*1999年夏*



8月
張清芳 「只是張清芳」 ・ステラ・チャン(特選!)
これ、むちゃくちゃいいです。
とても大陸的で穏やかだった國語版の前々作「花雨夜」も、ちょっと演歌ぽかった台湾版の前作「アイ・ヨウ・ウェイ・ヤ」も良かったけど、今までのどのアルバムとも違うとても前向きで新しい彼女の魅力満載のこのアルバムは最高です。
全体的にとてもアダルト・オリエンテッドなムードが漂っていて、全編こんな明るい彼女の歌を聴いたことは無かったんじゃないでしょうか。
どの曲も魅力的ですが、やはり白眉は主打曲の「只是個孩子」でしょうか。
ロー・フルートのような音に続き、アフリカっぽいパーカッションが刻まれ、続いてどこか沖縄っぽい旋律の歌へと導かれ、やがて中華な旋律へと変わっていき、サビで一気にステラの滑らかなボーカルが盛り上がる、素敵な曲です!曲調は全然違うけど、崇高さ、気品と言う意味で少し Paul Simon の “Graceland” を思い出してしまいました。全曲捨て曲なし!
今までの地味な印象でこのアルバムを聴いたらびっくりするでしょう。これは万人にお勧めできる上質のポップ・アルバムなのですから!

許茹芸 「眞愛無敵」 ・ヴァレン・シュー
巷で人気沸騰、早くもヴァレン・シューの新作の登場です!
海辺で巨人サイズの本に乗っかっているヴァレンの愛らしいジャケットもグッドな新作は、カモメの鳴き声が印象的な表題曲「眞愛無敵」から始まります。
前作「[イ尓]是最愛」は割とシリアスな印象のアルバムでしたが、本作は「如果雲知道」の頃を思わせる穏やかな曲と新機軸の曲が半々といった印象でしょうか。
3曲目「我就是這麼快楽」と8曲目「TODAY」では珍しくアッテンポの打ち込みリズムをバックに、浮遊感漂うボーカルを聴かせています。特に「我就是這麼快楽」ではクランベリーズ、コクトー・ツインズを思わせるボーカルが素晴らしいです。
5曲目「蝸牛(かたつむり)」は、齊秦、熊天平、動力火車らと歌われるスケールの大きな曲。子供たち(アフリカの子供たちでしょうか・・)と撮ったビデオ・クリップもじんときます。
6曲目「恆星」では蘇永康とのデュエットが聴けます。
10曲目「痞子」は最近彼女がどのアルバムにも一曲は入れている、ロック・チューン。ファンキーなギターがいい感じです。
最後を飾るのはこのアルバムでは唯一の許茹芸作詞作曲「忘」。渋いアコースティック・ギターの弾き語りで始まる魅力的な曲です。
大きな冒険はあまり見らないのが少し残念ですが、穏やかで落ち着いて聴けるアルバムです。

V.A. 「天下大亂 戯劇主題曲全記録」
これはお買い得、中国や台湾のテレビ主題歌などを集めたお値段据え置き2枚組アルバムです。1枚目は男性の歌を11曲、もう1枚は女性の曲を11曲収録していて、周華健、蘇慧倫、陳淑樺、萬芳といった人たちがあれよあれよと参加しています。
正直言うと男性篇は周華健の「上上籤」以外はあまりピンときませんでしたが、女性篇がすばらしい。主題曲なだけあって、どの曲もキャッチーで中華的情緒が漂っていていい感じです。
特に今まで余り強い印象の無かった陳淑樺のバージョンが素晴らしく(収録曲も5曲とダントツに多い)、こんな温かな声のボーカリストだったのかと、新しい発見でした。
肩の凝らない、ゆったりした気分に浸れるグッドなアルバムです。

