1998年

文春ミステリベスト10(国内編) (海外編)
理由 宮部 みゆき 緋色の記憶 トマス・H.クック/鴻巣友季子 訳
レディ・ジョーカー(上・下) 高村 薫 闇に浮かぶ絵(上・下) ロバート・ゴダード/加地美知子 訳
秘密 東野 圭吾 猿来たりなば エリザベス・フェラーズ/中村有希 訳
屍鬼(上・下) 小野 不由美 五輪の薔薇(上・下) チャールズ・パリサー/甲斐萬里江 訳
グランド・ミステリー 奥泉 光 フリッカー、あるいは映画の魔 セオドア・ローザック/田中靖 訳
燃える地の果てに 逢坂 剛 ブラックライト(上・下) スティーヴン・ハンター/公手成幸 訳
司法戦争 中嶋 博行 ひとりで歩く女 ヘレン・マクロイ/宮脇孝雄 訳
塗仏の宴(宴の支度・宴の始末) 京極 夏彦 ビッグ・ピクチャー ダグラス・ケネディ/中川聖 訳
果つる底なき 池井戸 潤 黒と青 イアン・ランキン/延原泰子 訳
10 失踪者 折原 一 囚人同盟 デニス・リーマン/中井京子 訳

 

このミステリーが凄い’99(国内編) (海外編)
レディ・ジョーカー(上・下) 高村 薫 フリッカー、あるいは映画の魔 セオドア・ローザック/田中靖 訳
燃える地の果てに 逢坂 剛 緋色の記憶 トマス・H.クック/鴻巣友季子 訳
理由 宮部 みゆき ブラックライト(上・下) スティーヴン・ハンター/公手成幸 訳
屍鬼(上・下) 小野 不由美 猿来たりなば エリザベス・フェラーズ/中村有希 訳
天使の囀り 貴志 祐介 五輪の薔薇(上・下) チャールズ・パリサー/甲斐萬里江 訳
幻の女 香納 諒一 黒と青 イアン・ランキン/延原泰子 訳
グランド・ミステリー 奥泉 光 ひとりで歩く女 ヘレン・マクロイ/宮脇孝雄 訳
邪馬台国はどこですか? 鯨 統一郎 ビッグ・ピクチャー ダグラス・ケネディ/中川聖 訳
秘密 東野 圭吾 闇に浮かぶ絵(上・下) ロバート・ゴダード/加地美知子 訳
人狼城の恐怖 第四部 完結編 二階堂 黎人 10 囚人同盟 デニス・リーマン/中井京子 訳
      10 アメリカン・タブロイド(上・下) ジェイムズ・エルロイ/田村義進 訳

 

’99本格ミステリ・ベスト10(東京創元社)
人狼城の恐怖(完結編) 二階堂 黎人
塗仏の宴(宴の支度・宴の始末) 京極 夏彦
殉教カテリナ車輪 飛鳥部 勝則
邪馬台国はどこですか? 鯨 統一郎
ブードゥーチャイルド 歌野 晶午
十三番目の陪審員 芦辺 拓
天啓の器 笠井 潔
グランド・ミステリー 奥泉 光
神曲法廷 山田 正紀
10 朝霧 北村 薫

 

  受賞作(作者) 候補作(作者)
江戸川乱歩賞 果つる底なき(池井戸潤)
Twelve Y.O.(福井晴敏)
ビッグタウン(賀芳文吾),カマクラ動乱(犬神鳴海),天馬誕生(中野順一)
横溝正史賞 直線の死角(山田宗樹) 思案せり我が暗号(居流慢馬→尾崎諒馬;佳作),稜線にキスゲは咲いたか(三王子京輔;奨励賞),花乱随想(斎堂湖子)
サントリーミステリー大賞 心室細動(結城五郎) スリーパーゲノム(→ゲノム・ハザード)(司城志朗,読者賞)、夏のロケット(川端裕人,優秀作品賞)
鮎川哲也賞 殉教カテリナ車輪(阿部勝則→飛鳥部勝則) 君にバラード(伊藤柳児),アーバンカルトポップリアクシン(九丹量巨)
日本ホラー小説大賞 受賞作なし CENTURY OF THE DAMNED(戸梶桂太)、夜に眠れぬ者たちへ(柳原慧)、バトル・ロワイヤル(高見広春)、傀儡の悦び(保科昌彦)
日本ミステリー文学大賞新人賞 パレスチナから来た少女(大石直紀) 火宴(乙丸出穂)、悲死病棟(橘恭平)、花(清水生成)、夏の日差しと優しい風(葵田栄太郎
新潮ミステリー倶楽部賞 ぶつかる夢ふたつ(→闇の楽園)(戸梶圭太) 紫の悪魔(響堂新,島田荘司特別賞)、愛こそすべて、と愚か者は言った(沢木冬吾,高見浩特別賞)、白点(伊勢崎陽子)、月も消えゆく夏休み(曖原睦稀)
日本推理作家協会賞(長編部門) OUT(桐野夏生)
鎮魂歌 −不夜城U−(馳星周) 
 
