evidence2 -4- By-Toshimi.H


 鈍い音がし、呻き声が上がる。
「失敗しただと?」
 革張りの回転椅子に据わった男は、高圧的にそう言った。
「…そうは言ってません。既に殺されていたと…」
 殴られた男は、床からよろめきながら立ち上がる。
「どちらでも一緒だ。で、あの男は見つかったのか?」
「い…いえ」
 口の中が切れており、流れ出た血を手の甲で拭う。
「もう良い!!」
 両脇に控える屈強な男二人に、追い出せと合図を送る。
 殴られた男はボディーガードの男達に、引き擦られて部屋から追い出された。
「どいつもこいつも、役立たずめ!」
 男はそう毒突いた。
 自分達より先にあの男を殺しに来たとなれば、それはタークスの仕業に違いない。と、なれば組織の内情が何処まで漏れているのか…。
 そして神羅に守られたあの男――陸軍で《ジュウ》と名乗った元諜報部員。
 この男だけは、何としてでも見つけ、この手で始末しなければ気が済まなかった。


←BACK NEXT→