宇佐の鉄燈籠
宇佐の鉄燈籠は、山口県錦町大字宇佐の宇佐八幡宮境内にある覆屋の中にあるが、宝珠、竿を失っており、笠、火袋、中台、基礎の部分が残されている。この鉄燈籠は重要な金工資料として山口県有形文化財に指定されている。失われた竿部分に銘文があり、「永享九丁巳年八月吉、山代庄宇佐村長兼、大工藤原朝臣安信」と記録されている。
永享9年(1437)にこの鉄燈籠を寄進した長兼は宇佐の刀祢職を務めた讃井氏(後に宇佐川氏を称す)とみられ、大工の安信は、「信」の通し字を用いている山田氏とみられるのである。(中世・近世初頭の廿日市鋳物師作品一覧表参照) 宇佐川氏と廿日市鋳物師の山田氏との関わりは廃光代寺観音堂の千手観音像を参照して下さい。
この鉄燈籠の鋳工については小稿、『宇佐の鉄燈籠鋳工についての一考察』 山口県地方史研究 第65号 山口県地方史学会 平成3年5月、に詳述している。|生見の鉄燈籠 |廿日市の鋳物師 |Front page|