運命の流れが一巡りした時
〜グロールフィンデル〜
恋 人-10-


 身体を起こし、レゴラスを私と向かい合う様に、上に据わらせる。
 レゴラスは私の肩に腕を乗せ、満足気に微笑む。
「レゴラス…」
 どちらからともなく、唇を合わせる。私は愛しい人を、レゴラスは快楽を求めて。
 私の腰を跨ぐ彼は、自分の腰を私に擦り寄せる。そそり勃つ中心は、尚も液体を流し続ける。
「ん…っ、はぁ…ん」
 寝台が僅かに軋んだ。
 そして、その音に混じって、私の腕に抱かれるエルフの漏らす甘い声。
 唇を離すと、彼の首筋に顔を埋め、舌を這わす。時折、きつく吸い上げ、赤い跡を付ける。だが、これは所有の証ではない。それを彼自身が認めようとしないから。これを“所有の証”とするならば、それは私が彼のものだと云う事だ。
 レゴラスの腕が、私の頭を抱き、まさぐる。
「…あっ…はぁっん……」
 唇の愛撫を下へと移動させ、波打つ胸へと辿り着く。
「……早…く…シテ?」
「まだですよ、レゴラス」
 細い身体の線を、脇から腰へと指先でなぞる。
 レゴラスの身体が、ビクリと反応した。
 貴婦人の鼻の様にツンとした、胸の突起を口に含み、尖らせた舌先で弄ぶ。もう片方は、掌で腰から胸へなぞり、そのまま親指を使って回す。
 声を上げながら、レゴラスの身体が大きく波打つ。
 もう一度、上から下へと身体の線をなぞり、その手を尻の割れ目へと滑り込ませる。
 指先の感覚だけで、蕾を探り当てる。そこは先程、レゴラスが自ら指を入れた時の液体が残り、私の指を奥へと誘う。
「あ…! ぁん…」
 両胸と後ろに与えられる快感に、レゴラスは身体をくねらせる。
「もっ…と、欲し…い」
 レゴラスの手が、私の服に掛かり、脱がし始める。
 私は全ての愛撫を止め、彼の動きに合わせて衣服を脱いで行く。
 レゴラスの指が、私の肌に触れる。遠慮がちに触れてくるその感触に、ゾクリとした。
「レゴラス…、あなたの望むままに」
 私は彼の背と後頭部に腕を回し、いくらか乱暴に引き寄せ、唇を重ねる。
 舌を絡ませ合い、熱を求めて来る腕が愛しくて仕方無い。
「…触れ…て、私に触れて下さい」
 彼は私の手を取ると、ぬらぬらと光る自分のモノを握らせようとする。
「その前に」
 私はレゴラスの腕に結わえてある紐を解く。するとレゴラスが腕を下げ、夜着はスルリと落ちた。
 私の目の前で自慰を披露した、レゴラスのもっと乱れた姿を見たくなった。発情期ではない私をも欲情させる程の、彼の姿を、声を、そして表情(かお)を。
 解いた紐を一本にまとめると、レゴラスの両手首をそれで一つに縛る。
「――あなたが、私を挑発した」
 レゴラスはニヤリと笑った。

「あっ! あ…っあん、はぁ…っん…」
 レゴラスは縛られた腕で私の頭を抱く。自分の中で蠢く指の動きと、胸への愛撫に、もどかし気に身体を捩る。
 快感に薄らと目に涙を浮かべ、声を上げ、髪を散らすあなたの姿に、私は自分の中で眠っていた欲望を、すっかり呼び起こされていた。
 ほぐれた蕾から指を引き抜く。
 するとレゴラスは私から腕を外し、縛られたまま私のモノを手に取り、自ら身を沈めた。レゴラスに触れられた私の中心は、蜜を溢れさせる。
 白い頬を朱に染め、恍惚とした表情で、ゆっくりと腰を動かし、私の肉棒を咥えて行く。
 私から視線を放す事無く、大きく息を繰り返し、少しづつ腰を沈めて行く。
「あっ…んっ…」
 欲で猛った肉棒を半ばまで咥え込むと、再び彼は縛られた手を、私の両肩に乗せた。
「…んっ…ぁんっ…」
 固く大きく成長した私のモノは、レゴラスの身体に力が加えられていない分、以前とは違い、すんなり飲み込まれて行く。が、それと同時に締め付けも強く、また、私の方の大きさも硬度も増して行った。
「…レ…ゴラス」
 彼の汗ばむ身体を抱き、私と密着させ、白い背中に指を滑らせる。
 美しき闇の森の王子は私の髪に指を絡めらめ、背中に爪を立てる。
「あ…んっ、グロ…ルフィンデル…様…」
 私の欲望の化身を伝って、レゴラスの熱が私の身体にも広がる。
「…入っ…た」
 レゴラスは目を細め、嬉しそうに笑った。
 私は左腕でレゴラスの腰を抱き、右手で彼のそそり立つ中心を握る。
「…あ…」
 レゴラスの身体が、一瞬、跳ねる。そして、彼は自ら腰を揺らし始めた。
 それに合せて、私も彼のモノを扱く。
 レゴラスの中でも溢れ出る蜜が、音を立てる。そして、私の右手の中でも。


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