同僚達と話しながら(というか、一方的に娘自慢をしながら)歩いてくるヒューズに、ロイは必死のジャンプで飛びつきました。いきなりベルトあたりに何かがどしんとぶらさがって、ヒューズは驚いて「へあ!」と奇声をあげて腰をカクカク揺らしました。 「ははっ、野良猫ですよ、中佐」 「あっ、なんだか怪我してるみたい…背中にハゲが」 ハゲとは何だ。きっと睨むロイを、ヒューズがひょいと抱き上げました。ロイは自分だと分かってほしくて、身ぶり手ぶりにしっぽも振って説明しましたが、悲しいかな猫語はヒューズには通じません。指をぱっちんとしてみせたら気付いてくれるかもと頑張りましたが、猫の手は不器用で、爪を出したりしまったりしかできないのです。がっかりしたロイを、ぶらーんと猫抱きして眺めていたヒューズは、「家に動物がいるってのもいいよなあ。エリシアちゅあんの情操教育って奴で」と言ってニヤニヤし、そのまま家へ連れて帰ってしまいました。 お前まで私が分からないのか。 ロイはとてもしょんぼりして、いっそ泣きたい気持ちになりました。ヒューズの腕に抱かれながら、ときどき前足で軍服の胸へたしたしと猫パンチを見舞いました。ヒューズはそんなロイの顎を無遠慮な指で撫でて、「世界一可愛いレディの猫になる栄誉を君に」なんて浮かれた調子で言いました。 |