呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。
イノダの珈琲
うぐぉお。世の中、どうもいいことないのだ。
「だからといって、あれはないだろう。ほれ、京のおみやげだ」
おお、朱雀。ま、いいではないか。そうか、今日、帰札か、修学旅行はどうだった?
「話を変えるんじゃない。それに、今は見学旅行というのだ。ま、そこそこかな」
なんだ、憧れの京都・奈良に行って来た割には随分醒めた感想ではないか?
「憧れの京都・奈良だからだ。奈良美術館で国宝級の展示があるのに、素通りする悔しさが貴様にわかるか?」
あ、ああ・・・。
「関西一日自由行動。京都で寺参りができればいいと思っていたのに、大阪の巡視になってしまったんだぞ」
う、うむ・・・。
「ならば、巡視がてら梅田の巨大ヨドバシに1時間ほど浸かり込むとか、梅田の古書店街で1時間ぐらい時間を潰すとかできたものを・・・」
どうしたのだ。
「他の先生の都合で急遽USJ巡視だ」
あ、あれはあれで楽しいという話だぞ。冴速さんの妹さんも楽しんだらしいし。
「アトラクションを見ることができればな。他の先生が1時間待ち、2時間待ち嫌がって、結局何も並ばずに帰ってきた」
ぐぉおおお。1日何をしたのだ?
「知るか。だから、今度は一人でのんびり行ってやる。どこか駅前のビジネスホテル本部にして、1週間くらいのんびり京都にいてやる。この夏決行だ!」
そういえば、お前、前に京都・奈良に暴走したときも、見学旅行後ではなかったか。
「そうだ、高校2年の修学旅行後、大学入ってから京都に行ったのも、就職してから京都に行ったのも、みんな他人の組んだスケジュールで欲求不満が爆発しての行動だ。自分の金で行ってやる。絶対に誰にも文句言われないようにしてやる」
どうどう。しかし、計画表見ると、ハウステンボス、USJ、TDLとテーマパーク。三つも行っているのか。凄いな。で、どこが一番楽しかった?
「ああ、ハウステンボスかな」
へ・・・。
「畜生、あそこの古伊万里展示、もう少しゆっくり見たかった物だ」
じゃあ、次は?
「USJかな。あれは、金を払ってももう一回見に行く価値があると思うぞ」
ちょっと待て、ちょっと待つのだ。なんで、なんでTDLが最後なのだ? 私の親戚など年に4回は行っている夢と魔法のわんだあらんどらしいのだぞ。
「ふん、あんな楽しみ方を決定させられたような場所、誰が好きこのんで行く物か。すべて予定調和。すべてがシナリオ通り。まだUSJの方が楽しいぞ。アメリカの自由はどこへいったんだ? ミッキーはアメリカの押しつけ外交のシンボルかもしれない」
じゃあ、楽しかったことは?
「うむ、実はイノダの珈琲を飲んできた」
な、なんと・・・。あの池波正太郎が好んだという。
「ああ。そうだ。30分もいられなかったがな。なんとだ、なんと砂糖とクリームは伝統的にデフォなんだぞ」
なんだと・・・。
「お嫌なら入れませんが。とのことだったがせっかくイノダに飲みに行ったんだ。デフォルトで作ってもらった」
ふーむ。
「でだが、イノダの珈琲は大量の粉をどでかいポットの上のネルフィルターにぶち込んでお湯は何回かに分けて注ぎ、何人分もいっぺんに落とすんだが・・・ありゃ、時々落としきってるぞ」
なんだって、だって、灰汁は落としきらないのが雑味を防ぐ方法ではないのか?
「ああ、で、そうやって、落とした珈琲を、客がきたら小さなポットに移して沸かして出してくれる」
なんと・・・。
落としきらない、再度沸かさない、砂糖やクリームは入れない・・・。
「我らが『R』さんの常識はことごとく覆されてしまったのだよ」
で、味の方は。
「うむ、酸味が強いな。おそらくクリームがなければもっと酸味が強かったはずだ」
なんという・・・。
「しかし、どじったのは砂糖がそこに解け残っていたのだ。要するに本当のイノダの珈琲ではなかったらしい」
はあ、ということは再戦か。
「そうだな。ともかく豆は300グラム買ってきたのでしばらくはイノダ風の珈琲が飲める。
後もう一つ、実は今日(3月20日)午後4:00頃、羽田空港で冴速さんそっくりの男にあってな」
なんと。
「声をかけたらシカトされてしまった。ま、こっちも生徒整列の最中で追いかけることもできなかったが」
他人のそら似ではないのか?
「いや、だったら同じバックを持っているわけもあるまい。本人でないとしたら、これが世に言うどっぺる君かな」
貴様だっているのだろうが。
「うむ、なんか、他人が俺のどっぺる君のことで気味悪がるのが少しわかったような気がするぞ」
果たして、その人影はなんなのか。謎をはらみつつ以下次回。(02,3,20)