呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。


必殺必中仕事屋稼業

 金に生きるは 下品に過ぎる
 恋に生きるは 切な過ぎる
 出世に生きるは 草臥れる
 とかくこの世は 一天地六
 命ぎりぎり 勝負をかける
 仕事は万 引き受けましょう
 大小現金 男女は問わず
 委細面談 仕事屋稼業

 というわけで、伝説の名作。『必殺必中仕事屋稼業』(1975年)である。もう、よほどの通のセッティングであろう。第一作目が中村主水主演第一作の『必殺仕置人』。これは当然としても第二作目に必殺第5作のこれを持ってくるとは。
 この作品は知る人ぞ知る作品なのである。
 なんたって、緒形拳である。林隆三である。うう。これは傑作ではないか。
 「そりゃあ、そうだ。だいたいネットワーク変更がなければ今頃は伝説の作品だからな」
 おお、あの、『カメンライダーアマゾン』が24話打ち切りにしてしまった張本人のネットワーク変更なのだな。
 「そう、その後釜に『ゴレンジャー』が入ったので戦隊ものにとっては生みの母と言えるかも知れない。
 それは置いておいて、変更前まで視聴率30%を超えた名作だぞ。これ」
 うむ、さもありなん。さもありなん。ここまで格好いいのはちょっとない。初期『必殺』の白眉であろうな。
 「ただ、個人的には、『必殺仕掛人』の梅安の方が緒形拳はいいと思うのだが・・・」
 ええ、そうか! 藤枝梅安は渡辺謙主演の『仕掛人 藤枝梅安』(1990〜93)の方がいいと思うのだが。
 「うーむ、確かに原作に忠実という点では渡辺謙主演のほうかなあ。しかし、作品としては、やっぱり緒形拳主演のほうがいいと思うぞ。渡辺謙作品は、『鬼平犯科帳』の系列を引く、原作に忠実な時代劇シリーズだが、やはり、渡辺謙にはいまいち、市井のアウトローは似合わない。逆に言うと『御家人斬九郎』のような役は絶対に渡辺謙だがな」
 うーん。北大路欣也が浪人するとすっごく似合わないようなものなのだな。
 「少しお人好しの浪人は役所広司がぴったりのようなもんだ」
 うむ。しかし、最近、どうも若手の時代劇のやれる俳優さんがいなくなったのが悲しいのだが。役所氏も渡辺氏ももういい年だろう。
 「暴れん坊将軍の松平健だって、もう、暴れん坊とは言えないしな。ありゃもうおじさんだぞ」
 確かに。と言うわけで本題に戻るのだ。どうも、DVD化第一作、『必殺仕置人』に比べて、どうもトーンが明るいのだ。
 「というか、『必殺仕置人』が暗すぎるがな。初期の必殺は全体的に暗いぞ。その中でも『必殺必中仕事屋稼業』の前半は例外的に明るい」
 そうなのか?
 「だって、こいつら、アマチュアだからな。半兵衛にしろ、政吉にしろ、まだまだアマチュア。気楽なものだ」
 え、そう言うことなのか。
 「元締めのおせいさんだって、元締めとしたら甘いしな。それがプロになっていくことで、後半、大きなどんでん返しが待っているわけだ。暗くなっていくぞお」
 そうだったのか。
 「ま、それはそれで、後半のバラエティ状態の『必殺』にはない魅力だがな」
 それは楽しみなのだが、ところで次回はいつなのだ。
 「8月7日、後編発売。あ、その後は『暗闇仕留人』が11月だそうだ」
 うわあ。黄門様が仕留人だった時の話だな。
 「うーむ。そういうギャグが成立するのは日本だけなんだぞ」(02,6,8)


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