呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。


元気で行ってらっしゃい

 ええと、今回は少しばかり政治的な話を。
 日本のイージス艦派遣問題についてである。
 しかし、こういう話は「極めて政治的」なので嫌いな方もいらっしゃるだろう。
 20日にはまた、阿呆話になる予定なので、こういう話が嫌いな方は以下のボタンにてどこか他のコンテンツに飛んでいただくことをお勧めする。

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 以下、政治的な話。
 まずは、朝日新聞の記事から

イージス艦、インド洋へ向け出港 対米支援で初の派遣

 海上自衛隊のイージス艦「きりしま」(基準排水量7250トン)が16日午前8時55分、インド洋での米軍などへの支援活動のため、海自横須賀基地(神奈川県横須賀市)を出港した。テロ対策特別措置法に基づく対米支援でのイージス艦派遣は初めて。米国がイラクへの武力行使も辞さない姿勢を示すなか、米軍への支援を拡充するねらいもある。

 派遣される乗員は約250人。来年1月上旬にインド洋に到着し、現在派遣中の護衛艦「ひえい」と交代する。米軍などの艦艇に対する洋上での燃料補給活動の護衛にあたる。

 イージス艦は、海自が4隻保有する最新鋭護衛艦。これまで派遣されてきた護衛艦の5倍の範囲をカバーできるレーダーと、8倍の情報処理速度のあるコンピューターシステムを搭載している。

 情報の共有化により、米軍の軍事行動との「一体化」が進むとの懸念から、野党の批判だけでなく、与党内にも慎重論があった。

 「きりしま」が所属する自衛艦隊司令官の勝山拓海将は、出港前の式典で「国内でさまざまな議論が行われたのは諸君の承知の通り。過程はどうであれ、決定されたことには即応することが我々の本分。諸君の努力のひとつひとつが国際テロリズムに対し、わが国が国際社会とともに毅然(きぜん)とした態度で立ち向かう決意を示すものである」と語った。

 うーむ、朝日にしては珍しく感情的ではない記事である。次、読売。

イージス艦出港、家族ら300人見送り

 約250人を乗せて16日朝、神奈川県・横須賀基地からインド洋へと出港した海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」。イラク情勢が緊迫する中、見送りに訪れた約300人の家族が無事を祈った。

 家族らは桟橋に横付けされたきりしまに乗艦して隊員と別れを惜しんだ。31歳の乗員は3人の娘と見送りに来た妻(26)に、「子どもたちのことはよろしく。頑張って行ってくる」と伝えた。前日の日曜日は家族みんなで夕食を囲み、3人の娘たちとゆっくりお風呂に入ったという。妻は「元気に帰ってくるのを待つだけです」と心細そうに話した。

 2等海曹(33)を孫らと見送った義理の母親は、先月25日に横須賀基地から補給艦「ときわ」で現地に出港した夫(52)を見送ったばかり。「イラク情勢やテロが起きていることを考えると不安になる。でも、一番いい性能の船が行くことで隊員を守ってくれるので安心感の方が大きい」と語った。

