呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。


鉄砲怖い

 というわけで『ガンズ・ハート 硝煙の誇り』のレビューである。
 ええと、『でたまか』と『ネオクーロン』は読んでも『クロスロード』は買っていても読んでいない、『ネオクーロン』は題名を間違えていた人間のレビューなのだから、タカ知れているのだが。
 ま、ともかく、いってみよう。
 さて、1月10日に発売されていたのに気が付かなかったこの作品。気が付いたのが、2月10日以降。なんで、先月発売だったのだ?
 で、『ダイヤ書房』、『リーブルなにわ』、『なにわ書房』、『旭屋』、『紀伊国屋』まわって在庫なし。わざわざ『コーチャンフォー』まで回ってようやく発見。わお。
 ええと、流石は鷹見氏。まさか雷管式のライフル銃全盛時代の物語とは。個人的には後書きにあった幕軍鉄砲隊の物語が凄く読みたかったのだが、ま、こういう嗜好はマイノリティであることは理解しているのだ。売れる本を書かねばならぬ雑家の氏ならば、それしかなかろう。
 でもってこの世界。似て異なる地球のような世界。実は鷹見氏の世界は共通の時間軸にあるということなので、おそらくは異次元かもしくは未来の、人類の移民船が漂着した世界なのかも知れない。そういう世界で、宗教によって技術が押し込められてしまっている。
 しかし、氏の作品世界、どうしてこう優秀な敵という連中が存在しないのであろうか。
味方は少数精鋭。敵は有象無象の無能な連中。こういう対比が『でたまか』も、『ガンズ・ハート』も顕著である。『銀英伝』のような歴史学者志望が優秀な敵を撃破していくといった爽快感がどこにも存在しないのだ。いや、『銀英伝』は『銀英伝』で、主人公が金髪の成り上がりならば、政治の解らない無能な敵がいたという話なのかも知れないが。(まあ『ネオクーロン』では無能な同国人もいるが、あれは完全に敵である)
 今回だって、間違いなく上級貴族の兄ちゃんが優秀な敵となると思ったのだが。まあ、優秀な仲間と優秀な部下と、優秀な上司がいれば怖いものなんてないのだ。せめてライトノベルの中くらい楽しい時を過ごしたって問題はあるまい。そうだ。そうなのだ。(現実はもう、笑っちゃうくらい・・・げふんげふん)
 まあ、ざっとあら筋を通すと、勝麟太郎が、町火消しのトップになって大名火消しと対立しているある日のこと、大名火消しのボンボンが田舎少女を拐かそうとしてるとこを見ちゃったからさあ大変。大名火消しのトップの水野十郎左右衛門の制止も聞かず、ボンボンが親に泣きついた。奉行はボンボンの親に恩を売るべく町火消しの一斉検挙に出て、同心以下みんなが総辞職。そこに勝小吉率いる小普請組が投入されて・・・なのだ。
 いや、読者諸兄、諸姉を莫迦にしているのではないのである。どうみてもそういう感じなのだ。作者、たぶん狙っているのであろうな。(なんたって宇宙で落語やるようなお人だから)
 結果、麟太郎君は地方の奉行所に飛ばされて。(いいかげんしつこい!)
 ま、はっきり言って前半は完全に主人公が地方の独立愚連隊というか懲罰隊というかに赴任し、その現実的な指揮権を手に入れるまで、で、その指揮権掌握がご都合主義でないように、その人格を説明する話になっている。まあ、嫌う人もいるかも知れないが、こういうの、私は嫌いではない。つうか鏡貴也氏の『エル・ウィン』みたいに、これ張りまくった伏線どないするねん。というのよりはよほど好感が持てるではないか。(『エル・ウィン』はあれで好きであるから念のため。ただ、好きだからこそ心配なのだ。どうする気だ) しかし、ぶん殴って言うこと聞かせるのは王道だが、ついでに胃袋使うのは真面目にイイ性格である。麟太郎(・・・)
 聞いちゃう連中も連中だが。 
 そこで、部隊を掌握したところへ黒船が襲来する。その名は現住生物エズオル。これを殺すことは禁忌にふれる。しかしそのスタンビードは人類の驚異なのだ。果たして人類はそのスタンビードに対応できるのか。唯一危険性を叫んだ政府高官は左遷されるわ、水野十郎左右衛門も親衛隊の末席に飛ばされるわ。孤立無援の中で主人公に与えられたのは城壁と百余名の銃士隊の持つ雷管式先込め銃のみ。果たして? で以下次巻。いやあ。作者相変わらず引きがあざとい(ほめ言葉)
 まあ、そのなんと言いますか、ちゃんと救いの道は残されていて、田舎少女は実は鉄砲鍛冶。父の残した連発銃。しかもハモニカライフル。(大笑)
 いや、この話は実は某巨大掲示板の雑談で産まれたネタらしいのだが、(後書きにはっきりとではないが明記)しかし、燃えるシチュエーションである。ただ、アメリカ人なら間違いなくアラモのように全滅させるのだろうが。大丈夫だよな。この話。うむ。
 
 今度は連発銃が怖い。(解る人いるのか)(04,2,20)


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