*2002年夏*
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8月 |
陳綺貞 Cheer Chen / 吉他手 groupies ■途中変則的なリリースはあったものの、歌物のフル・アルバムとしては、2000年発表の『還是會寂寞』以来久々となります。 今回ももちろん全曲彼女自身の作曲。詞も1曲を除いて全曲手掛けています。 ちなみに『吉他手』とはギタリストのこと。彼女自身ギターを弾き、現地台湾では弾き語りライブを行ったりしています。 ■全体を包む雰囲気は、前作『還是會寂寞』の流れを汲むもの。繊細でアコースティック・ギタリストらしい曲から、エレクトリック・ギターやオルガンが入った軽快な曲まで曲調は広いのですが、どこを取っても陳綺貞らしさの漂う曲になるのが不思議です。 彼女の特徴ある声、あまりお腹に力を入れず、か細くふわっとした少し甘い歌声は、よりいっそう彼女の音楽を印象付けています。 スウェディッシュ・ポップスを思わせる「1234567」、イントロの少しノイズの掛かったギターがダウナーな雰囲気(少しイギリス的?)をかもし出す「[身尚]在[イ尓]的衣櫃」、落ち着いたリズムとメロディーラインがきれいな「黒眼圏」が今のところお気に入りです。 |
7月 |
江美琪 Chiang Mei Chi / 再一次也好(推薦!) ■静かで柔らかいアルバム。 江美琪の待望の5枚目のアルバムは、そんな雰囲気に満ちています。 CDの帯を見ると『今年の夏、抒情的な小美、11篇の夏の物寂しい恋の歌が発酵(?)し始める』とあります。なるほど、この全体を包む淡いトーンは今回のコンセプトなのかもしれません。 前作から顕著であった優しく透き通るような歌声には、さらに磨きが掛かってて、ボーカルの美しさは今までで一番でしょう。もうひとつの彼女の魅力でもあったやんちゃな部分は影を潜めているのでちょっと寂しい気もしますが、ラストの曲で昔の雰囲気の歌い方に戻っていて、懐かしい感じがします。 ■全体を包むアコースティックな雰囲気は今回も同様で、1曲目「夜的詩人」はアコーディオンも入った、静かなワルツ曲。 2曲目「再一次也好」は沢田知可子『会いたい』のカバー。この曲には陳綺貞がアコースティックギターで参加しています。6曲目にこの曲の別バージョンが収録されていて、こちらのほうがよりギターが際立ったアレンジ。彼女のひとり多重コーラスが美しいです。 3曲目「揮霍愛人的耐性」は五月天の阿信と怪獣+江美琪の共作曲。 5曲目「緩慢的愛」はすっかりおなじみ陳珊[女尼]の提供曲。ドリーミーでたゆたうような曲調は相変わらず美しく、特にここで聴ける江美琪のひとり多重ボーカルの透き通るような歌声は本当に綺麗です。 7曲目「東京鐵塔的幸福」は「親愛的[イ尓]怎麼不在身邊」のコンビ、郭子+[烏卩]裕康のペンになる曲。静かなバラードですが、さびのメロディーがさすがに趣味がいいです。 9曲目「海角天涯」は切れのいいギターが印象的な爽やかな雰囲気の曲。 ラスト11曲目「Love Love」でほっと一息、くつろいだ軽快な雰囲気の中、アルバムは幕を閉じます。 |
◇◇◇ 梁靜茹 Fish Leong / time & love演唱會Live全記録(推薦!) ■暖かくハスキーな歌声が魅力のマレーシアのシンガー、フィッシュ・リョンの新譜は、2002年3月16日、台湾の台大体育館で行われたライブのアルバムです。 CDとVCD(大部分のDVDプレイヤーで再生可能な映像盤)の二枚組になっていて、CDは14曲、VCDは11曲入りで、双方で重なっている曲は6曲となっています。 フィッシュ・リョンの衣装は白地に大き目の花柄のドレス、白のシンプルなドレス、黒の上下等、どの衣装も女性らしく彼女の雰囲気にピッタリ。ステージングもアジアのスターにしては驚くほどシンプル。「半個月亮」で月のブランコに乗って登場(これはとてもいい感じ)する以外は、曲のバックでダンサーが激しく踊ることもなく、歌そのものを伝えようとするステージは非常に好感大。 ■また、ライブのもうひとつの楽しみは、スタジオ・アルバムでは聴けない曲が聴けるところでしょうか。 緩やかなメロディーラインが美しい英語曲「Whoever Finds This I Love You」、熊天平の「夜夜夜夜」、壮大でアンビエントな雰囲気がアルバム中で際立つ「期待」、李宗盛のバラード曲「我是真的愛[イ尓]」がCD初収録曲。またVCDの方ではびっくり蘇慧倫+莫文蔚の曲「失戀萬歳」をカバー。VCDのみで聴ける「一夜長大」では涙で歌が途切れる場面も。 実際彼女のステージを観た人によると、実に楽しそうに歌を歌う人で、ああ、この人は歌うことが本当に好きなんだと思ったそうです。そんなことを充分納得させる素敵なステージです。 |
◇◇◇ 孫燕姿 Sun Yan-Zi / Leave ■孫燕姿のニュー・アルバムが早くも登場です。カバー曲集だった前作『自選集』が2002年1月発表、その前のオリジナル作『風筝』が2001年7月発表でしたので、いかに彼女が人気で勢いに乗っているかがわかります。 芯があって柔らかさもあるボーカル、ファルセットに移るときの凛とした佇まいは、すっかり定着してきました。 ■1曲目「作戦」はラップも入った、ダンサブルなナンバー。2曲目「我不愛」は孫燕姿の説得力のあるボーカルが堪能できる、ゆったりしたバラード曲。オーケストラが雰囲気を盛り上げます。 続く3曲目「[小董]事」はマイナー調のリズムが立った曲。孫燕姿のシリアスな面が出た曲です。 5曲目「一樣的夏天」はエレクトリック・ギターのみをバックに歌うしっとりした曲。洋楽タッチの実に趣味の良いギターを弾いているのは許華強です。 7曲目「不同」はワンテンポ遅れて1オクターブ跳躍する不思議なエフェクター(?)が掛かったギターのイントロが印象的な、ややコミカルかつかっこいい曲。サビの「♪どぅおいでぃぇん、どぅおいでぃぇん・・・」という降りてくるフレーズがなかなか楽しいです。 9曲目「我想」は彼女得意のファルセットに跳躍する力強いボーカルが堪能できる軽快な曲。いい曲です。 10曲目「LEAVE」は珍しくカントリー調のレイド・バックした雰囲気がいい曲。こちらも和める、なかなかいい曲です。 |
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