*2003-2004年冬*


容祖兒 / 獨照
蕭亞軒 / 第5大道




2月
蕭亞軒 Elva / 第5大道
多くの新人歌手、ベテラン歌手が音楽界の不況・リリース減少の状況に苦戦する中、台湾で最も人気のあるシンガーのひとりが、エルバ。これは昨年12月30日に発表された、彼女の最新作です。
彼女の音楽スタイルもすっかり定着した感があり、この新作でも、ダンサブルなナンバーと、切々と語りかけるようなバラード曲の対比もより明確になっています。
個人的には彼女の歌うバラード曲が好きなので、そちらの楽曲に耳が行ってしまいがちなのですが、3曲目「地下鐵」はそんな期待に違わぬ名バラード曲。この曲は王家衛監督の同名映画の主題曲でもあります。
続く4曲目「來自大五大道的明信片」はアルバムの中核を成す曲。ミディアム・テンポのソウル・ナンバーで、スネア・ドラムの代わりにハンド・クラップを入れたメローな雰囲気がいい感じです。
8曲目「靜靜的看[イ尓]」は、珍しくボーカルをオフ気味にして、ふわっとしたボーカルを何重にも重ねたコーラス・ワークが美しい、メローなナンバーです。“間”を生かしたアレンジも心地良い。
軽快なダンス・ナンバー「幸福的地圖」は2バージョン収録。
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張清芳 Stella Chang / 感情生活
台湾の中堅シンガー、ステラ・チャンの新譜です。特定の作家とのコラボレーション作が続いていましたので、なんだかとても久し振りな感じです。
まず、ジャケットにびっくり。髪型を変えたせいか、とても若々しい印象。
1曲目「飛往[イ尓]的城」はそんなジャケットの印象どおり、軽やかなバンドサウンドが素晴らしい曲。
ピアノ、アコースティック・ギター、オルガンといった楽器に、ステラの歌声が優しく響きます。
続く2曲目「女人的明信片」も美しいバラード曲。全体を包むメローなトーン、きれいなメロディー・ラインが印象的です。
4曲目「對話練習」は冒頭、ステラが男性に日本語を教えているシチュエーションが面白い。
7曲目「一個人的遊蕩」は都会的な雰囲気漂う、マイナー・チューンで、なかなかかっこいい。
全体的にはゆったりした曲が多く、重くならない演奏と繊細な歌声が心地良く響きます。

12月
容祖兒 Joey Yung / 獨照
香港のシンガー、ジョーイ・ヨンの新譜は、彼女にとって国語(普通話)2枚目のアルバム。
広東語のアルバムは、ジャケット写真も含め、ダンサブルな曲が多いですが、国語アルバムは台湾でのファンが多い為しっとりと聴かせるバラード中心で、しっかりした歌唱力で聴かせます。
1曲目「揮著翅膀的女孩」は、広東語アルバム「我的驕傲」表題曲の国語バージョン。
(なお、「揮著翅膀的女孩」自身もアルバム「我的驕傲」の最後に収録されていました。)
2曲目は表題曲「獨照」。もの悲しいマイナー調の曲で、裏声を駆使したメロディーが印象的です。
3曲目「不想回家」は、Strawberry Fields Foreverをちょっと思わせるオルガンのイントロが印象的なバラード曲です。
4曲目「忽然単身」はスパニッシュ・ギターを大きくフィーチャーした曲で、サビのメロディーがいいです。
5曲目「[イ尓]還是疼我的」はしっとりしたバラード曲。これもサビのメロディーがとてもよくて、「♪〜〜的、〜〜了」を繰り返す詞がメロディーとぴったりハマっています。
6曲目「等不及愛上[イ尓]」も美しいメロディーのバラード曲。作曲は劉志文。
7曲目「放大鏡」はフィンガー・スナップとベース、コーラスだけで歌われるちょっとソウルぽい味付けが楽しい曲。藩協慶の作詞作曲。
8曲目「在夏天冬眠」はピアノとストリングスを配した、少し切ないワルツ・ナンバー。途中でテンポ・チェンジします。
9曲目「都是那個吻害的」はフュージョン/ソウルタッチの、アルバム中最も軽快なナンバー。
続く10曲目「K眼圏」も爽やかなタッチのナンバーで「♪Ho〜K眼圏」のフレーズも軽やか。
Bonus Trackとして衛星連続ドラマ“親情”の主題曲「有愛」収録。(この曲は「等不及愛上[イ尓]」の歌詞違いバージョンでもあります。アルバムとしては10曲目で一応終わりと考えたほうがまとまりがいい気がします。)
特典として「獨照 16mm劇情短片」なる55分のVCD映像がついています。しかし、私のDVDプレイヤーと相性が悪いのでしょうか。どうしても観ることが出来ません・・・(泣)。
もし観た方がおられたら内容を教えて下さいませ。
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B.A.D./ 夢的起點(推薦!)
台湾出身のBen, Alex, Danny3人からなるボーカル・グループ、B.A.D.の4th アルバムです。
ちなみにBenは江美hのニューアルバム「朋友的朋友」の中の1曲「You're In Love」で、デュエットしていた人です。
全体的な曲の雰囲気は先の「You're In Love」にも通じる、アコースティックでほのかなソウルっぽさと洋楽に通じる軽やかな雰囲気が良い感じ。生楽器の比重が高く、ラップやヒップホップの曲が比較的少ないのも特徴でしょうか。
ボーカルもごりごり押すのではなく、ふわっとした感じでハーモニー重視。ファルセットもごく自然な感じで聴かせます。ちょっと陶[吉吉]と声の雰囲気が似ているかな。
プロデュースはJim Lee, BJack他。特にBJackなる人は、ドラム、ギター、ベース、キーボード、バックコーラスまでこなす活躍振り。江美hのアルバムで参加していたギタリスト、劉志遠も参加しています。

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阿杜 A-Do / 哈[口羅] (Hello)
シンガポール出身のシンガー、ア・ドゥーの3枚目のアルバム。
ハスキーな搾り出すような声が魅力的な人で、ファーストの「天黒」はなかなかの名バラード曲。
セカンドは割と軽いタッチで、寛いで聴ける雰囲気でしたが、本作では今まででいちばんバラードの比重が高いでしょうか。
作曲陣は多彩。イントロのソプラノ・サックスがいい雰囲気の1曲目「
哈[口羅]」は周傳雄の作曲。
3曲目「走向前」はソウルっぽい曲調に乗るチャイニーズ・フルート(?)のような音がいい雰囲気。
4曲目「退譲」は周杰倫の作曲。
ヘビー・ロックのようなギターがうなる6曲目「無能為力」はアルバムの中でも異彩を放つ曲。戴佩[女尼]の作詞作曲。
7曲目「死心徹底」はアコースティック・ギターが心地良い曲。作詞が陶晶瑩、作曲は本人。
9曲目「Hello」はLionel Richieのカバー曲です。