呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。

映画? ゲーム?
FFX ストーリー編

 さて、4回にわたって評論してきたFFXも、今回で最後(の予定)。いよいよストーリーサイドから。FFXを考えてみたいと思うのだ。
 まず、否定派の意見を聞いてみよう。
 「はっきり言って、訳がわからないニャ。確かに細かいところではおもしろかったし、アーロンは格好良かったニャ。でも、それだけ。後はいったい何だったのかニャ? ラストもあっさりに過ぎたし。ラスボスは蛇足。あれでは決して『おもしろかったニャ』とか『記憶に残るニャ』とかいうゲームではなかったニャ」
 では、肯定派。
 「確かに感動とかそういうレベルではないにしろ、そこそこおもしろかったと思うぞ。少なくとも60時間TVの前に釘付けにする力だけはあったのだから。それに、単純に色恋沙汰にしなかったのも充分点数高いけれどもな」
 確かにそれはいえる。しかし、私の場合、よほどのことがない限り、RPGは解いてしまうので、54時間TVの前に座ったからと言ってもそれがおもしろいことの証明にはならないのだ。
 が、ともかくである。設定自体は非常におもしろい。ストーリーシナプスだけを語るならば、
 閉ざされ、歴史が絶望と希望の螺旋を描く世界。その世界を支える祈り子たちは既に眠りによってその世界を支えることに倦み疲れていた。結果、彼らは特異点として一人の男を夢の中から世界へと放つ。その男は螺旋を続ける世界の希望である召喚師のガードとなり、絶望であるシンを倒すために戦った。しかし、希望であったはずの戦いがただ、絶望を産むだけだと知ったとき、彼は絶望の権化と化した。が、彼の一部は更に彼の息子をこの世界に夢の中から召喚する。そして・・・螺旋が軋み始めるのだ。
 ま、こんな所だろう。
 しかし・・・現実の物語はどうもそんなに面白くはない。
 いや、某8のように、高校生が傭兵部隊という無茶苦茶な(と、いいながら実際問題として私もそういう作品を設定したことがあるのだが)設定だったり、最初無視していたり嫌っていた女の子とハグハグしちゃうようなストーリーの破綻があるわけではない。しかし、この作品、初めてのフルボイスである。この声が普通以下のシナリオを普通以上のシナリオに見せかけている可能性がある。破綻はしていない。しかし、名作といえるほどでもないのではないのだろうか?
 「ま、確かにそうも言えるかもしれないニャ。しかしニャ、たぶん、この作品を好きだというのは、きっと、7以来のユーザーが多いのではないのかニャ」
 ほう。
 「7からの主人公は全体的にエトランゼとか記憶の混乱とかそういった方が多いニャ。だから、きっとこの作品もそういう人たちには受け入れられたと思うのニャ」
 「そうじゃないぞ。今回の作品は9よりも原点回帰している。FFの原点はそのストーリーの一本道、選択制のなさにあるのだと思うのだが」
 ?
 「DQの主人公は自分がプレイする。しかし、FFの主人公の行動を一歩高いところから垣間見る。これがFFの特色だったはずだ。今回の途中までワールドマップが存在しない演出はFFとしては非常に原点回帰したものと言えると思うわけだ」
 
FFはイベントの連続で、そのイベントの順番において非常にシビアな面があると言うわけだな。
 「その通り。しかし、そのシビアさが、いい意味でのシナリオの完成度の高さにつながっていた。DQの自由さは実はRPGとしては秀逸でも、ドラマとしては非常に難しいところがある。
 だから、一部で言われているような、今回のFFは映画にした方が良かった、とかゲームではないといった批判、批評は、実はFFでは褒め言葉になるわけだ。」
 「でもニャ、今回のシナリオは、その自由さを失った割には、凡庸だったと思うニャ。結局、祈り子の設定とか、生かし切れていないような気がするニャ。せっかくの色々な利点が全部ぱあだったと思うニャ。もう少し料理の仕様があったのではないかニャ」
 うーむ。 ま、個人的に言わせてもらえば、FFXは水準以上ではあったが、私の期待するFF像を越えるものではなかったとしか言いようがないな。どうせパーティの年齢が多岐にわたったのだから、もう少し世代間の相剋とか、若い連中の成長とかが描かれても良かったような気がするのだ。
 それに、感動した、感動したという親子関係だが、最初から父親があの態度ではどうしようもないとも思うのだ。ゲンドウさん以来、どうも父親が父親の役割を果たさないのがトレンディ(死語)みたいになっていないか? 父親が役割を果たさないのに息子が息子としての義務を果たす必要があるのか?
 「あれは父親が気の弱い人なのだよ」
 それを免罪符にしていいのか? というわけで、親子関係の修復による感動すらこの作品で得ることが出来なかった私にとっては、結局この作品に最後まで感動できなかったのだな。
 「アーロンはどうかニャ」
 キャラとしては十分に立っているが、しかし、残念ながら年長者として、5のガラフのような役を求めるのは酷だろうか?
 「年齢がな・・・。難しいところだろうな。35ではまだまだ団長のような腹芸も見せられないだろうしな」
 確かに、4回にわたって取り上げたと言うことは決して面白くはなかったというわけではないのだが・・・。
 ただ、もっと面白くなったのでは? という疑問がどうしても頭から離れないのだ。
 「だったら、自分で書くニャ」
 「そうそう、『あぶのーまるしあたあ』を一刻も早く再開して、自分で書けばいいんだ。冴速も言ってるぞ。
 
『はやく上杉サンは、小説を書くんだわ』って」
 
げええ、冴速さんのプレッシャーが一番怖かったりするのである。墓穴掘ったかな?(01,8,12)


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