開眼!魅惑の世界へ


「ケツ排TZRに乗りて〜」
こう叫んだのは、親友でバイク友達でもあるトメさんであった。彼はTZR50に乗る原付ライダーで、ヤマハ車以外は乗れないという
生粋のヤマハフリークでもあった。
「ケツ排TZR」は当時のヤマハ2ストレプリカ「TZR250」。シリンダ後部からエキパイが出てシート下を通り、テールエンドから
排気管が出ていたバイクで、後ろを走るバイクは皆オイルまみれになってしまうという悪魔のバイクであった。
トメさんは「よし決めた!中型二輪を取りに行くぞ!」といい、夕日に向かって叫ぶ。
ホンダフリークでもあった私も黙っておれず、「俺も取りに行くぞ!」と二人で海にダイブするのであった…。
(注:一部脚色しています)



ミッションバイクの面白さに目覚め、大きいバイクに乗りたくなった私は理解ある両親を説得して二輪教習所に通い、
中型二輪の免許を取りました。
免許を取ったらバイクが欲しくなるのが世の中の常。これまた両親を説得して買ったバイクがZXR400でした。

  エイのようなフロントマスク。ヘッドライトは常時点灯式です。 綺麗なキャンディワインレッド。この他にキャンディブルーとライムグリーンが在りました。

○.良いところ
存在感

まず最初に感動したのがボディのでかさ。前車がNSR50だったので無理はないのですが、やはりあの圧倒的な存在感には感服しました。
(当時のレプリカの中では大きめなほうだった)
エンジンをかけると「ボゥン!」というクルマのような排気音。マフラーからは迫力満点の重低音サウンドがあたりに響き渡り、この時点で私の意識は別世界へ。

バランスの良いポジション

ポジションのバランスがとても秀逸。よく「マシンと一体感がある」という言葉を耳にしますが、ZXRのポジションはまさしくソレです。ハンドルからシート、ステップまでが非常にバランス良く位置づけられていて、乗っていて楽しくなるポジションです。
(うー、言葉で表現するのは難しい〜)

高回転型のエンジン

エンジンは高回転でパワーを絞り出すタイプ。まぁ、レプリカですからね。
パワーバンドに入ってからの延びがよくって、レッドゾーンまでスムーズに回る特性です。低回転からトルクもあるので街乗りも苦になりませんでした。馬力規制前の「59ps」というのも高ポイント。

×.悪いところ
疲れるシート

スポンジが薄く堅いため、一時間も乗ればお尻がひりひりするほど痛くなります。
ポジションのバランスが良かっただけに残念。

クラス最軽量の160kgにフルパワー59ps。ライバルであったCBR400RRよりもレーシーな味付けながら、レプリカらしからぬ
落ち着いたデザインがウリでした。実際の速さはともかくとして、所有欲を満たすレプリカとして人気を博しました。
新規エアを送り込む「K−CAS」、バックトルクリミッターの「K−BATL」などのメカを満載。特にバックトルクリミッターはこのクラス
で装備されていたのはVFR400R(NC30)とZXR400のみ。レーサーレプリカファンの心を掴みました。
残念な事は、見た目によらず少々乗り心地が悪かった事。道路の小さな継ぎ目でもリアがポンポン跳ね、接地感が乏しい足周り
でした。薄くて硬いシートと相まって、ツーリングではかなり厳しかったです。
総体的に好印象だったZXR。「バイクはカワサキだな」といつまでも乗り続けるつもりだったのですが、ある事件により手放すこと
になりました。この事件により「カワサキ車には乗らない」…そう心に決めたのです。



ZXRを手放して次の愛車として選定したのが、NSRです。
SEは「SpecialEdition」の略。NSRスタンダードモデルにSP仕様モデルにある乾式クラッチ・前後フルアジャスタブルサス・ハイグリップタイヤが装着されたお買い得モデルです。
中古で購入したのですがほぼ新車に近い状態で、コンディションは最高!そりゃあもう良く走ってくれました。

○.良いところ
エンジン

どんな回転域からでもアクセルを開けただけで加速するエンジン。2ストとは思えないほど素直でリニア。
流石ホンダ!