阮丹青 「有染。」 ・デニス・ルアン
深みの有る歌声とルックスで多くのファンを魅了している阮丹青、待望の3rdアルバムの登場です。
今度のジャケットも怖いです(笑)。それはともかく、、、
今度のアルバムは1曲目からかっこいい!オルガンとエレピの音に導かれて始まる渋いフュージョン・ロック・タッチの曲。中期クルセダースに通じる雰囲気です。しかも、これ彼女の書き下ろし曲です。
確か1stアルバムをリリースした頃、インタビューで「私の作る曲は余り目立たないみたいで1曲目に取り上げられることはないの。」といったことを言っていた気がしましたが、やりましたね!もっとも、彼女の曲作りの才能は既に2ndアルバムで実証済みではあります。
2曲目は「有染」。ビデオ・クリップでは、体じゅうに糸が絡まる映像が衝撃的でした。
しかし個人的に大感動したのは続く3曲目の「虚情假意」。アコースティックで軽やかさに満ちた曲で、珍しくかすれ気味の色っぽいファルセットを聴かせています。鈴木祥子さんの作る歌にちょっとタイプが似ているかも知れません。これはお勧め!
続く「霧」でもきれいなメロディーに乗って歌われるサビのファルセットがいい感じです。
後半は大人し目のバラードが多いという印象ですが、分厚い弦楽隊とピアノをバックに歌われる9曲目の自作曲「[イ尓]」は趣味のいいコード進行と相俟って、とてもゴージャスないい曲です。
アルバム中自作曲は2曲だけですが、こんなに歌心があるのですから、もっとオリジナル曲を増やして欲しいな。
また、このアルバムでも全編でピアノの音が素晴らしいです。元音楽の先生だけあってかなりこだわりがあると見受けられます。できれば大音量で聴きたいところです。
MTV4曲入りのVCD付です。

林曉培 「SHE KNOWS」 ・シノ
中華人らしからぬ音楽性とイメージで衝撃的なデビューを果たした林曉培、待望のセカンド・アルバムが発表になりました。
アルバムは不穏な雰囲気立ち込めるヘビーな曲「She Knows」で幕を開けます。イントロの重苦しいシンセ音にちょっとCamelの「Stational Traveller」を思い出しました。(こんな例えじゃ、誰もわからんな・・・。)
ちなみに、この曲のビデオ・クリップもかなり不穏な雰囲気が充満していて、過激なシーンにハラハラものでした。
続く曲も、古っぽいエレピで始まるマイナー調の曲。
4曲目「永遠」ではなんとサビの一部を日本語で歌っています。発音はなかなかしっかりしていますが、歌詞カードの日本語はやっぱり間違えています・・。
本作は全体的に深刻で鋭角的な曲、マイナー・キーの曲が多く、硬質な印象がします。
そんな中、5曲目「謎語」は6/8拍子の緩やかな曲、続く「手太小」はアコーステック・ギターのストロークで始まる、ほっとするくらい軽やかな曲でアルバムに変化を与えています。
9曲目「Goodbye My Love」は静かなバラード曲、最後はキャッチーな「Diamond Sun」で幕を閉じます。青い空に向かって心を飛ばそう、高く飛んで過去の自分にさよならを言おう、と歌われています。
なお、初版CDはボックス入りで、Sマークの刺青シールが付いています。

王力宏 「不可能錯過[イ尓]」 ・ワン・リーホン
前作「公転自転」は、彼のソウル大好き魂が炸裂した素晴らしいアルバムで、かなり何度も聴き返したものでした。
そんな彼の待望の新作は、前作ほどソウル一辺倒ではなく、ロック、ポップ、バラード、ソウルと幅広い音楽性で迫ります。個人的には前作のソウル全開なところが好きなのですが、広く一般には本作が好まれるかもしれません。現地テレビでもプロモ掛かりまくり、これで売れないわけがない??
1曲目「釣霊感」から、エレクトリック・ギターのダルなダウン・ストローク(オープンFかな?)で始まり意表を突きます。
なかなかロックな雰囲気で最初からいい感じ。
2曲目は、今や知らない台湾人はいない、かもしれない、主打曲「不可能錯過[イ尓]」。コミカルな曲調が楽しげなアップ・テンポの曲です。
3曲目「流涙手心」は彼の作曲で、前作には無かったスケールの大きなバラード曲。一見地味な気もしましたが、低音域での太い歌声ははっとする瞬間があり、エンディング近くの情の込もったフェイク・ボーカルはぐっときます。バイオリンがいい味出しています。
主打曲が3連発で続きます。続く「Julia」も彼のペンによる曲で、アルバム中最もソウル度の高い曲。リードを取っている楽器がバイオリンというあたりも渋い!ベスト・トラック!
アコースティック・ピアノをバックに淡々と歌う「打開愛」もなかなか渋いし、ミディアム・スローの「[イ尓]愛過没有」もボトルネック・ギターをフィーチャーした渋い曲。盛り上がります。
これで声に枯れた味わいや深みが出てくればいうことなしですが、彼はまだ23歳、これからの飛躍に期待したいと思います。

