呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。


追悼 いかりや長介氏

 ザ・ドリフターズのリーダーで俳優としても活躍したいかりや長介氏が亡くなられた。ここに、深く哀悼の意をささげたい。
 お亡くなりになったのは20日午後3時半、頚部リンパ節がんだったそうだ。享年72歳。体調がお悪いと聞いてはいたが、まだまだお若いのに非常に残念である。

 ドリフターズといえばビートルズの前座を務めた程のバンドであるそうだが、昭和40年生まれの私にとってはやっぱり『8時だよ全員集合!』(1969〜1985)である。『飛べ孫悟空』(1977〜1979)も外せまい。
 土曜の8時はもう、『8時だよ全員集合』以外に考えられなかった小学生時代を過ごしたのは私だけではあるまい。
 16年間にわたるコンとの全てをここで語る訳にはいかないが、しかし、食べ物を無駄にするとか、『くびちょんぱ』が俗悪であるとPTAにいわれながら16年続いたのはひとえにそのコントがしっかりと計算されたモノだったからではないだろうか。『全員集合』以後のモノに比べて、完成度は高かったと思う。
 あと、ギャグの対象は会社の社長だったり、お店の番頭さんだったり、研究所の博士だったり、権力に対するギャグであって弱者をあざ笑うようなギャグでなかったことも特筆できるのではないだろうか。ギャグの被害者は大抵リーダーのいかりや氏であった。
 特徴ある下唇を少し歪めて
 『だめだこりゃ』。
 これに、当時の私は大笑いさせていただいたモノである。
 余談ながら私の弟のサルのぬいぐるみの名前は『ちょうすけ』といった。カルビーのかっぱえびせんのプレゼント。ドリフターズ絵はがきはどこへやってしまっただろうか。
 このように、『8時だよ』は漫然とした印象しかないのだが、人形劇『飛べ孫悟空』の方は印象が強い。小学校高学年から中学校という時代に2年間だけということもあって、しかも西遊記というストーリーが存在する分印象が強いのではないだろうか。志村けん氏の悟空、沙悟浄が仲本工事氏。猪八戒が高木ブー氏。三蔵法師がいかりや氏。で、何故か加藤茶氏がはげのおっさんという原典にない役で出てくるという。しかも主題歌歌うのがピンクレディ。ゲストも無茶苦茶豪華。凄い番組もあったモノである。しかもその人形の出来がすばらしかった。本当にそっくり。日本の放送史に輝く人形劇と言っていいのではないだろうか。
 今でもふっと、そのシーンの、もしかしたら脳内変換がかかっているかも知れないが断片が浮かぶことがある。
 鞭を振り振り、
『働け、働け!』
 だとか、
 偽三蔵出現、どちらが本物か主張する時、
 偽物の『ふかふかベットにベーコンエッグ』
 本物の『せんべい布団にねこまんまお茶漬けさらさら
 で、結局、村人達は立派な坊さんがせんべい布団のはずがないと本物を追い出すのである。ベーコンエッグという生臭で気が付けよ。だったりするのだが。
 加藤茶ファンであった私だったが、今にして思うと、全てはいかりや氏の存在があったからこそ面白かったのだなと思う。
 『8時だよ』後の俳優転向もすばらしかった。あの、名作大河ドラマ『独眼竜正宗』の存在感あふれる演技に始まり、『鬼平犯科帳』のゲスト出演など。名演技は数多い。
 しかし、個人的には火曜サスペンス、通称火サスの『取調室』でないかと思う。20作近く作られたこの作品の水木正太郎役こそはまり役ではなかったのか。
 しかし、本当に惜しい方を亡くしてしまった。まだ、これからいくらでも、良い作品に出演して下さっただろうに。実に残念である。
またひとつ、私の青春時代が遠くなってしまったのかも知れない。
 いかりや長介氏のご冥福をお祈り申し上げます。(04,3,21 3,22訂正)


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