レッスン

 


レッスン開始(第1巻)

 鈴木メソッドのはじめの曲は「きらきら星変奏曲」その次は「ちょうちょう」「こぎつね」といった曲目です.指番の上にはピンクのシールが4本.練習の途中でこのシールがズレると相当ピンチに陥ったものです.30歳の大の男が,なにがうれしくて,「こぎつねコンコン山のなかァ〜」なんてやっているのでしょうか.ひとりアパートで必死に「コンコン」やっているのを想像するとさぞ恐ろしい光景だったと思います.しかも,音痴なこぎつねで,音もひどいものでコンコンというよりはゴンゴンとかゴリゴリといった感じです.とても人にバイオリンをやっているなんて言えるものではありません.今でも,僕がバイオリンをやっていることはごく親しい人しかしりませんが,当時はトップシークレットでした.このころは苦しかった.それから,1年かけて1巻の終わりになるとゴセックのガボットが出てきたりして,易しく編曲されてはいるものの音楽らしくなってきて,これからの希望が出てきました.

第2巻

 第2巻の第一曲目のタイトルの脇に書いてる日付は9月30日.つまり,1年と一ヶ月で一巻が完了しました.だいたい,毎日残業で会社を出るのは夜の9時頃でしたから,それから夕飯,入浴などを済ませると練習時間は,目標一日30分.これは,他の人にいわせたらきわめて少ない練習時間と思われるかも知れませんが,これだけでも時間を作るのが問題でした.帰りに飲みに行くことを誘われるといった誘惑にはきわめて弱いこの性格が,無理ないようにたてた目標も困難なものにしていました.さらに追い打ちをかけるように,2巻の半ばになったころ,イギリスへの3月から2ヶ月間の出張が決定しました.やっと調子にのってきたところなのに,2ヶ月のブランクとは….先生は,バイオリンを持っていってはと言われましたが,内緒のバイオリンだし,ヘタッピのバイオリンなんかとても持っていけません.この間バイオリンの練習はおやすみとなりました.そして,5月から再開,このとき,2曲ぐらい戻って練習が再開となりました.寂しかった.

第3巻

 第3巻にはいったのは1996年6月22日から,ゆっくりしたペースですが一応前進しています.先生もよくつきあってくれています.このころになると曲も面白くなってきますし,バイオリンに不満が出てきました.当時の私のバイオリンは,通販のものだったので糸巻きが堅く片手で調整ができないので,和音で調弦ができませんでした.先生の知り合いの工房にもっていって頂いて,調整を頼んだことがありますが,韓国製のもので,調整不可とのことでした.このころからバイオリンを買い換えたいと思っていはじめたのですが,どうせ買い換えるのなら,次は一生ものをとおもい,4巻になってポジション移動が出てきてから買い換える決心をしました.

第4巻

 1997年3月頃から第4巻にはいりました.3曲目のザイツの協奏曲第5番ではアコードが長く続く曲となり,4曲目のビバルディの協奏曲では,待望のポジション移動がはじまりました.5曲目も終わりにさしかかった頃,バイオリンを買い換えることにしました.先生にある工房を紹介されました.先生にもつきあってもらうことにしました.工房は新しく,奥には作りかけのバイオリンがぶら下がったりしていました.中に入るともうひとりの生徒さん(小学生)とそのお母さん(なんと私と同じ歳)が待っていました.私が着くと工房の職人さんが説明をはじめてくれました.机の上には4本のバイオリンが候補として置いてありました.取り合えず順番に弾いてみることにしました.そうこうしているうちに先生も到着,いろいろ試しているうちに,フランス製(100年位前に作られたものらしい,ラベルはありません)の一本が気に入りました.一番音が華やかに聞こえたので,この一本に決めました.もうひとりの生徒さんはドイツ製(これも100年もので,落ち着いた音のものでした)のものを購入していました.2人の好みが一致しなくてよかった.また,弓も買い換えて,ケースも新しくしました.

 また,バイオリンの音程をよくするためには,家に正しい音を出すものがなくてはと思うようになりました.最近のコンピュータはMIDIなどもついて,ずいぶん値段も安くなってきたので,こいつが役に立ちそうだと思うようになり,とうとうコンピュータを購入し,練習曲,音階などを入力して一緒に弾く練習をするようになりました.

 バイオリンを変えた後は,慣れるまでしばらく前の曲に戻って練習していました.わたしのバイオリンは3歩進んで2歩さがるの繰り返しです.そして,やっと5曲目の協奏曲が終わったとき,今まで断り続けていた発表会に挑戦する決心をしました.その条件として,曲はチャイコフスキーのメロディ(「なつかしい思い出」から)にするということです.この曲は90小節位の曲ですが,バイオリンをはじめたとき,この曲をひとつの目標と考えていた曲です.以前,先生にお願いしてスコアを取り寄せてもらったものでした.

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