那英 「乾脆」 ・ナー・イン (推薦!)
那英は大陸出身の歌手の中で、王菲と並び最も広く親しまれている歌手ではないでしょうか。
この新作でも、決して期待を裏切らない、上質のポップスを聴かせてくれます。
主打曲のサビだけをテレビでの宣伝で聴いたときはそんなに強い印象は無かったものの、こうして通して聴くと、緩やかに盛り上がる実にいい曲。オルガン、ピアノ、ギター、どの音が欠けても成り立たないと思わせる曲です。なお、「乾脆」とは「あっさりと、思い切って」といった意味。
3曲目「相見不如懷念」はなぜか飛鳥涼の書き下ろし曲。ちょっとスパニッシュっぽい曲で、アルバム中やっぱり異色です。
5曲目は「等待」は、リズムが際立ったミディアム・テンポの曲で特に気に入りました。こういう暖かで緩やかな中にもノリのある曲、好きです。
特筆は8曲目の「想念」。浮遊感のあるボーカル、どんどん展開していく曲調が興味深く、コクトー・ツインズを思わせる瞬間も。アルバム中最も大陸の広大さを感じさせた曲でもありました。

梁詠h 「新鮮」 ・ジジ・リョン (推薦!)
ジジ・リョンの國語最新作の登場です。
台湾版と香港版は仕様が違うらしく、僕が入手したのは台湾版なのですが、ブックレットの形をしていてとてもきれいな写真集になっています。たしか、香港版のほうはおまけCDがついていたかと思います。
にわかファンのぼくが言うのはなんですが、彼女の声はどんどん暖かく豊かになってきていますね。以前のどこか寂しげな感じはほとんど感じられません。
1曲目は主打曲の「新鮮」。バイオリンの優しいイントロに導かれアコースティックギターをバックに穏やかに歌われる曲です。一見何気ないようだけど、こういうスローの曲を平坦にならず歌うのは本当に難しいと思います。彼女の表情豊かな歌声に心がなごみます。
4曲目「跟[イ尓]走了」はぼくが特に気に入った曲で、ビブラフォンやブラシ・ドラムを交えたシャッフル調のジャジーな曲。いい感じです。
6曲目「寂[宀/莫]公寓」はひらひら舞うファルセットが面白く、どこか異国情緒が漂います。
7曲目もいい曲です。アコーステックギターのストロークで始まるアルバム中最も軽快な「鬧情緒」は、かっこよくなだれ込む節回し、半音で進行するコードに、琴線鷲掴み状態。
ミディアム・ビートが気持ちいい「収不到訊號」もいいし、ラストを飾る「2+2=0」もポップで爽やかな曲。
ブックレットともども、魅力溢れるアルバムです。