日本推理作家協会賞(短編部門) 該当作品なし  
日本推理作家協会賞(評論その他部門) 本格ミステリの現在(笠井潔)
ホラー小説大全(風間賢二)
 
直木賞(春) 該当作品なし ターン(北村薫)、冤罪者(折原一)、嗤う伊右衛門(京極夏彦)、OUT(桐野夏生)、風車祭(カジマヤー)(池上永一)
直木賞(秋) 赤目四十八瀧心中未遂(車谷長吉) 定年ゴジラ(重松清)、兄弟(なかにし礼)、洛中の露(東郷隆)、血と骨(梁石日)、桜花を見た(宇江佐真理)、喜知次(乙川優三郎)
山本周五郎賞 血と骨(梁石日) そは何者(東郷隆)、鬱─うつ─(花村萬月)、しゃべれども しゃべれども(佐藤多佳子)、ナイフ(重松清)、BRAIN VALLEY(瀬名秀明) 

 

1998年マイ・ベスト10 作品に対するコメント
別格 黒いトランク 鮎川 哲也 これだけ評価の定まっている作品をここ数年で出た作品と同列に評価する度胸は私にはありません(笑)。古き良き時代の本格ミステリを満喫しました。→感想文
ゲノム・ハザード* 司城 志朗 「このミス」でも「文春」でも完全に無視されていたので、意地でもベスト1に押します(笑)。重厚長大作品全盛のなかで薄すぎたんだろうか? ハードボイルド、サスペンス、バイオSFをほどよくミックスした快作です。→感想文
      さえず
天使の囀り*
貴志 祐介 気持ち悪さでは随一。ある外部要因によって人が(精神的にも肉体的にも)変容していくというのは本当に怖いものだと。→感想文
殉教カテリナ車輪* 飛鳥部 勝則 本文中に図が入っていると、それだけでわくわくしてしまう私にとって、巻頭のカラーページにキーとなる自作の絵を掲載するという仕掛けは、うれしすぎます。→感想文
理由* 宮部 みゆき こういう社会派系ドキュメンタリの構成で書いても謎解きミステリとしての面白さを損なわないということが驚き。加害者にも被害者にも関係者もに荷担しない視点は新鮮でした。→感想文
人工心臓 小酒井 不木 自主的古典強化期間に読んだ「古典」の中では随一でした。特に表題作「人工心臓」はすごかった。→感想文
思案せり我が暗号* 尾崎 諒馬 霞流一氏によると「暗号フェチが露出しまくった」バカミスなんだそうで(笑)。でもそういうのが好きなんだからしょうがない。→感想文
トライアル* 真保 裕一 『密告』は後味がちょっと悪かったのでこっちを。「逆風」のラストには泣けました。
塗仏の宴 宴の支度* 京極 夏彦 特に「しょうけら」パートでの京極堂の考察が事件そのものよりずっと面白かった。→感想文
ベイスボイル・ブック 井村 恭一 ファンタジー苦手の私ですが、独特の語り口と野球がテーマなおかげでこの世界には馴染めました。で、クライマックスには手に汗握って、最後は不思議と感動してしまいました。→感想文
10 グリーン車の子供 戸板 康二 日本のドルリイ・レーン中村雅楽がしてやられてしまう表題作「グリーン車の子供」が特にいいです。
ターン 北村 薫 名セリフ「・・・私としては、うれしいなあ」が暖かい。
  インテンシティ −緊迫− ディーン・クーンツ →感想文
  古い骨 アーロン・エルキンズ →感想文

*印は1998年に出版された本です。従って、*印だけをピックアップすれば、他のベスト10企画と同じノミネート作品での1998年マイ・ベストを見ることが出来ます。

その他印象に残った作品

長編小説
 赤き死の炎馬  霞流一*
 夏のロケット  川端裕人*
 紳士同盟  小林信彦
 密室・殺人  小林泰三*
 名探偵に薔薇を  城平京*
 幻惑密室  西澤保彦*
 実況中死  西澤保彦*
 猟死の果て  西澤保彦*
 スコッチ・ゲーム  西澤保彦*
 名探偵なんか怖くない・名探偵に乾杯  西村京太郎
 秘密  東野圭吾*
 ぼくと、ぼくらの夏  樋口有介
 蟹喰い猿フーガ  船戸与一
 今はもうない  森博嗣*
 呪い!  アーロン・エルキンズ/青木久恵訳

短編集
 探偵宣言  芦辺拓*
 ジュリエットの悲鳴  有栖川有栖*
 月曜日の水玉模様  加納朋子*
 邪馬台国はどこですか?  鯨統一郎*
 肉食屋敷  小林泰三*
 團十郎切腹事件  戸板康二
 マニアックス  山口雅也*
 夜よ鼠たちのために  連城三紀彦
 ミステリーの愉しみ1 奇想の森  鮎川哲也・島田荘司編

ノンフィクション・ドキュメンタリなど
 なぜV字で飛ぶか  小野学*
 逆説の日本史6 中世神風編  井沢元彦*
 死の病原体プリオン  リチャード・ローズ/桃井健司・網屋慎哉訳*
 平成お徒歩日記  宮部みゆき*

 

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