶がそれぞれ1曲ずつ提供しています。
1曲目「寧夏」は李正帆のペンによる曲。どこか懐かしい日本的な柔らかいメロディー、微風のようなアレンジが耳に残る素敵な曲です。
この曲が冒頭に来ているからでしょうか、前作オリジナル・アルバムの軽やかでさわやかなイメージに比べ、穏やかな一面が強調されているようにも思います。
3曲目「燕尾蝶」はマイナー調のエッジの効いたバンド・サウンド。訴えかけるような力強いボーカルが印象的です。阿信の作詞作曲。ちなみに燕尾蝶とはアゲハ蝶(Swallowtail Butterfly)のことです。
柔らかいバラード曲「接受」に続く5曲目「我都知道」は、イントロのスネア・ドラム(?)の4連打が衝撃的な曲。勢いがありながら胸に沁みるメロディーラインがとてもいいです。
陶[吉吉]の作曲。
6曲目「我是幸福的」は優しげなバラード曲。
『数十年後、あなたがおじいさんになっても私はあなたの杖になり、あなたについていく。目が見えなくなっても貴方の眼鏡は私、時間を忘れてゆっくり歩きましょう』と、彼女の歳にしては落ち着いた内容ですが、とてもいい歌詞です。
7曲目「別人的天長地久」は6拍子の憂いをたたえた曲。サビのフレーズがじんときます。これ、歌えたら気持ちよさそう。
8曲目「茉莉花」は再び
李正帆のペンによる曲。ここでもどこか懐かしさを感じられずにはいられない柔らかなメロディー・ラインがとても美しい。
10曲目「L.I.E」はこのアルバムでは唯一ちょっと跳ねた、そこはかとなくライト・ソウル風の曲。ちなみに題のL.I.Eとは歌詞のLove Is Everythingの略のようです。
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張信哲 Jeff Chang / 下一個永遠(推薦!)
こちらもかなりお久し振りの感がある、台湾の男性ハイトーン・ボイスのシンガー、ジェフ・チャンの新作の登場です。
情歌王子(ラブソングの王子)と異名を取る彼、本作もバラード満載ですが、これ、なかなかいいじゃないですか。
1曲目「白月光」は、ふくよかなストリングスに導かれてしっとりと歌うバラード曲。途中からリズム隊が入って盛り上がります。この曲の作者は最近ピアノ・ソロのアルバムを発表した松本俊明。原題は「Misty Moon」。
3曲目「[イ尓][小董][口馬]」は、バラード歌手のイメージを破る少しハードめの曲。
4曲目「習慣寂寞」はJS(@GoGo & MeMe)の陳忠義の作曲。
6曲目「愛與折磨」は、落ち着いた、少しゴスペルぽさも感じられるメロディーが印象的な曲。この曲好きです。
9曲目「月半圓」もお気に入りの曲。サビでフラットして下降するメロディーライン、好きです。曲は宇督宮優子という人、作詞は陳綺貞が当たっています。
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Wei-Wei / 薔薇 china rose
ウェイ・ウェイ、漢字で書くと薇薇、は中国南京で生まれた揚琴奏者で、これがファースト・アルバム。
揚琴は140本以上の琴線を竹の撥で叩いて音を出します。ピアノに原理は似ていますが、ハンマーでなく直に撥で叩くため音は、軽やかで繊細、どちらかというとチェンバロのような音です。
3曲目「ベールをあげて」は、新疆ウィグル地方の民謡ですが、どことなくケルト地方のダンス曲のようでもあります。
5曲目「My Favorite Things」は映画、サウンド・オブ・ミュージックの曲ですが、ジャズっぽいアレンジで意表を突きます。
6曲目「稔りの時」はNature Madeのコマーシャルにも使われている曲です。
7曲目「南京的跳躍〜クラリネット・ポルカ」はどこかで必ず聴いている楽しげな曲。運動会かな?
9曲目「ジムノペディ第一番」はエリック・サティの有名曲。心地よい・・・。