7月
趙詠華 「只要[イ尓]對我再好一點」 ・シンディ・チャオ(推薦!)
趙詠華 「求婚」 ・シンディ・チャオ
またしても、旧譜のご紹介です。どちらも、1994年リリース作品です。
趙詠華は悲しいくらい日本では知名度が低いですが、本国でも決して派手なタイプの歌手ではなく地道に歌で勝負するタイプのシンガーのように思います。去年は「愛不愛」をリリースしチャートに顔を出していました。日本でももっともっと注目されて欲しいシンガーです。
彼女の声はとってもさらさらしたシルキー・ボイスで、砂時計の砂が手からすり抜けていくみたいに気持ちいい。決して声を張り上げたり過度に感情的になること無く、しかもハイ・トーンになればなるほど歌声が透明になるのは貴重な存在。日本人歌手ではちょっと思い当たらない個性。アップ・テンポではかわいく、バラードでは優しさが滲み出てくる。林憶蓮と双璧をなすスイート・ボイスの持ち主だと思います。
この2枚はジャケットもアルバムの雰囲気も良く似ています。ちょっとお嬢さんっぽいジャケットで損をしている気がしますが、楽曲のほうは実に端正で落ち着いています。特に「只要[イ尓]對我再好一點」は、ソウル風味をちりばめた良質のスイート・ポップスで、優しい気持ちで聴けるアルバムです。意外に洋楽っぽい節回しが新鮮だったりします。
「求婚」の方は幾分大人しい仕上がりになっていますが、表題曲はポップで楽しい曲です。

江美h 「我愛王菲。」 ・ジャン・メイチィ(推薦!)
以前いろんなHPで話題になっていた台湾の新進シンガー、江美hのデビュー・アルバムです。
主打曲「対我好一点」がオルタナ風ディストーション・ギターが小気味良いアップ・テンポの曲だったので、その路線のシンガーかなと思って聴きましたが、アルバムとしては割とまとまった仕上がりです。作家陣の中には阿妹に「解脱」を提供したイケイケ(?)ギタリスト、許華強の名前も見えます。
とにかく1曲目「有丁男生為我哭」がアルバムの印象を決定付けています。緩やかなリズム、左右に広がるエコーの掛かったエレクトリック・ギター、少し考え込んだような江美hのボーカル、目をつぶれば荒涼としたイギリスの風景が浮かんできそうです。
続く「迷魂陣」もミディアムで憂いを含んだバンド・サウンドが素晴らしい。
3曲目はなぜかFleetwood Macのカバー曲「Dreams」。
5曲目「鏡子lian想曲」はアコースティック・ピアノとオーケストラをバックに歌われる超盛り上がりバラード。江美hのどこか不器用なボーカルもここでは気合入りまくり。途中からスネア・ドラムスのロールが入ってくる頃にはきっとあなたもうるうる状態間違いなし(笑)。
6曲目は先の主打曲「対我好一点」。ここでもロックなドラムがいい感じです。
8曲目「停不下來」も楽しくてすんごいいい曲で、跳躍するメロディー・ラインの小気味よいサビ「快快快..AiAiAi..」というところはもう最高!こんな曲、歌ってみたいなあ。
ラストは再びしっとりした「走錯地方」で幕を閉じます。許華強作曲。
どこかまだ幼さの残る風貌、少しだけなげやりな声、初々しい楽曲、どこまでが彼女の個性なのでしょう。早くも次作への期待が膨らみます。
蛇足ですが、このアルバムはぼくが初めて見たVirgin Chineseレーベルのアルバムです。
さらに蛇足ですが、アルバム・タイトルは多分しゃれでしょう。王菲とは似ていませんし、似せようともしていないので、念の為。