ライン変幻自在のしなやかなシャーシ

目で追ったライン通りにコーナーを駆け抜ける旋回性能。
乗り心地もZXRほどハードでなく、日帰りツーリングも楽勝でこなす車体バランス。

×.悪いところ
勝手に切れ込むハンドリング特性

この頃のホンダ車にはすべて言えることなのですが、ハンドルが勝手に切れ込んで思った以上に旋回します。そんなコトしちゃダーメダーメ。
しょうがないのでステダンを装着しました。

NSRによってワインディングを駆け抜ける楽しさを覚えました。
テクがないのでマシン(というかタイヤですね)に依存した走りだったのですが、パタンと寝かし込んでアクセルオンでマシンを
起こす爽快感にはまりました。
ただ、ホンダ車特有の「勝手に切れ込むステアリング」がどうもなじめなかったので、ステアリングダンパーを装着。
これでしっとり落ち着いたハンドリングになり、ますますNSRの虜になっていきました。
NSRを購入した年に私は社会人となり、今の勤め先である会社に入社。そのとき同期で入社した同じNSR(といっても88モデル)
に乗っていた師匠に出会います。
彼はレース経験者であり、そのライディングスタイルは超過激。彼の影響により私のライテクは(やっと人並みに)上達しました。
同じNSR同士だったので、バイクの換えっこもしました。いや〜88モデルは過激です。
ある一点(約8,000回転)のパワーがとても強烈で、それ以外がスカスカ。俗に言う「ピーキーな性格」なのです。
当時の2ストバイクではNSRはかなり乗りやすかった(らしい)のですが、それでも私にとっては刺激的。
私のNSRがCBRに思えるほど。
師匠曰く「90NSRは2ストではない!」
ちなみに私のNSR、自分でオーバーホールに挑戦して失敗し、手放してしまいました。
NSRは速くて楽ちん!なバイク。初心者にもお勧めです。



不慮の事故(?)によって失った私の相棒NSR。次なる相棒を捜しに行きつけのバイク屋へ向かいます。
「次はまた中古にしようかなぁ」と悩んでいたら、雑誌に93モデルFZR400が載っているのを発見。
昔からFZRのガンダムチックなデザインが気に入っていた私は、店長に「FZRを中古で探して〜ん」とおねだり。
しかし時代は既に「レプリカ氷河時代」。ただでさえ不人気モデルのFZRは中古市場では滅多に出回らない。
それじゃあ新車を…と思ったが、カタログラインナップされているFZRはSPモデルのみで、限定500台というおまけ付き。
とてつもなく悩んだ末に、94モデルFZRを新車で購入することになりました。
(この年、広島県下で新車登録されたFZRは私を含めて2台だけだったという…)
SPはクロスミッションやフルアジャスタブルサスなどが組み込まれたモデル。
シートもシングルなので「俺は硬派だぜ!」と自画自賛してましたが…。

○.良いところ
素直なハンドリング特性

ホンダ車と違い、FZRはとってもニュートラルステア。
寝かした分だけ曲がるハンドリング特性は、自分の弱点がよく分かる。

良く回るエンジン

53psとはいえ、59psだったZXRと比べてもパワフルなエンジン。
特に高回転域の延びがよく、レッドゾーンまでスムーズに到達します。
またFCRキャブはアクセルにリニアに反応。走る気持ちを高騰させてくれます。
余談ですがこのFCR、初期出荷時は全開にならないようになってるらしいです。現オーナーは要チェック!

明るいヘッドライト

二輪車初のプロジェクターヘッドライトはとても明るい。夜でも安心。

×.悪いところ
クロスミッション

私自身クロスミッションは初めてだったのですが、思った以上に手こずりました。
発進時に3,000回転以下でクラッチミートするとエンストするので、慣れないウチはめちゃくちゃ気を使いました。
ちなみに元気良く飛び出すのであれば、少なくとも5,000回転以上は回しておく必要があります。

シングルシート

良くも悪くも「一人乗り」なFZRちゃんは、人どころか荷物も乗らない。

迫力のない排気音

はっきり言ってしょぼすぎ。250ccのジールの方が迫力があるような気が…。

きついポジション

前掲がかなりきつくシートも堅いので、街乗りやツーリングには不向き。
ポジション自体のバランスもあまり良くありません。

FZRの足周りは、ダンパーを最弱にするととてもしなやかな乗り心地。ポジションさえ我慢すれば、ツーリングにも使えます。
ワインディングでは、重心が若干高めなので慣れないとぎくしゃくしがち。またフロントタイヤに依存した
走りになるので、悪路ではとても気を使います。走り慣れない道を攻めるときは要注意です。
改造ポイントは定番とも言えるマフラー交換
FZRはEXUPなる排気デバイスが付いているですが、ただでさえ低速が細いマシンにEXUPは外しちゃマズイっしょ!という事で、
OXレーシングのスリップオンに交換。
でもやっぱり低速が細くなっちゃいました。(^_^;)
FZRは2年ほど乗りましたが、Fフォーク動作不良(詳細は第三章にて…)により乗り換えました。

第三章へ進む

バイク歴トップへ相棒たちのお部屋へトップページへ