呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。


ある不幸

  私のノートパソコンが壊れてしまった。まあ、そろそろガタが来ていた、この夏に作った、(そして、まだ戦力化できていない)新型デスクトップに比べると3分の1程度の性能しかない旧式機で、もう、笑っちゃうくらいボロボロだったのだ。しかし、とにもかくにも、現在、唯一のまともに動くパソコンで、なんとかかんとかこのサイトを更新できるのはこのマシンのおかげなのであった。しかし、職場の机の上の鞄に置いておいたらあっさり落下させられてしまったのである。(このあたり言い出すとキリがないからやめる)
 問題は、落下の際に、カードスロットを下にして落下したことであり、更に、問題はそのカードスロットに突き出す形の通信用カードが刺さっていたことだった。
 鞄の落下エネルギーはそのカードスロットに集中した。
 ジ・エンド。
 はっきり言ってうんとも寸とも言わなくなってしまったのである。
 電源は入る。しかし、それだけである。外観はなんでもないのだが、おそらくはスロットが完全に逝ってしまっている。更には起動すらしない。泣くしかなかった。
 結局、修理に出したのだが、マザボの交換は確実に思えた。伝聞だが15万円からの出費である。流石に現在のマシンの3分の1程の性能で、修理に15万かける莫迦はいない。
 しかし。
 「もしもし、上杉さんのお宅でらっしゃいますか」
 天使の声だった。メーカーさんからの見積もり代金の報告だったのだ。
 「修理のお見積もりですが、カードスロットとロックノッチ、キーボードその他の修理で4万2千円程度になります」
 まさか、である。
 私としては聞くしかない。
 カードスロットの修理はマザーボードの全とっかえになるのにそうなるんですか。と。マザボの部品代だけでも15万はくだらないんじゃないですか。と。
 しかし、天使の声は続いた。
 「はい。部品代としてはそうなるんですが、今回、お見積もりは交換代金3万円となっております。後日、量販店さんからも連絡が行くと思います」
 やほーである。うわっはー。である。いや、厨房時代からこのなんともひ弱なイメージのあるメーカーを愛用してきた(で、ことごとく壊れた)私としては、もう、今後、来年か再来年に購入しなくてはならない後継機もこの画像処理に優れた銀パソを購入しようと心に決めたくらい嬉しかったのである。
 しかし。翌日。某量販店からの電話が私を打ちのめした。
 「修理、マザボとロックノッチ、キーボードの修理で16万2千円になります」
 なんだごらあ。である。私は直ちに昨日メーカーさんから聞いた担当の天使のお姉さんの名前と、見積もり金額を言った。
 「おかしいですね。わかりました。確認してみます」
 そして、現実がやってきた。
 「上杉さんのお宅でらっしゃいますか」
 天使の声だった。
 「申し訳ございません。あのお、修理代金の件なのですが、マザーボードの故障の場合は3万円なのですが・・・」
 要するに外的要因でなく内的要因で保証期間外に故障したら3万円。外的要因で故障したら15万円ということらしい。
 しかし、おそらくはカードスロットが派手に壊れていたのを見ることができたら、最初から外的要因で壊れたことくらいすぐわかりそうなものである。
 「まことに申し訳ございません」
 お姉さん(天使改め)が謝ってくる。
 窓口のお姉さんが悪いわけではない。修理担当の見積もりを出した奴が、内的要因と外的要因を混乱してこのような事態を発生させたのである。糠喜びさせて莫迦野郎が。そう叫ぶしかないが、それはお姉さんに対してではない。お姉さんも被害者なのだ。しかし。
 私は、今回の件について平謝りするお姉さんに、できるだけ穏やかに、その値段は想定していたが、4万何某の修理費を聞いて本当に嬉しかったこと。それから窓口のお姉さんではなく、見積もり間違えた奴から説明の電話が欲しかったことを本当に穏やかに(可能な限り)伝え、修理の必要ないことを言って電話を切った。
 弱いところが矢面に立つ。そんな体質は私の職場のような中小企業も、この銀パソメーカーのような大企業も変わらない。いや、かえって大企業の方が傲慢なのかもしれない。
 しかし、それがいつか大きな災いにならなければいいのだと思う。少なくとも、私は二度とこのメーカーのパソコンは買わないだろう。それだけは確かである。
 まあ、向こうさんには痛くも痒くもないであろうが。(03,11,20)


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