梁詠h 「I'll loving you」 ・ジジ・リョン(推薦!)
旧譜のご紹介です。
恥ずかしながら、ぼくは彼女の歌を余り良く聴いたことがありませんでした。長身でかっこよく快活なルックスで日本でも多くのファンを持つ彼女ですが、歌のほうは大人しいバラードが多いというイメージが以前の自分の中であったからです。
そんなイメージを破ってくれたのが、1998年発表の國語版「gigi」。アコーティスティック感覚溢れるなかなかの好盤でした。
そして同年11月発表の広東語版の本作「I'll be loving you」では、前作「gigi」ともまた違う、新しい魅力溢れるアルバムとなりました。
前作はどちらかというと淡い水彩画のイメージ、本作は肌触りは同じくアコースティック感覚でももっとリアルな印象です。
ライナー・ノートには、今回のレコーディングは自己の要求が高く辛かったとあります。
さて、楽曲のほうですが、一曲目は優し気なバラード「I'll be loving you」で始まります。少しふくよかになった声に、生のバイオリンとチェロがゴージャスな雰囲気を盛り上げています。
続く2曲目「自由自在」が素晴らしい。ブリット・ポップの流れを汲む切れのいい曲で、新生面発揮!。いきなり一拍目の裏で入るドラムがかっこいい!
5曲目「浪費時間」は下手に歌えばよくあるバラードになってしまいそうなのに、厚いコーラスを配したアレンジに支えられて、EBTGにも通じるクールネスを感じました。
7曲目「小宇宙」でもボサノバ・タッチのリズムに乗って、クールに決めています。かっこいい! 
今回のアルバムで一番びっくりしたのが8曲目「一¥的約定」。ティンバレスやオルガン、マウス・ハープを交えた、少しレゲエっぽいリズム取りの曲で、マイナー・キーのメロディーが哀愁を誘います。
続く「空気汚染指数」もマイナー・キーのシリアスな曲で、彼女には珍しく重くガツンとくる歌です。(似ているという意味ではなく)、王菲並みの貫禄のある歌を聴かせてくれます。
しばらく愛聴盤になりそうです。

6月
張惠妹「我可以抱[イ尓][口馬]?愛人」 ・チャン・ホェイメイ
(特選!)
待ちに待った、張惠妹の5th アルバムの登場です!
ウェブ・ページでこの新譜のジャケットを見て以来、とても素晴らしいアルバムの予感がしてワクワクしていたのですが、実際に期待を裏切らないとても素敵なアルバムです。
前作では、プログラミングやサンプリングを多用してかなり洋楽寄りだったため、何か台湾の景色が遠くなってしまったみたいな感覚になったのですが、今作では前作での試みも残しつつ、初期のシンプルな感覚を取り戻し、今までで一番ナチュラルになっています。バラード曲の割合も増えていますし、また実にいろんなスタイルの曲が収められています。
少しとっ散らかった気がしないでもないですが、それよりも現在進行形の彼女の可能性を詰め込んだみたいで頼もしく思いました。
1曲目「我可以抱[イ尓][口馬]?愛人」はいきなりミディアム・スローのシンプルで落ち着いた渋い曲。生ドラムの優しい音とアコースティック・ギターが実にいい雰囲気。切ない張惠妹のボーカルも素敵。彼女の数ある歌の中でもこれは一押しの名曲となるでしょう。
2曲目「當我開始偸偸地想[イ尓]」は故・張雨生の曲。この曲も渋いバンド・サウンドで、フックの効いたいくぶんアップ・テンポの曲ですが、マイナー・コードが切ない雰囲気を醸し出しています。これもいい曲です。
3曲目「愛、什麼稀罕」は「Addicted To Love」の流れを汲むヘビーなロック・チューンでなかなかかっこいい。サビがちょっとCat's Eyeみたい。
4曲目は話題の初日本語曲「会いたい」。少し懐かしさの漂うスイートなソウル・バラードを“心を込めて(歌詞の一節より)”歌っています。日本語で歌っているせいか、欧陽菲菲の「Love Is Over」を少し思い出しました。
11曲目には同曲の中文版「不在乎他」も入っています。やはり母国語は表情豊かです。
7曲目はピアノのソロで始まる郭子作曲の素晴らしいバラード。こういうバラードを歌う阿妹、実にいいです。
8曲目「三天三夜」は、打って変わって陽気でパワフルな阿怪・作の曲。思いっきりハイ・トーンの「三天三夜!」のサビのコーラスがグッド!
ラストは何て言うんでしょう、エスニックとフォークが合体したような異色の「日出」で締めくくられています。
なお、フォト・セッションも素晴らしいことを最後に付け加えておきます。

