「あっ…はぁっ…あ…ん!」
無我夢中で快楽を貪る彼が、愛しくて仕方無い。
ここイムラドリスでも有名な氷の貴公子が、全てをさらけ出し、熱を求めるのは、中つ国…いや、アマンの地を含めたとしても、この私だけなのだ。
「…イ、…イく」
レゴラスは縛られた腕で、私を引き寄せる。が、尚も腰を動かし続ける。
欲望のままに――。
「出して…良いです…よ」
そう耳元で囁く。
レゴラスの張り詰めたモノの先端に、爪を立て、射精を促す。
「っ……あぁ!」
私の手の中は勿論、腹にも寝台のシーツにも、彼の欲望は飛散した。
「レゴラス、今度は私の番ですよ?」
私の肩にぐったりと寄り掛かり、大きく呼吸を繰り返す彼に構わず、両手で身体を支えてやると、繋がったままレゴラスを寝台に組み敷く。
「あなただけ、良い思いをさせてあげる程、私は善人ではありませんよ?」
先程まで嫌味な笑みを浮かべていた美しきシンダールは、最早その余裕も無く、初めて彼を抱いた時の様な怯えの表情を浮かべた。
私は首に掛けられたレゴラスの腕を外し、手首に巻いた紐を緩める。それを寝台に結わえ直した。
抵抗する気は無いのか、気力が無いのか、レゴラスは大人しくその行為を受け入れた。目にも抗議の色は無い。
《良い子だ、レゴラス》
未知なる快楽への、不安な表情を浮かべている額に唇を落とす。
「さっき迄の威勢は、何処へ行ってしまったのでしょうね?」
そう、何時の間にか立場が逆転している。
緑葉の君の涙顔が、一瞬にして、耳まで赤くなる。
「あなたを激しく狂わせてあげますよ」
レゴラスの顔色が変わったのも構わず、私は彼の白磁の胸に指先を滑らせる。発情期の性欲に猛る躯は、途端に踊り出す。
「ぁ…んっ!」
レゴラスの身体が弓なりに反る。胸の突起をクルクルと回すに連れ、激しく身を捩る。両腕の自由が利かない事で、一層激しさも増していた。
寝台と両手首を拘束している紐が、軋んでいる。
レゴラスが身を捩る度、私の下半身から快楽が波紋の様に広がる。
「…っん」
締め付けられ、イキそうになる。お楽しみはこれからだというのに。
頭上で縛られた腕。惜しげもなく散らされた金髪。快楽の涙で潤んだ碧い瞳。半開きで呼吸を繰り返す濡れた唇。白い肌に付けられたいくつもの赤い印と、熟れた乳首。自ら放った欲望で汚れた腹。限界まで広げ、局部をさらけ出している足。すっかり私を受け入れ、絡み付く後孔。
レゴラスのその姿に、背筋に甘い戦慄が走った。唾液を飲み込むと、喉が鳴った。
私はレゴラスに身体を重ねると、耳元で囁く。
《愛しいレゴラス。あなたのお望み通りに…》
私がもっと欲しい、と言ったあなたの望みを、叶えてあげる。
レゴラスの大腿を、裏から押し広げる様に押さえ付ける。
私は腰を引き、己のモノをぎりぎりまで引き抜く。絡み付く粘液の、卑猥な音がする。
「あ…!」
レゴラスが短く悲鳴を上げた。
私を見つめて来る、その碧い瞳は懇願なのか哀願なのか。
私は彼に微笑み掛けると、勢い良く彼の身体を貫いた。
「んっ…!」
もう一度、ぎりぎりまで引き抜くと、再び貫く。緩急を付けて、レゴラスの奥に潜む性の全てをさらけ出す様に。
「流石、若い方は違いますね。さっき、イッたばかりだというのに、もうこんなにして…」
初めての発情期のエルフには、決して珍しい事ではないのだけれど。
前回のセックスで探し当てた、レゴラスの感じる部分の記憶を辿り、そこを重点的に攻め上げる。
「あ…ぁあ…! んっ…イク…!」
レゴラスは激しく身を捩り、踊り続ける。
「今度は…、私の番だと…言ったでしょう? 我慢なさい」
参ったな、私もそろそろイキたかったのだが…。
「や…、イカせて…!」
『金華の武人』と呼ばれる、この私を根負けまでさせて、性を追い求めるこのエルフを、追い詰めて追い詰めて、私無しでは生きられない様にして、闇の森へ返すつもりだったのに。
やはり私は、このエルフに勝てないらしい。
「では…、一緒にイキましょう…」
グッと、繋がりを深くすると、レゴラスは再び絶頂を迎える。そして、私も彼の中に、欲望を放った。
脱力し、力なく横たわるレゴラスは、大きく呼吸を繰り返している。
その身体を支配する、己のモノを引き抜くと、中から白濁の液体がトロリと流れ出て来た。
そこに指を二本入れ、その液体を掻き出す。
「も…ヤだ…」
足を開いたまま、レゴラスは腰を引いた。