呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。
空を見た少年
本当は明後日の発表になる予定なのだが。思いつくまま2日間隔で書かせてもらった。
VOFV。終了。こんな気持ちになったのはいつ以来だろうか。
始まりは良く覚えていない。ともかく、ネット上で一つのサイトへぶち当たったのだ。もしかしたら、ネットワークサーバーのフィルター基準で適当にゲーム関係にフィルタがかかっているかチェックしていた時かも知れない。
空から落ちてくる少女。雨の中、足を引きずる少年。モンスター相手に銃を振り回す美女。
『この世界で生きるしかないとしても』
『このまま生きる方が楽だとしても』
『その先に何があるかわからなくとも』
『知らない方が幸せだったとしても』
『たとえ世界を壊してしまうとしても』
『ニーナ、空へ行こう』
『世界に従うか 自分に従うか』
言っては悪いがアニメーションに比して3Dの出来はイマイチである。FFならばFF7レベルだろうか。
しかし、何故か私はそのゲームに惹かれるモノを感じていた。
いや、ニーナたんがそのすべてではない。(信じてもらえないかも知れないが)
そして、朱雀につき合って静内に行った時に、中古品を見つけたのは運命だったのだろうか。今月の生活が苦しくなるのもかまわず、購入してしまい、私の旅は始まった。
前にも書いたが、このゲームのバランスは初めてやる場合は最悪である。パーティ経験値とスキルを引き継ぐ形でやり直すと、真実が見えてくるという構成のためであろうか。敵側が強すぎるのである。しかし、確かに何度かSOL(やり直し)するとそんなに気にならなくなった。
回復手段がアイテムしかないにもかかわらずセーブポイントが少ない。しかもアイテムがないとセーブできないという状況によって、時に3時間分、4時間分のやり直しは1度や2度ではきかない。
それでも、空を見ようと思った。
最初はどうしていいか解らず、竜の力を使いまくり女上司のところで80%を超えていた。
結局、やり直した。
そうこうしている内に、特異な操作性にも慣れ、次第に私はこの世界へとはまりこんでいった。
今回は女上司のところでD値は15%を切っていた。
属性と呆れるほどの量の回復アイテムが肝である。この事実に気がつくのに随分と回り道をしたのだ。
氷>雷>火>氷・・・。属性の違う3本の剣を持たせたところ、効率が劇的に上がったのはそれからである。もう、竜の力はいらなかった。
それでも、苦戦は続いた。操作性に慣れない私の作戦は肉弾戦に偏り、体力回復アイテムは太陽の前の霜のように消え去っていくではないか。
友人と思っていた男が、半身を竜の贄として得た力をもって立ちはだかったのはそんな時である。
結局、私は稚拙な戦闘でD値を浪費してしまった。D値40%。Dチャージ×3+タルナーダ。この必殺技をまだ某所で、教わらなかった頃だ。
そうして管理者達との戦闘。ここでも私は過ちを犯した。回復アイテムが足りなかったのだ。
結局4時間が無駄になった。
二回目のアタック。
管理者を倒し、オリジナルを倒した。そして、彼が現れた。
「ようやく追いついたよ」
その表情は、初めて会った時の彼を彷彿とさせた。
同僚としての友情を育めると信じた時の。
しかし、彼の攻撃は熾烈だった。
Dチャージ×3+タルナーダ。これすらも一撃というわけにはいかなかったのだ。
2度の戦闘。D値は危険なほどに上昇していた。
そして、最後の敵。最後の戦い。
すべては終わった。もはや、立ち上がる気力はなかった。
拳銃の姉御に少女を託す。真っ暗な穴が口を開けているのが見えた。階段を駆け上がり明るい光の元へ駆け上がる少女。現れた自分と同化していた竜の化身。
かすかな既視感。ああ、このシーンはゲーム開始直後に、見ることができたモノだ。
ああ、これで終わりか。
覚悟していたラストだった。少女は救われた。それで充分のはずだ。最悪の場合、空などなかった。そんなラストすら考えられたのだから。
力を使い果たした自分は死ぬ。とうに滅んでいた竜の化身も消滅する。
不穏な気配を感じた少女が駆け下りてくる。
もう、目が見えない。ぱたぱたという足音だけが響く。
化身が、自分のほうへとかがみ込んだ。
上層の踊り場から身を投げ出した少女が泣き叫ぶ。
その落下した涙が、確かに触れる。
「泣きすぎだよ。ニーナ」
竜としての力の残滓。それは消えゆくだけのモノ。
しかし、人たる身を、竜としては瞬きほどの時間、人には充分な時間、保つに可能なモノだった。
少年は立ち上がる。物語は、まだ、終わらない。
いやあ、泣けた。不覚にも涙がぼろぼろぼろと来てしまったのだ。
何というか、こんな作品を望んでいたのだな。そう思うのである。
本当に、ここ2月ばかり色々とあったのだが、真面目にこの作品は私の心を救ってくれたのかも知れない。いや、まだ、こんな感性が残っていた。そう思えただけでも、私はこのゲームをやって良かったと。そう思うのだ。(02,12,10)