范文芳「MissingYou 想[イ尓]」 ・ファン・ウォン
シンガポーリアン、ファン・ウォンの新譜はとってもキュート。モデルさんでもあるだけあって三つ折りジャケットはとっても美しい。ビニール・シート(?)のような不思議な衣装を着ておられるのに、なぜかこれがかっこいい。うーむ。ずるいな(何が?)。
歌は取りたてて上手というわけではありませんが、バックの演奏も含めてとても軽やかで、いつの間にか一気に聴いてしまいます。
「謝謝再聯絡」のような少しシリアスな曲も、全体を包む雰囲気が柔らかいので、余り深刻にならず聴けます。ここでの裏声はなかなかキュート。いい曲です。
さりげなくいろんな曲を、柔らかにフォーキーに歌っています。


李[王文]「今天到永遠」 ・ココ・リー
昨年めでたくソニー・アメリカと契約を果たし、今や世界のシンガーと目されている、ココ。以前、インタビュー記事では、夏の終わりごろ中文アルバムと英語アルバムを発表すると語っていましたが、まずは中文の新譜が届けられました。
アルバムは12曲入りのフル・アルバムに1曲入りのボーナス・アルバムが入った格好になっています。どういった意図でそのような体裁にしたのかは残念ながら不明ですが、確かにボーナス・トラックの曲はちょっと趣を異にしています。
まず、フル・アルバムを一聴した感じは、正攻法で責めてきたなという気がしました。全体的にかなりアメリカナイズされコンテンポラリーな仕上がりになっています。「過完冬季」や「美麗笨女人」のようなふっと力を抜いた曲がないのは寂しい気がしますが、世界に向けて歌うことの意気込みなのでしょうか。
そんな中で、コード進行がまんまVan Morrisonの「Brown Eyed Girl」みたいなダンス曲「Stay With Me」、軽いアメリカン・ポップ調の「今天到永遠」、Hansonを思わせる軽快なソウル・ポップ「[イ尓]是愛我的」がいい感じです。
11曲目の「真心話大冒険」は昔懐かしAndrew Sisitersみたいなスイング歌謡、そしてラストは台湾原住民の言語による語り(ココ自身)で始まる荘厳な「Touch」で幕を閉じます。
実は、今回一番気に入ったのはボーナスCDに入っている李宗盛の曲「完整」。映画のワン・シーンあるいは広大な大陸を思わせるイントロとそこにかぶさるモノローク゜、ふわふわと漂う暖かなアナログ・シンセの音、リズム隊が入ってからは美メロの心地よいグルーブが待ち受けています。また、全編でストリングスやシンセが効果的に使われています。この一曲だけでもぜひ聴いて欲しいです。

萬芳「不換」 ・ワン・ファン (特選!)
その歌声を聴いただけで、好きになる歌手がいる。
本来歌うということは、そういうことではなかったかと思わせる歌手がいる。
それは、ぼくにとって許景淳であり、最近では許茹芸であり、そしてこの萬芳の「不換」を聴いて真っ先に思ったことである・・。

