呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。
Fate 3
というわけで、のたうち回った稟ルートの次は、いよいよ、第三部である。セイバーを救えなかったことに苦悩下主人公は、稟に救われ、己の進む道を確信し、そしていよいよ大団円。なんといっても湖に投げられた剣は3回目に白き手によって湖の仲へと沈むのだから。
って、何が大団円だ莫迦野郎!
いや思わず感情的になってしまったのだが。いや、そういう想像は瞬間的に粉砕されてしまったのである。うーむ哀れである。セイバーが哀れなのだ。このシナリオは。というわけで以下ネタバレ。
セイバーシナリオが少年漫画の王道ともいえるもので、稟シナリオが一部の大人には痛すぎるシナリオだとしたら、この桜シナリオは真面目にホラーである。セイバーが王であり、稟が魔術師ならば、桜は女である。しかも、かなりヤバイ。いわばめんどくさい女である。言ってみれば地雷。関わってしまったらまず逃げられないタイプである。恐ろしや恐ろしや。
しかも、このシナリオ、絶望的な戦力比なのである。まず、セイバーシナリオではセイバーは常に共にいた。稟シナリオではセイバーは一旦は敵の手に落ちるもののその洗脳に抵抗し、再び味方になってくれる。
ところが、このシナリオではセイバーはあっさり敵の手に落ちると、二度と戻ってこないのだ。それどころかランサーもあっさりやられ、アーチャー(赤)は主人公を構うまもなく落命する。そして、主人公は片腕を失い、その能力を拡張する暇もなく、移植されたアーチャー(赤)の強すぎる魔力を持つ左腕に苦しむことになる。セイバーはいない。アーチャー(赤)もいない。バーサーカーも奪われる。キャスターも敵。アサシンも敵。唯一の味方はライダーだけ。もう、目眩のしそうな戦力比ではないか。しかも、ライダーは主人公の言うこと聞いてくれないのである。ああ、三重苦。
言ってみれば『デモンベイン』でアル・アジフがあっち側行っちゃったまんま。こちらに復帰なしという状況が一番近いかもしれない。どういう例えだか。知らないが。
しかも、平和な世界の象徴だった桜すらその姿は砂上の楼閣のように崩れ落ちる。聖杯戦争に無関係だと信じた彼女こそが最後の敵となるのだ。
さらに、主人公は自分の信念すら曲げねばならない。桜を守るか。世界を守るか。
個人的に一発勝負で『世界を守る』としたら、バッドエンド。未来の自分すらぶった切って守った信念を女一人のために諦める。げに恐ろしきは女である。漢の敵はやっぱり女なのだ。
しかし、そこまでしても状況は悪化の一途をたどる。刻一刻と悪化するヒロインの体調。混乱していく夢と現実。しかし、その夢が過酷な現実となったとき。
いや、真面目に。題名が題名である直訳すれば『運命/夜に居る』とでもいうのか。このまんま、夜の眷属として二人して逃避行しちゃうんじゃないかと心配したり。いや、そればっかりはあるまいと思ったり。しかし、このまんまどうやってけりをつけるのだろうと思ったのである。
だいたいギルガメッシュ一人倒すのだって一苦労であろう。それを、まさか、あんなにあっさりである。
逆に言うと今回のラスボスはそこまで強いのだ。ギルガメッシュを瞬殺である。なのに、こちらはおそらく、3シナリオで最弱の主人公である。
それでも、彼は漢ではなく男として、自分の信念よりも大切な一人の女のために、主人公はアーチャー(赤)から託された片腕の封印を解くのだ。
この、戦いの末にあったものは。果たして主人公はセイバーを救えるのか。
いや、すごく不遜なことを言う。このメーカーさんには熱狂的なファンが多いので、もう、殺されてもおかしくないようなことを言う。
私も一応は物書きである。(現在形でいいのか? をい)
で、この桜シナリオ、転げ回っちゃうのだ。壺である。いや、何というかかんというか、私が書きたかった物語なのだ。(これで何千人敵に回したかな)
まったくもって、こういった話が書きたかったんだよぉ。と月に向かって叫ぶしかないではないか。
いや、叫ぶだけでいいのか。それで、私は満足するのか。このまんま『月姫』始めて耽溺してそれでいいのか。今ならまだ、何かできるかもしれない。少なくともこの作品は私に渇を入れてくれたような気がする。
これを生かすも殺すも自分次第なのだが。(04,2,8)