 一方、派遣に反対するグループは、近くの公園や海上に船を出して抗議集会を開いた。

 逆に、今回は読売の方が感情論に訴えているようにも思える。
 さて、公明党などが「遺憾」表明をしている今回のイージス艦派遣であるが、何が問題なのか、考えていこうというのが今日の『呆冗記』の骨子である。
 一体何がいけないのか?
 政府のシビリアンコントロールの元、自衛隊が命じられて出航した。ここには一切の問題はないように思える。
 インド洋におけるシーレーンの確保は日本にとっても非常に需要である。これを他人任せでいいのか。良くはあるまい。フランスも2隻派遣し、イギリスやオーストラリアも派遣している。故に日本も自衛艦を派遣し、シーレーン安全確保に協力する。これは国際上の責任を果たすためにも必要なことではないのだろうか。
 汗を流すことは大事ではないのか? 既に自衛艦は派遣されているのだ。
 「お巡りさんが重機関銃を持つ必要は全くないということニャ。鶏を割くのに牛刀を使うことはないニャ。という判断ではないのかニャ」
 「言い方を変えれば、集団的自衛権 の問題に引っかかるというのだろうな。
 集団的自衛権というのは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力で阻止する権利のことなんだな。現在の政府解釈では、日本は国際法上、集団的自衛権を有するが、憲法9条が認める必要最小限度の武力行使の範囲を超えるため、行使はできないとされているわけだ。
 で、イージス艦の高性能なレーダーとコンピュータリンク能力が米軍に協力する際、この集団的自衛権の行使に当たる。そう判断されかねない。というわけなんだな」
 「要するに強力すぎる艦を使用するな」というわけなのだな?
 「なんたって、持っていっていい機関銃は1丁だけ。それも不良品の悪名高い国産品というお国がらニャ」
 「ルワンダでの話だな。その後、ゴラン高原ではずいぶんとましになったはずだが」
 何かあったらどうするつもりなのだ。
 「今のところは八百万の神様のおかげで問題は発生していないニャ。でもいつ問題が起きるか解らない場所に行ってもらうのに、少しでもましなハードを派遣することが必要ではないのかニャ」
 「それはそうだが
、ただ、そのハードが日本最強の自衛艦ということが問題なんだろうな」
 イージス艦がか? たかが護衛艦だろう。空母の。それが最強というのはかた腹痛くないか。
 「だって、日本には空母がないニャ」
 「そうだ、日本のイージス艦は、自分自身を守るために存在する。最強の自衛艦だ。しかも こんごう、きりしま、みょうこう、ちょうかい。全部旧帝国海軍の戦艦(金剛、霧島)重巡洋艦(妙高、鳥海)の平かな読みだからな。その手の方には軍国主義のシンボルのように見えるのだろう。それが米国と共同して状況が発生するかも知れない海域に行く。平和運動を愛する方々には悪夢なのかも知れないな」
 うーむ。
 「更に言うと、しかしイージス艦は米海軍においては護衛艦だ。下手すると、状況が開始された時に、空母の護衛に組み込まれてしまう。これぞ集団的自衛権の問題にもろ引っかかる。ということになりかねん。故にイージス艦は持っていきたくない。このあたりもあるかも知れない」
 第9条と国際法の乖離と言う奴なのだな。
 「このあたりは本当に国内の法整備が遅れているのが問題なんだが。しかし、更なる問題は、もはや現在の戦争に後方もへったくれもないということなんだ。だからたとえば、現在のインド洋の状況が海上封鎖などということになったら、自衛艦もそれを行わねばならなくなる。そんな状況になれば、武力突破をしようとする艦と交戦もありうる。武力に対する武力。ここに平和国家日本は形式上も終焉を迎える」
 「日本は『普通の国』になるべきなのかニャ。第9条は今の日本には重すぎるのかニャ」
 結局、第9条の問題に行き着くのか。
 「国民一人一人がまじめに考えなければならない問題だな。やるんだったら資料集めてきっちりカタをつける必要があるが」
 ここはなにせ人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。だからな。勘弁してくれ。いつかやらなければならないと思うのだが。
 「まあ、個人的には、今教えている連中が戦争に行くようなことにならないように、自分の持っている権利を行使して行きたいと思う」
 「それはエゴではないのかニャ」
 難しいところだな。誰だって戦争なんてしたくない。しかし、それでは平和の維持はおぼつかない。故に現在の人間のモラルでは軍備は必要だろう。
 「前者が強すぎても後者が強すぎてもバランスは崩れるニャ」
 「戦争というものが変化していく中で第9条をどう考えるのか? もしくは素晴らしい条項である9条を世界に広めるために日本が何ができるのか? そう言ったことを考えていく必要があるんだ」
 ただ、きりしま自体は民主国家日本の国民が選んだ国会議員によって選ばれた政府の命令で出港したわけであろう。だから、反対運動を彼らに向けて行うのはどうかと思うのだ。
 やるなら、政府に向けて行うべきであって、危険な場所へ出航する彼らには、航海の安全と無事帰港を祈るのが人間としての筋ではないかと思うのだが。
 「同感」
 「激しく同意ニャ」

 きりしま乗員の方々を始め、インド洋で任務に従事されている自衛艦乗員の皆様の無事のご帰港をお祈り申し上げます。(02,12,16)


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