前作「左手」からは実に1年10ヶ月ぶりとなる本作までの間、演劇に専念していたらしく、本国では全く話題が途絶えていたわけではないようですが、ここ日本では本当に久しぶりという感じですね。
端正なピアノの音、そこに重なる端正で美しい萬芳の歌声、そんなバラード曲「従前」でこのアルバムは始まります。どこか懐かしく暖かなメロディーに心が安らぎます。
続く「如[イ尓]所願」も静かなバラードですが、ここでも感情豊かな歌声が素晴らしい。
穏やかな曲が多い中、3曲目と10曲目に「女人鞋I」「女人鞋II」という曲が入っていて、アルバムに良いアクセントとなっているのが注目されます。3曲目は重いリズム隊をフィーチャーしたアレンジで70年代アメリカン・ロックを思わせる雰囲気、10曲目は中華情緒と今日的感覚をミクスチャーした雰囲気で、どちらも捨て難い出来です。
4曲目は表題曲「不換」。熊天平の作曲の静かな曲です。趣味の良いギターのオブリガートが曲に彩りを添えています。
郭子作の6曲目「分手旅行」はサンバっぽいというか、往年のJ・ポップスを思わせるどこか懐かしい曲。
9曲目「我的天空」はエレピで始まる穏やかな曲でウッド・ベースとフリューゲル・ホルンがいい味を出しています。黄韻玲作詞作曲。
このアルバムの中でも最も気に入った曲のひとつ、11曲目「不dong」は端正で美しいジャジーなピアノ、ウッド・ベースにブラシ・ドラムが絡む曲。キーが突如マイナーからメージャーに変わり、「[イ尓]告訴我、我會dong〜」と歌われるサビの部分の声の滑らせ方、声は最高!心に沁みます。
ラストを締める「需要」もジャジーな雰囲気漂う曲で、ピアノの弾き語りにモノローグがずっとかぶさる超渋い曲。語りの声も美しい。じっくり聴かせます。
非常に丁寧に心を込めて作られたアルバムです。

彭羚「一枝花」 ・キャス・パン
長年在籍していたEMI百代と決別、Sony移籍待望の第一弾が発表となりました。
まずその明るく若々しいフォト・セッションに目を奪われます。最近、結婚してますます若くカッコ良くなるアーティストが多いように思うのは気のせい?
バックをEric Kwokや黄耀明といったメンツが固め、また2曲を除いて広東語アルバムということで、最近遠ざかっていた香港ポップスの色濃い明るい作品となりました。
やはりなんといっても主打曲「一枝花」がいい。ビデオ・クリップも実にオシャレでかっこいいです。
Candy Loとのデュエット曲「多謝芭比」、Dick Leeの書いた「賞味期限」「[イ尓]是一首流行曲(國語)」、ボーカルにエフェクトを掛けて面白い効果を上げている「睡到失眠」が気に入りました。
個人的にはもう少しシンプルな音作りが好きなのですが、香港ポップス・ファンにはお勧めでしょう。彼女には更なる飛躍を期待したいと思います。

莫文蔚「[イ尓]可以 You Can」 ・カレン・モク
莫文蔚の新作は、3作連続、またしても國語盤です!。「To Be」「I Say」に続き本作は「You Can」とこれまた、判り易い。
実を言うと、最近自分の中で、莫文蔚はマイ・ブームで無くなっていたので、余り期待せずに買ったのですが、これがなかなか良くってびっくり。今までの彼女のファンならまずはずれなし、面白さという点では今までのアルバムの中でダントツでしょう。プロデューサーが賈敏恕に李宗盛とくれば悪いはずがない??
まずは1曲目「消滅」からして高速・パンキッシュなメロ・コア(?)・ロックでかましてくれます。これが主打曲第2弾というから恐れ入ります。1曲目が終わるとほとんど間髪入れずに2曲目「愛情真偉大」が始まります。ミュート・トランペットをフィーチャーした粋な曲です。
3曲目「陰天」はミディアム・スローのアコースティックな曲でカレン18番の色っぽい声が堪能できます。大好きなタイプの曲です。マック・チュウが良く転がる素晴らしいピアノを弾いています。
6曲目「愛情有什麼道理」はフィード・バックの掛かったエレクトリック・ギターの音で始まり、これはサイケかヘビ・メタか?と構えていたら、バラードでした。そう来るか。しかも、間奏でギターがうねり、盛り上がってエンディングに突入、さらにギターがうねるうねる。そう来るか。たった一回出てくるひとり多重コーラスの裏声がむちゃかっこいい。
7曲目「欠我的時光」は最近人気の阿牛の曲ですが、お得意のコミカルさは押さえ気味で、コンガとギターとベース、アコーディオンと言う渋い編成でいい味出しています。
なお、主打曲「[イ尓]可以」の中文版はボーナスCDのほうに収録されていて、フル・アルバムのほうはカレン作詞の英文版が収録されています。