呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。
ファントムDVD
さて、10月26日、待望の作品がこの世に産声を上げた。あの、名作『ファントム』が、DVGとなって再び私たちの前に姿を現したのである。しかし・・・。
なにはともあれ、これを祝わずして何を祝うのか。そう、私たちはこの瞬間を待っていたのだ。キャルが、ドライが、クロウディアが、喋ってくれるこの日を・・・。立てよ国民! (何か違う)
「貴様は! どうしてアインを故意に外すニャ!」
おお、友人T。ははは、この目出度さをどうしよう。
「だったら、何でこの文章が29日付けニャ・・・」
ま、それはおいおい。
というわけで、26日夕方、少し遅い時間にTがDVGを持って私の部屋にやって来たのだ。
「まいったニャ。うちのお袋が、一寸出た隙に郵便屋がやってきて、翌朝配達にされてしまったのニャ。それを郵便局から引き出すのに随分と手間取ってしまったニャ。やっぱり今日は年休を取るべきだったニャ」
本気か? 貴様社会人捨ててるな。
もう一人の友人Sはというと、まだ来ない。
「いいニャ。始めてしまうニャ」
しかし。私のPS2ではDVGは正常に動かなかった。
「このPS2、いつ買ったニャ」
去年の4月だろう。
「ということはニャ・・・。ああ・・・何と言うことニャ・・・DVDプレイヤーのバージョンが1.01ではないかニャ!」
たぶんな・・・。
「わあああ! 駄目ニャ、駄目ニャ。それでは駄目ニャ! 『ファントムDVG』のためにはPS2のDVDプレイヤーのバージョンは1.02以上が必須ニャ! ああ、もう夜9時になるニャ・・・。今からYカメラに走っても間に合わないニャ・・・。ああ・・・」
「何をしている? なんだ、まだ始めていなかったのか」
友人Sがやって来たのは我々が絶望の淵に沈み、充分に溺れてしまってからだった。
「やれないニャ。明日の朝までお預けニャ。上杉のPS2はプレイヤーのバージョンが1.01ニャ。現状を回避するにはDVDリモコンを購入し、プレイヤーの1.02以上を入手するしか手はないニャ。でもYカメラはもう閉まるし・・・中古屋にはきっとリモコンなんてないニャ」
用意したビールを速いペースで飲んでいた友人TがSを睨む
「そいつは困った話だな・・・。ところで、これはなんだと思う?」
がさがさと4代目のサムソナイトのショルダーバックから取り出されたのは、Yカメラの袋だった。中から取り出されたのは、何とリモコン。
「あ、そうニャ。Sは確か、1.0しか持っていないニャ」
「その通り。だから最近、対応しきれないDVDもあってな、1.10を入手したんだよ」
「ああ、Sが神様のように見えるなんて初めてニャ」
「なんか、トゲがあるなその言い方」
「ともかく、始めるニャ」
なんか、私の入るスキがないではないか・・・。
生き返ったようになったTが準備をし、いよいよ待望のDVGである。しかし・・・。
「これが、『ファントム』のDVGでなければ、問題はないな」
ああ、必要にして十分だ・・・。残念ながらしかし、これが『ファントム』のDVGなのだ・・・。
「でも『魔女狩りの夜に』のDVGも、こんな感じニャ」
ああ、しかし、これはあの、『ファントム』のDVGなのだ。
はっきり言おう。この『ファントム』DVGについては失望してしまった。
確かにDVGとしては秀逸だ。シナリオも、後述するがナレーターの存在以外は声優さんも素晴らしい。
うう。惚れ直しちゃったぞ。キャル。
しかし、ユーザーインターフェイスが悪すぎる。
「ワンプレイ15時間ではとんでもないニャ」
まったくである。結局、我々がアインルートを終わったのは土曜日の朝も通り越し、日付が日曜日になってからだった。(途中寝たり他のことをしたりもしたが・・・)。
「選択肢から選択肢へのスキップがあれば良かったんだろうな。きっと」
確かにそうだ。DVGの形式的に、読んだら飛ばすことは出来ない。しかし・・・。だからといって長すぎる。いくらできが良くても、延々とラジオドラマを聞かされる方にもなって欲しい・・・。
「スタッフの方々は実際にこのゲームをなさったのかな・・・」
うん。そう思う。
しかし・・・それよちもなによりも、申し訳ないがこのナレーションまるっきり『火曜サスペンスドラマ』の副音声のようではないか。
『良子、テーブルの上のナイフを掴むと逆手に持つ。光るナイフ。気がつかない孝、にこにこと振り向く。突き出されるナイフ。暗転云々』
なさっている方が一生懸命なのはわかるが、くどすぎる。
どうすればいいのだろうな・・・。どこかちぐはぐだ。どうしようもないがちぐはぐなのだ。
「初物だから仕方がないかもしれないニャ。ま、DVGとしては良くできているニャ。ただ、僕達はきっと『ファントム』ということで異様に点数が辛くなっているのニャ。
「しかし、ニトロプラスさんには素晴らしい作品を期待していいんじゃないかと思うぞ」
確かにそうだ。あれだけの作品を作ったメーカーさんだ。この辺で妥協して欲しくない。ただ、インターフェイスとナレーターの音声カットが出来るDVD版のPCゲームが出たら今度は私、買うぞ。
「そうだニャ。そんなのが出たら、僕も買うニャ」
って、お前・・・PC版も初期版と現行版のふたつ持っていなかったか?
「当たり前ニャ。いいものはどこまでもコレクションするニャ」
「そうだ、いいコンピュータもモデチェンの度にコレクションするのが本当の愛だ・・・。いいかTP−560は・・・」
私は今、猛烈に友人の選択を誤ったような気がしてならないのだが。はあ。(01,10,29)